アメリカの自動車保険 - いくらあれば十分か?(2)

Last Updated on 2015年8月20日 by admin

なくてはならない自動車保険、無駄に払いたくない保険料。。。アメリカの自動車保険はいくら買えば十分か、この問題はご家庭ごとに異なっていきます。守るべき資産がどのくらいあるか、医療保険などの他の保険を持っているかなどによって答えは違ってくるからです。このテーマは2回に分けてお届けしていますが、前回はライアビリティー(賠償責任)と人身傷害補償にいてご紹介しました。今回はUI/UIM(無保険・不十分保険ドライバー対応補償)とコリジョン(衝突車両損害補償)、コンプリヘンシブ(包括車両損害補償)についてお届けします。

 

UI/UIM補償(Uninsured/Underinsured Motorist Coverage=無保険・保険が不十分のドライバー対応カバレッジ)

Uninsured Driver (無保険ドライバー)とは、1)全く保険を持っていないドライバー、2)保険を持っているが州が求める最低限度の保険を持っていないドライバー、3)保険を持っているが、その保険会社が保険金を払えない(財政破綻などで)ドライバーです。州によっては、ひき逃げなどで、加害者のドライバーが具体的に突き止められない場合も、無保険ドライバーとみなされます。

Underinsured Driver (保険が不十分のドライバー)とは、州が求める最低限度の保険は満たしているものの、自分が引き起こした事故の補償を100%カバーするには足りないドライバーです。

このカバレッジは、上記のようなドライバーの非で事故にあった場合、被害者であるあなたの医療費、失われた収入、あなたや家周りのアシストのために必要となったヘルパーなどの費用、痛みや苦しみの代償(Pain and Suffering)などを補償します。

このカバレッジは多くの人がそんなに重要と思わないのに、本当はとても重要なカバレッジです。また、他の保険会社と競合したときに、できるだけ保険料を安く提示するために、保険エージェントがこのカバレッジを抜くこともあるようです。是非気に留めて、質問したほうがいいでしょう。

このカバレッジの重要度は統計を見ると分かります。アメリカで運転する人のうち7人にひとりは無保険だとのこと(Insurance Research Council調べ)。ワースト5州は、ミシシッピ(28%)、ニューメキシコ(26%)、オクラホマ(24%)、フロリダ(24%)、テネシー(24%)。反対にベスト5州は、ペンシルバニア(7%)、バーモント(7%)、ニューヨーク(5%)、マサッチューセッツ(4.5%)、メイン(4.5%)、、これは無保険ドライバーだけの数字ですから、これに保険が十分でないドライバーを加えれば、さらに不安は広がります。

もしあなたが事故にあって、相手に非があるのに無保険あるいは保険が不十分であった場合、相手の保険会社からは十分な補償は得られません。その場合、相手に対して直接訴訟を起こすことはできますが、そもそも無保険あるいは保険が不十分であるドライバーは、失業者か経済破綻者であることが多く資産も限られるため、損失のリカバーは容易ではないでしょう。となると、あなたは被害者であっても自分で損失を飲み込むしかなくなるのです。

あなたが万が一、加害者になってしまい人を傷つけたときは、被害者に対してあなたのライアビリティーから補償がでます。反対にあなたが万が一、被害者になってしまい人に傷つけられたとき、相手が十分なカバレッジをもっておらず、あなたもUI/UIMカバレッジを持っていなければ、誰もあなたの損失を補償してくれることがないわけです。理不尽な話ですが、兎にも角にも自分と自分の家族を守るためにあなたができることは、このUI/UIMカバレッジを買うことです。

ではカバレッジはいくらが適当なのでしょう。一般的にライアビリティーのカバレッジと同じ額に合わせることが多いようですが、ライアビリティーはあなたの資産を守るもの、UI/UIMはあなたの損失を埋めるものですから、判断基準は違ってきます。医療保険やディスアビリティー保険が充実していれば、ライアビリティーの額より減らしてもいいでしょう。また、州によっては(19州)、UI/UIMカバレッジのスタッキングを許しています。これはあなたが2台の車を持っていて、ふたつの保険に加入していれば、ひとつの事故に関してもふたつの保険のUI/UIMカバレッジを合計できるというものです。ご主人の車に100/300、奥様の車に100/300のカバレッジがあれば、事故にあったとき合計200/600の補償が得られるというもの。UI./UIMカバレッジは州によって法律がずいぶんと異なりますので、保険エージェントにお確かめください。

一点追加ですが、このカバレッジに対してクレームしても、保険料が上がることはありません。

 

最後のふたつはあなたの車が被った損害をカバーするカバレッジです。

コリジョン(Collision=衝突車両損害補償)

衝突によりあなたの車が被った損害をカバーします。

コンプリヘンシブ(Comprehensive=包括車両損害補償)

衝突以外の理由であなたの車が被った損害をカバーします。火事、盗難、自然災害、ライオット、爆発、落下物などがカバーされます。

 

このふたつのカバレッジは、オプショナルです。いくら買うかは決める必要はありませんが、1)買うか買わないかと、2)買うならdeductibleはいくらにするかを決めねばなりません。また、リースしている場合などは、これらを買うことをリース会社から要求されることが常です。

損害を受けたとき、リカバーできる上限は、修理費かKelly Blue Book Valueのどちらか小さいほうが限度。 Blue Book Valueは車が年をとるごとにどんどん減っていきます。よく使われる目安は、コリジョンとコンプリヘンシブの合計保険料が、Blue Book Valueの10%を超えた段階で、これらのカバレッジをやめるということ。ただし、その場合、もしも盗難にあったりしたら、誰も補償してくれず、自分で新しい車を買うことになりますからリスクはよく理解しなければなりません。コリジョンはやめてもコンプリヘンシブはキープするというのも手かもしれませんが、保険会社によっては片方だけ買えないなど制約がある場合もあるようです。

また、これらのカバレッジの保険料を低く抑えたければdeductibleを増やすことです。Deductibleは通常$250から$1,000の範囲で選べます。急な$1,000の出費が無理せず吸収できる用意があるのなら、deductibleは$1,000でいいでしょう。逆に$500の出費であっても支払いに困るというのなら、$250を選んだほうがいいかもしれません。本来ならばdeductibleを下げて浮いた保険料をためておいて、急な出費に備えるというのが理想です。

コリジョンについてはクレームをするとほとんどの場合保険料があがりますので、Deductibleがせっかく$250に設定してあっても、「やっぱり、保険料があがるのがいやだから$500自分で払って修理しよう」ということになれば、それまで払っていた保険料の無駄遣いです。一方、コンプリヘンシブは、クレームしても保険料があがらない場合もあれば、あがる場合もあるようです。Deductibleは、コリジョンとコンプリヘンシブそれぞれに対し違う額を設定できる場合もあれば、両方とも同じでなければならいとする保険会社もあるようです。詳細は保険エージェントにお確かめください。

 

以上「自動車保険―いくらあれば十分?」でした。ご自分の財務状況と照らし合わせて、コストは抑えつつももしものときには十分なプロテクションを確保できるよう、保険エージェントと相談のうえお決めくださいね。

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