質問にお答え: 65歳以降のHSA拠出条件

ご質問: Medicare加入後はHSAに拠出できないのは理解しておりますが、例えば67まで働き会社の保険に加入するとして、それでも65でMedicare Part Aのみ申請するとします。その後のHSAの拠出が可能なのか、それともPart AのみとはいえMedicare加入とされHSAにはもうそれ以上拠出できないのでしょうか?

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短い答え

Part AのみとはいえMedicare加入とみなされ、HSAにはもうそれ以上拠出(積み立て)できません。

HSAへ積み立てできる条件

65歳を過ぎてHSAへの拠出資格を維持するには、主に以下の条件すべてを満たしていることが必要です。

  • 雇用主が提供するHigh Deductible プランに加入していること
  • Medicareに加入していないこと

HSAに積み立てるためには、High Deductible Health Plan(HDHP)に加入しており、さらにはその他のHDHPでない健康保険プランに加入していないという条件があります。MedicareはHDHPではない健康保険プランなので、たとえPart Aのみであろうとも、Medicareに加入した後はHSAには積み立てができなくなります。

  • Social Security Benefitの給付を申請していないこと

65歳を過ぎて働いている場合の健康保険

20人以上の雇用者を持つ雇用主の場合、65歳を過ぎて働いている人にも、今まで同様、健康保険プランを提供し続けることが義務付けられています。雇用者は、1)Medicareには加入せず、今まで通り雇用主の健康保険を使う、2)雇用主の健康保険を辞めて、Medicareに移行する、3)雇用主の健康保険とMedicareのダブル・カバーを得る から選ぶことになります。

一方で、雇用者が20人未満の雇用主で働いている場合は、通常65歳を超えるとMedicare加入をしなければならないのがふつうです。

またSelf-employed(自営)などのため、Healthcare Market Placeなどを通じて、自己でHigh Deductible プランを購入している人は、65歳になると、自動的にMedicareに移行します。

よって、雇用主提供のHigh Deductibleプランを持っている人のみが、HSA
利用の可能性があるということになります。

夫婦の場合にはもう少しフレキシブル

ご夫婦の場合、お一人が65歳を超えて働かれており、継続して雇用主提供のHigh Deductible プランを利用でき、かつMedicareには申し込まれない場合(こちらの方をAとする)は、その配偶者がMedicareに加入していたり、Social Security Benefitを受給していたとしても(こちらの方をBとする)、Aさんは問題なくHSAに積み立てることができます。

もしも、AさんのHigh DeductibleプランでBさんを配偶者としてカバーし、かつBさんはMedicareに加入していたりSocial Security Benefitを受給していたとしても、AさんはHSAに積み立てできます。この場合、AさんはFamily Contribution Limit(家族としての積立限度)まで積み立てることができます(IRS in Notice 2008-59参照)。

退職するときには注意が必要

65歳を過ぎて働き、雇用主のHigh Deductibleプランに加入しつつ、HSAに積み立てをしている人も、いつかは退職をするときがきます。その時にはMedicareに加入するときがくるわけですが、65歳を過ぎてから、雇用主プランからMedicareに移行するときには、少し注意が必要です。

65歳を過ぎた人が退職する場合、退職時にタイミングを合わせてMedicare申請をするのがふつうです。ただしこの時、6-Month Ruleというのに気を付けている必要があります。これは、65歳を超えてMedicare Part Aに申請するとき、その人のMedicare Part Aは、1)65歳になった月か、2)Medicare申請を行った6か月前かの、どちらか遅い方からMedicareカバーが開始するというものです(注:Part Bは申請した次の月から開始。開始時期ルールが異なります)。

HSAに毎月積み立てをしている場合は、Medicare Part Aのカバーが始まった時点からそれができなくなります。

例としては、8/1にリタイヤするので、7/1にMedicareを申請したとします。Part Bは8/1から開始しますが、Part Aは6か月前の1/1から開始したとみなされます。そうなると、HSA積み立ては前年12/31までは許されますが、1/1からは許されません。もしも退職までの間、継続して積み立てをしていたなら、1/1以降の分は超過積み立てとなり6%のペナルティ税の対象になってしまいます。それを防ぐためには、Tax Returnの締切日までにHSA口座から引き出す必要があります。

もしも、年の途中でHSA積み立てができなくなった場合には、年間積立限度額を月割り計算します。

よって65歳を過ぎてもHSAに積み立てることは、条件を満たせば可能ですし、夫婦でうまくコーディネートすれば、家族の限度額まで積み立てることも可能です。ただし、退職をしてMedicareに切り替えるときには、HSA積み立てをいつ辞めるべきかについてあらかじめの計画が必要です。

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