一時期、インフレ率をはるかに超える勢いで上がり続けたアメリカのカレッジ費用ですが、ここのところ以前のような上昇は見られません。最新のcollege boardの調べによると、インフレ率を鑑みれば、むしろカレッジ費用は下がっているという結果でした。
2022-2023のカテゴリーごとのカレッジ費用(全国平均)は以下のようです。
州立4年生の州内扱いでトータル$27,940、私立non-profit4年生でトータル$57,570です。
昨年から今年では
昨年度(2021-2022)のカレッジ費用と、今年度(2022-2023)のそれを比較したものが下です。
たとえば、州立大学の州内授業料とfeeは、昨年から今年にかけて絶対額で$190の値上げ、率にして1.8%の上昇でした。私立non-profit4年生の場合は、$1,330、3.5%の値上げでした。
ということで、絶対額においては授業料とfeeは上がっているのですが、ただ昨今のインフレと比べると非常にこれらは小さい上昇であり、インフレ調整を行ったうえでの比較では昨年度より実質的に値下がりしています。
過去30年のスパンで見てみると
下は、1992-93年度から本年度(2022-23)までの30年間を10年ごとの3つの期間に区切り、それぞれの10年の期間にどのくらい授業料の上昇(インフレ調整後の実質上昇率)があったかを比較しているものです。
最初の10年(1992から2002)と次の10年(2002から2012)には10年間でそれぞれ大きく授業料が上昇したのがわかります。一番低い上昇率でもPublic Two Year(コミュニティカレッジ)の最初の10年の16%、一番大きいところではPublic Four Year(州立大)の後の10年のなんと65%の上昇です。
真ん中の10年(2002から2012)には、「インフレをはるかに超える授業料の上昇」が大きな記事になりました。それで、今でも大学費用の準備プラニングには、授業料の上昇を年間5%とか6%で見込んで計算するやり方が依然として残っています。
ところが、2012年以降授業料の上昇はかなりおさまってきており、最後の10年では、一番上昇があったところでPrivate non-profit(私立大)の6%上昇(10年間の数字)であり、Public Four Year(州立大)では実質1%の値下がり(やはり10年間で)という結果です。今後のカレッジプラニングにおいて、年間のコスト上昇を見込む場合は、一般的な長期インフレ率(2022年末時点の10年予想で、年間2.25から2.50%程度)を見込んでおけば十分ではないかと思われます。
上昇率がゆるやかになってきてはいるものの、カレッジ費用は多くの家庭が無理なく拠出できるレベルを、依然として大きく超えているという認識は根強く残っています。実際、上の数字はスティッカープライスと呼ばれる正規価格であり、大学側はさまざまなエイドやスカラシップを出すことで、学生ごとにこのスティッカープライスを下げる(学生ごとのネットコストを用意する)というやりかたをとっています)。
今後、大学プラニングをする場合には、カレッジ費用のスティカープライスの動向も気をつけつつ、ネットコストの動向も考慮しながら考えを進める必要があるでしょう。