このままでいいのかな? – リタイヤメントプラニング(2)

自分のリタイヤメント準備はどの程度うまくいっているのか、漠然と抱えているリタイヤメント後の生活はなんとか実現できるものかについて知るための、リタイヤメントプラニングシリーズ全三回の今回は第二回です。前回、今何歳で何歳まで働くか、何歳くらいまでを寿命と考えるかを洗い出すとともに、リタイヤしてからは月々いくらくらいの生活費がかかるかを調べました。次のステップは、その生活費をサポートするために今まで準備してきたリタイヤメント資産について調べていきます

リタイヤメント資産を調べる

資産というのは、持ち家、その他の不動産、銀行口座、投資口座、キャッシュバリュー生命保険などなど、その方の所有しているもののことです。現在どのような資産をお持ちで、リタイヤメント時にどのような資産をどのくらいの額所有しているかを洗い出すことで、その後のリタイヤメントにそれをどう使うことができるかを予測することができます。資産のリストアップは、やはり先にご紹介しました財務情報Formにあるバランスシート(下記がサンプル)にご記入いただく形で行います。左側の欄が資産、右は負債です。資産のうちでもたとえば持ち家のように100%自分のものになっていない場合(モーゲージローンが完済していない場合)には、市場価格が左側の資産欄に、モーゲージローンが右側の負債欄に記入されます。それをきちんと把握し、リタイヤメント後は完済の上で住み続けるのか、リタイヤメント後も返済が必要なのか(この場合は生活費でモーゲージ返済額を含める必要があります)、それともリタイヤしたら家を売って住み替えるのかなど具体的なところまでわかる範囲で計画に入れます。

balance sheet

投資口座においては、額だけでなく、それがどういった種類の資産なのなのか(401(k)、403(b)、457(b)、IRAなど)も把握します。なぜなら、法的なリタイヤメント資産の種類によって、運用上のルールが異なるからです。たとえば401(k)やTraditional IRAなどの場合は、70歳と半年を過ぎた時点で、たとえ引き出したくなかったとしても、法的に決められた額(RMD=Required Minimum Distributionといい、年齢と残高によって決まる)を引き出す必要がでてきます。引き出しを忘れると高額のペナルティが発生するので注意が必要であるとともに、このRMDもプラニングの一部に含め生活費の資金繰りを計画する必要があります。一方で、Roth IRAであれば、このRMDは無関係で、必要なときだけ引き出しをするという自由があります。計画的な資金繰りプラニングのために、資産の種類を明確にすることは大切です。

また、それぞれの資産の中で具体的にどのような投資媒体(ミューチュアルファンドの種類など)に投資しており、それぞれの媒体ごとの残高はどのくらいかを明確にすることも重要です。具体的な投資媒体と投資残高が明らかになると、全体的な投資ポートフォリオとして、その方がとっているリスクレベルはどのくらいなのか、リスクのとりすぎではないか、このままの投資方法でいった場合、十分な利回りが得られ将来的に必要なリタイヤメント資金が準備できそうかなどを分析することが可能になります。つまり、その方のリスク許容度や投資期間(リタイヤメントまでの期間)に見合った適切なリスクレベルに設定されているかも見て取ることができます。さらには、個々のファンドが無駄に手数料の高いものではないか、質的にはいいものかなどをひとつひとつ調べることもできます。

このためには、投資アカウントのペーパーステイトメント(定期明細書)やオンラインアカウントを見せていただくことになります。オンラインの場合は、一時的にログインとパスワードをテンポラリーのものに変えていただき、それをいただくことで、中身を見せていただくことができます。もちろん見せていただくだけで、一切変更は加えません。

 

長期介護のことも・・・

医療保険料や医療費などと並んで、リタイヤメント後の生活で無視してはならない大きな要素が長期介護への準備です。長期的に、生きていくうえで医療サービスや非医療の日常生活サービスが必要になることを長期介護と総称します。自分が長期介護が必要になるかならないかはわからないわけですが、必要になったときどう対応するかについては念頭においておく必要があります。

