Bank of Americaからプロモーションメールが来ました。IRAを開けば最高で$900をくれるといいます。There is no free lunch..といいますから、$900くれるって裏になにが隠れているんだろう・・とちょっと慎重になるもの。Bank of Americaは2009年にMerrill Lynchを買収しインベストメント事業を展開してきましたが、実はこれまでに何度もこの手のメールを受け取っています。今回は、これっていいディールなのか、ちょっと調べてみようと思います。
下がそのプロモーションです。
IRA口座のプロモーションで、新規口座を開設し最低$20,000をロールオーバーで移せば$150、何段階かレベルがあって、最高は$200,000以上を移せば$900ボーナスがもらえるというものです。
銀行口座を開いて一定額入れたら、ウン百ドル差し上げます・・・的なプロモーションはアメリカではよく目にしますね。以前このブログでもご紹介しましたが、我が家でもCaliforniaの529口座に一定額以上トランスファーすると最高$500差し上げます・・というプロモーションを利用しで、子ども二人の2口座を開き合計$1,000をもらったことがあります。この口座は今でも持っており、大きな裏もなく、また問題もなく、今のことろ満足して使っています。
この手のプロモーションは、もちろん金融機関にとって特になるからあるのは確かです。ただで、ひとりウン百ドルを提供しても、それによって獲得した顧客があとあと利益を生むから最終的には得になるという計算です。あるいは新規のサービスだったりする場合には、その新規の顧客自体が利益を生まなくとも、認知度向上などが図られ、全体的かつ長期的に利益を生むということかもしれません。同じウン百ドルを支給した場合でも、顧客Aからはそれほど大きな利益があがらなかったが、他の顧客Bからは非常に大きな利益が得られ顧客B本人だけでなく顧客Aのコストまでカバーし上回ったので、プロモーションは全体として黒字となったということもありえます。つまりボーナスをもらって得をする顧客と、損をする顧客があるということです。
私たち消費者としては、ウン百ドルもらって、自分のケースでは結果的に高くつくことはないか・・ということに注意しなければならないことになります。消費者としては、自分は、自分が得するのか金融機関が得するのか、どちらのケースになるのか・・ということも予想してみることが必要です。
ミューチュアルファンドなら
この口座では、Stock(個別株)投資、ミューチュアルファンド投資、ETF投資が選べますが、ミューチュアルファンドに投資した場合の手数料(Expense Ratio)を見てみましょう。下は一部抜粋ですが、Expense Ratioは全体的に高めであるのがわかります。1.00%前後が多く、高いものは1.78%というものもありました。サブプライム問題に始まった金融危機以降、ファンドの低手数料化は否めないトレンドで、手数料に敏感な投資家も増えている中、まだこのような高手数料ファンドが存在していることにちょっと驚きました。
$200,000の1.00%は$2,000ですから、最初に$900もらっても差引$1,100のコストになります。しかもこれは一年目だけの話。二年目以降も、$2,000(運用で投資残高が増えればそれ以上)の手数料は継続します。例えばもしもどこか他の機関で低手数料運用していたとして、手数料が仮に0.30%だとしたら、年間$600のコストで済んでいることになりますから、IRAはロールオーバーせずそのままにしたほうが断然お得ということになります。
それに加えてファンドによってはセールスロード(販売手数料)がかかります。たとえば、下のAPGAXというファンド、一応5つ星ファンドになっていますが、中身を見てみると1.02%のExpense Ratioに加えて、4.25%のセールスロードがかかります。$200,000を全部これに入れるというような人はいないかとは思いますが、一応計算してみるとセールスロードだけで$200,000x4.25%=$8,500です。
Bank of Americaの提供するファンドひとつひとつよく見ていけば、セールスロードもなくExpense Ratioも低いファンドもあるにはあります。そういうものだけで自分のニーズにあうポートフォリオが組めるかどうかは定かではありませんが、少なくとも手数料の低いファンドを買うことは可能ではあります。よって、そのようなファンドに投資するのに徹すれば、場合によってボーナスをもらって得をして終わるというケースもあるでしょう。
ETFなら
