Heath Saving Account事情 どれを選ぶか。

High Deductible健康保険とカップルで使われるHealth Saving Account(HSA)。所得税控除で積み立てられ、医療費に使うならそのまま非課税で使えます。High Deductib leプランは、健康で医療サービスをあまり必要としないなら大きく保険料を削減できるという消費者への魅力と、医療サービスの質と値段の比較検討を消費者に負わせることで保険会社側・企業側の健康保険コストを削減できるという企業側の利点が重なって、ここ何年かで劇的に加入者が増加しました。これにともなって、HSAを利用する資格がある人も増えています。

 

まだまだ途上段階

 

最近Morningstar社が2017 Health Saving Account Landscape というレポートを発行しました。主要なHSAプランを提供する10社の質について報告しています。HSAプランの質はSpending(積み立てておいて、必要に応じ医療費を支払うための機能)の側面と、Investing(長期的に、投資運用するための機能)の側面というふたつの側面から評価がされています。レポートの総合的な評価結果は、「HSA業界は、まだまだ発展途上であり、料金や提供サービスなどこれから大きく改善されるべき点が残っている」としています。そんな中、低料金で自分のニーズにあったHSAを選ぶことは非常に重要なポイントといえます。

企業がHigh Deductible健康保険とカップルでHSAを提供していることはしばしばで、企業も毎年いくばくかのお金を雇用者のHSAに積み立ててくれるベネフィットがついてくることもよくあります。この場合は企業が提携しているHSA提供金融機関に、給与天引きの自動に振り込みとなります。ここまでは401(k)と似ていますが、401(k)を利用しようと思えば、企業が提携している金融機関を使うしかないのとは異なり、HSAは自分で好きな金融機関を選ぶことができます。企業が積み立ててくれる金額は企業の選んだHSAに入るでしょうが、そのお金は完全に自分のものなので、A銀行とB銀行のチェッキング口座間でお金をトランスファーするように、C機関とD機関のHSA口座も自由にトランスファーすることができます。よって、雇用主提供のHSAが低料金のニーズにあったものであればいいですが、そうでないなら他を探すということが必要になってきます。

注)給与天引きでHSAに積み立てる場合は、Social SecurityとMedicareの7.65%がかかりません。いったん給料でもらってから、自分でHSAに積み立てる場合は、すでにSocial SecurityとMedicareが引かれていしまっているので、そのまま支払うことになります。

探すにあたっては自分のニーズが何なのかを把握するのが一番重要な前提です。ここでは、HSA利用の目的が、1)主に年々かかる医療費を積み立てておいて、そこから必要に応じて使うのを目的する(Spending機能重視)か、2)税優遇のあるプログラムとして長期的に投資運用するのを目的とする(Investing機能重視)かを認識するところから始めます。

 

Spending機能重視なら

 

HSAはそもそも1)の医療費の積み立て口座であることを念頭につくられています。High Deductible健康保険を持っていると、高額なDeductibleまでは医療費を全額自己負担する必要がありますから、その部分の費用をHSAから支払うという構図です。積立は企業がしてくれたり、自分でしたり、そのコンビネーションであったりしますが、いずれも所得税控除で積み立てられ、医療費のために使うお金は非課税で出すことができます。401(k)やTraditional IRAなどは所得税控除で積立て、使う時は課税対象であり、一方Roth IRAは積み立て時は課税(所得税控除なし)、使う時は非課税というように、ふつうは入り口か出口かどちらかでは課税されるのに、HSAは医療費に使うという条件を満たせば入り口も出口も非課税というダブルのベネフィットがあります。ですので、計画的にHSAに積み立て、年々の医療費はそこから捻出することで大きな節税メリットが得られます。

High Deductible健康保険をお持ちなら、ぜひHSAを開いて十分な資金をいつでも引き出せるように準備しておくことが、肝要であるとともに得策です。最近のリサーチでは、保険料を節約しようとHigh Deductibleプランを契約したのはいいが、実際、診察を受けたり、診断テストを受けたりしたほうがいいとは思いながらも、Deductibleの支払いが困難なので受診を見送る、先延ばしにする人々が多いという報告がされています。健康というかけがえのないものを犠牲にしなくていいように、Deductibleをカバーする十分な金額をHSAに貯めておきましょう。少なくとも自分のHigh DeductibleプランでかかるDeductibleの上限を常にHSAに貯めておくのが安心です。

Spending目的でHASを選ぶときは、Account Maintenance Fee(口座維持料)とそれぞれの口座の利子が選択のポイントとなりますが、実際、この低利子時代にはどこも低い利子はほとんど差別化要因にならず、Account Maintence Feeが最重要ポイントといえます。Morningstar社の調査対象10社では、Account Maintence Feeは月々$0から$4.50までの範囲がありました。最も多いのは$2から$3あたりですが、これは月々かかる料金であまりにもったいないので、ぜひ$0のところを選ぶのが当然のことながらベストです。10社のうち$0だったのは以下の3社でした。