対応法には、家族・親戚のお世話になる、払える分だけ払って、資産が十分少なくなった時点でMedcaidの長期介護を申請する、長期介護に耐えうるだけ資金をためておく、長期介護保険を買うなどがあります。

家族・親戚にお世話になる場合は、お世話になれるような関係づくりをしておくこと、そのための資金をある程度用意しておくことが必要になります。Medicaidを申請するつもりがあるのなら、こちらは収入と財産において加減制限がありますから、資産などの整理を念頭においてある程度の計画性が必要となります。自分で長期介護の資金をためておく場合には、もしも介護が必要になったときそれをカバーする十分な準備金があるか、あるいは持ち家を売るなどの方策が残されているかも吟味する必要がでてきます。長期介護保険を買ったほうがいいとなれば、60代半ばくらいまでには加入を考慮したほうがいいでしょう。この場合は保険料が月々の支出に上乗せされます。いずれにせよ長期介護が必要になった場合どういう対応をするつもりかが、全体的なリタイヤメント計画に組み込まれている必要があります。

 

リタイヤメント後の固定収入の見積もり

リタイヤした後でどのような収入源があり、それぞれいくらかを調べていきます。まずは固定収入からはじめ、最初はソーシャルセキュリティーの老齢年金です。ご自分でソーシャルセキュリティーオフィスのWebサイトに行って、何歳からいくらの年金がもらえるかについて調べることができます。この額は、年金の受給開始年齢によっても違ってきますし、夫婦の場合は夫婦でもらえる額を最大かするためにある程度のプラニングが必要です。具体的な数字がお分かりにならない場合は、現在の収入レベルとこれまでの収入履歴をある程度お聞きすることで、大体の額を見積もることができます。

次に同じく固定収入として、企業年金(ペンション)など、ソーシャルセキュリティー以外の年金が受けられる方は、同様に何歳からいくらの年金がもらえるかについて調べます。通常、受給開始年齢とその額、加えて夫婦の場合は残された配偶者への受給額などいくつかの選択肢が提供されていることが多く、それぞれの会社・団体でWebページが提供されており、それをシュミレーションできるはずです。

またアニュイティをお持ちの場合は、その契約内容についても確認し、どのようにアニュイタイズ(年金化)することができるかを調べます。先にご紹介したRMD(Required Minimum Distribution、70歳と半年を過ぎた時点で、たとえ引き出したくなかったとしても、引き出すことが必要とされる法的に決められた額)がある場合は、それも固定収入と数えられます。

固定収入のうち、ソーシャルセキュリティや企業年金は毎月毎月固定額が入るもの、RMDなどの場合は年齢と残高によって額がある程度変動するが、それでも毎月入ってくるものです。固定収入が老後の生活費と同等か、それを上回っておれば、それだけで老後の生活が成り立っていくことを意味します。そのようなラッキーな方もおられるでしょうが、多くの場合はそうはいきません。不足分がでますので、その額は、持っているリタイヤメント準備資産を適宜引き出して穴埋めするという寸法になります。理想的には、生活のスタイルにもよりますが、衣食住の基本的生活費部分を固定収入でカバーし、それ以外の変動費部分(教養、旅行、娯楽)を、その他のリタイヤメント資産を必要に応じて引き出してカバーするというやり方がよいでしょう。

アニュイティを買うべきか悩んでいるというような場合は、この考え方をベースにして、基本費用に対して固定収入が少ないのであれば購入を考慮、基本費用はすでにカバーできているというのであれば購入は見送るということになります。

 

ここまでで次のことがわかりました。シリーズ第一回目では、今何歳で何歳まで働くか、何歳くらいまでを寿命と考えるか、リタイヤしてからは月々いくらくらいの生活費が必要かを調べました。第二回目では、今まで準備してきたリタイヤメント資産を洗い出すとともに、リタイヤメント資産以外の持ち家やその他の投資口座なども洗い出しました。それをもとにリタイヤメント後、月々得ることのできる固定収入を見積もりました。

最後のステップでは、リタイヤメント資産から少しずつ引き出して生活していくにあたって、寿命までの生活をカバーし続けることができるのかを見ていくのが次のステップ、シュミレーションをしてみます。第三回に続きます。

Print Friendly

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。