ETFの場合はどうでしょうか。ETFの場合は、セールスロードはなく、取引のたびに$6.95を手数料として払います。Expense Ratioはミューチュアルファンドに比べて格段に低く、0.20%以下です。
よってETFならば、いったんポートフォリオを組んでその後売り買いは控え、長期投資をするというスタンスであれば、大きく損をすることもなくありがたくボーナスをもらうということも可能です。
ただ、ETFはミューチュアルファンドとは違い、売り買いが簡単で、機会をみながら利ザヤを稼ぐ誘惑にかられやすいという難点があります。実際、2016年のデータでは、全米の投資取引で、シェア数でも取引額でも、最も取引されたシェアは上位12位までがETFで、13位ににやっと個別株が出てきます。人気ETFが人気個別株以上に売り買いがされているのがわかります(Credit Suisse調べ)。もしも頻繁に取引をするならが、取引手数料がかさんむ危険もあるでしょう。
$900のボーナスが吉とでるか凶と出るかは、その人その人のケースによります。もしも、低手数料のミューチュアルファンドを見つけて運用したり、ETFでポートフォリオを組んで取引はせず長期投資するという人であれば吉とでる可能性は高いです。一方で、知らず知らずセールスロードやExpense Ratioの高いファンドを買ってしまったり、ETFで取引ばかり重ねてしまうというのであれば、ボーナスがすぐふっとんでしまう可能性もあります。
ボーナスにはすぐ飛びつかず、このあたりまで想像を膨らませておくことがよいでしょう。
私個人的には、$900には惑わされないで、そもそも低手数料のVanguardでの長期投資に徹しておくのを選ぶでしょう。Vanguard社はおそらく$900のボーナスプロモーションは打つことはないように思いますが、それはそういうプロモーションをしなくても売るべきセールスポイントがあるという意味だと理解しています。
いつも貴重な情報ありがとうございます。いろいろと参考になる記事が多く勉強させて頂いております。
私はまさにMerrill Edgeに口座を開いてミューチュアルファンドに定期的にお金を入れています。手数料の事あまり気がつかず自分のプラン(スクリーンショットにも入っているIALAXなど)を見直してみたら”Load waived”となってました。なぜそれが適用されているのかはよくわからないのと、今後一切かからないのか?というのも不明ですが、”手数料フリー!”と理解してます。あっているんでしょうか・・・?
FideltyとMerrill Edgeに投資口座持ってますが、おすすめの Vanguardも調べてみたいと思います。
“You may purchase shares of Load Waived funds in a Merrill Edge Self-Directed account at net asset value (NAV) without being subject to upfront sales charges or load. Load Waived funds may be identified by an “NTF” icon and display the Load Type as “Front-End Load” and Load Percentage as “Load Waived”. Investors purchasing or selling shares of Load Waived funds will not be charged a Transaction Fee in a Merrill Edge Self-Directed and are not subject to the Merrill Edge Short Term Redemption Fee”
Sales loadはいろいろある手数料のうちのひとつ(購入時にかかる手数料)です。Expense Ratioを調べてみることをお勧めします。
インベストメントの手数料にお気をつけを!(2)-Expense Ratio
ファンドのティッカー(4~5文字の英字コード)とExpense Ratioでグーグルサーチするとすぐ出てくると思います。
貴重な情報ありがとうございます。
痒い所に手が届くような内容に関心しております。
ハワイ在住です。
手数料無料のM1ファイナンスに興味あり、色々検索している時このブログを発見しました。
M1ファイナンスについてご意見聞かせていただけますでしょうか?
私はM1ファイナンスはよく知りませんで。。有用なコメントはできませんが、ちょっと見てみるに、スマホなどで気軽にトレーディングをしたい、ロボアドバイザーにポートフォリオを組んで欲しいなどの場合には、よいようですね。今のところ、手数料もゼロnoyoude.