  • Alliant Credit Union
  • The HSA Authority
  • Select Account

他にも$1,000など最低口座残高があればAccount Maintence Feeを免除する機関もありますが、とりあえずSpending目的であれば他に差別化要因もとくにないので、はなから$0のところを選ぶのがよいでしょう。上3社に加えてもう一社、当初からAccount Maintence Feeを課さずに頑張っている金融機関があります。

  • Lake Michigan Credit Union

Lake Michigan Credit Unionは以前はローカルなCredit Unionであり、その土地の人でないと口座を開けないなどのしばりがありましたが、今はLMCU Anywhereというオンライン機能ができて、全米居住のだれでもオンラインで口座を開けるようになっています。

下は、HSASearch.comでの比較表です。

 

 

Investing機能重視なら

 

一方で、2)の税優遇のあるプログラムとして長期的に投資運用するのを目的である場合は、使い方も選び方も変わってきます。

とくに、あなたが401(k)は最大限まで積み立てており、IRAもすでに最大まで積み立てているか、あるいは高額所得のためRoth IRAは積み立てられず、またTraditional IRAでも積み立て控除のベネフィットが受けられない層であり、どこかに節税効果のある投資可能性を探しているのなら、HSAはその条件を満たす投資口座になりえます。HSAは前述のように、入り口も出口も所得税がかからないというダブルベネフィットがあり、入ってから出るまでの利回りももちろん非課税で増えます。高所得者層はタックスブラケット(最高税率)が高いため、所得税控除の恩恵をより大きく受けます。401(k)、IRAを超えて税優遇で投資をしたい人には、HSAは個人なら年間$3,400 、家族なら$6,750まで、55歳以上の場合は、個人なら $4,400 、家族なら$7,750まで(2017年現在)、さらに税優遇枠を拡大してくれる効果があるわけです。また、HSAは401(k)やTraditional IRAのようにRequired Minimum Distribution(RMD) の設定がありません。RMDは70歳半になったら、必要と必要ないとに関わらず最低限の引き出しをすることを強要されるルールです。これは、リタイヤメント資金が潤沢な富裕層には、必要ないのに資金を引き出して課税されるという煩わしいルールです。HSAはRMDの設定なしで、ずっとそのまま投資し続けられるという特典があります。

HAS資金を引き出して老後に使う場合も、医療費に使うなら非課税で使えます。医療目的の中には、受けた医療サービス料だけではなく、眼鏡、コンタクトレンズ、デンタルケア、補聴器、処方箋、フィジカルセラピー、車いすなどの器具、ナーシングケアや介護費用、ひいては介護目的の自宅の改装費なども認められるので、実際、所得税非課税で資金を引き出すことはそれほど難しくないでしょう。65歳を超えてからの引き出しは、たとえ医療費目的でなくともペナルティ(65歳前なら20%)なしで行えます。ただし、所得税はかかりますが、たとえかかっても、現役時代と比べて低所得になっていれば低所得税となります。

注)連邦所得税は非課税でも、州によっては州の所得税がかかる場合があります。

 投資目的でHSAを選ぶときは、ふだんこのブログでもお勧めしている、販売手数料なしで(ノーロードで)買えるVanguardなどの低手数料のインデックスファンドが提供されているかがキーになってくると思います。そこでお勧めは、以下の2社。

  • Select Account
  • The HSA Authority

多くの金融機関が、投資運用をする場合には、Annual Investment Fees(年間の投資口座手数料)として数十ドル課すのがふつうです。Bank of AmericaはこのFeeがありませんが、その代わりしばらく前まであったVanguardファンドは提供中止され、残ったファンドの投資手数料は非常に高めなのでバツとします。

SelectAccountは、Annual Investment Feesは$18で、下記の低手数料Vanguardのターゲットリタイヤメントファンドを提供しています。自分のターゲット年を選べば1ファンドで投資が終わるので、便利だと思います。

The HSA Authorityは、Annual Investment Feesが$36で、下記のVanguardのバランスファンド(株式と債券がすでにミックスされたファンド。ターゲットデイトファンドのように、時間が経つにつれ、比率が自動調整されず固定比率です)を提供しています。これもファンド一つで投資が終わります(ただし、時間経過による比率調整は必要)。

Spending + Investingなら

 

本来は1)の医療費の積み立て・引き出し口座を持つことを第一の目的としつつも、年々積み立てているので、だんだんと余剰金が貯まってくるということもあるでしょう。実際、コンスタントに上限額に近い額を積み立てていれば、病気をあまりせず医療費がかからなかった場合、口座残高は着実に増えていくでしょう。この場合は、Spending用のチェッキング口座に全額入れておくのはもったいないので、年間のHigh Deductible額の1~2倍はチェッキングに残しておいて、残りはInvestingに回すのが理にかないます。

最初から、投資運用も念頭に置くなら、Spending、Investingともに評価の良いSelectAccountやThe HSA Authorityを選ぶのがよいでしょう。あるいはとりあえずSpending重視でAlliant Credit UnionやLake Michigan Credit Unionで始めておいて、投資運用をしたくなったときに、SelectAccountやThe HSA Authorityにトランスファーすることもできます。

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