車選びには、購入するときに支払金額がいくらかだけでなくトータルコストを考える必要があるということは、お聞きになったことがあるでしょう。燃費などは割とよく考え付く要素で、多くの人が注意しますね。あとはもちろん車の信頼性も大事で、故障して修理費がかからないか、メンテナンス費用はどのくらいかかるかも考えます。それから保険料。これも毎年かかるもので、とくにカリフォルニアなど保険料が高い州では、ばかにならない費用です。ですが、トータルコストのなかで、一番大きな比率を占めるのはこれらのどれでもありません。その隠された費用に目を留めないことは実は知らず知らずの浪費にもなりかねません。反対にその隠された費用に目を止めると、賢い車購入も可能になります。今日はそのお話しです。
・・ということで、車保有に関する最大のコスト、それはDepreciationです。日本語では訳しにくい言葉ですが、減価とでもいいましょうか。ただ、持っているだけで時がたつに従って価値が減少していくことです。
日本は新型モデルとか新品とかに対する意識が高いので、日本での車の減価は非常に激しいですね。日本ではマンションなども同じで、土地は高騰しますが、建物は減価していくのが普通です。アメリカはちょっと違って、建物も古くなっても値段が上がっていくのは、アメリカではじめて家を買ったときにびっくりしたことでした。ただ、車の場合は相当な希少価値のあるアンティーク車でない限り、いくら高級車でも値段が上がるということはありません。アメリカでは、日本ほど急激ではありませんが、車の減価は着々と進みます。
ディーラーの敷地から道路に出ると・・・
以前、中国人のお友達が、GMCのYukonというSUVの、その中でもハイエンドモデルを買いました。ところが、買って3か月して半永久的に中国に帰ることになり、車を売らなくてはならなくなりました。私に買わないかといいますが、私にはなんといってもあまりに大きすぎるSUV。他に買う人もあわられず、彼女は自分が新車購入したディーラーに売らざるを得なくなりました。ディーラーが提示した価格は、彼女が3か月前に払った額の約$10,000少ない額でした。彼女はとても怒っていたけれど、でもこれはディーラーが悪徳だったわけでもなく、哀しいかな世の事実です。
車は購入してディーラーのパーキングロットから出た瞬間に減価が始まります。減価はどのメーカーのどの車にでも同じように起こることですが、減価のスピードはそれぞれ大きく異なります。たとえば、GMCのYukonの場合。。。
最初の一年で、$12,811減価します。事故もなく、大きな傷もつけず、普通に使っていてもこれだけ減価します。上のお友達の場合、3か月乗っただけで$10,000はちょっとかわいそうな気がしますが、ただ最初の一年のうちでも最初の数か月が一番減価スピードが速いことを考えるとあながちウソでもないだろうとも思います。ディーラーの敷地から道路に出た瞬間に$1,000くらい下がる感じでしょうか・・・。
上の表で見てみて、5年間の合計減価額は$27,100。トータルコストの$61,817の43%に及びます。
減価のスピード
減価のスピードは車によって大きく異なります。たとえば、まったく適当に何台か選んでつくってみた表が下記です(データはedmunds.comより)。
GMC Yukon 、Volvo S60は1年目のドロップが激しいです。新車で買って数年乗って売るとなると、一番Ownership Costが高い時に乗って売る、つまり高く買って安く売るというようなことになります。
減価のスピードが速いからといって必ずしも悪い車、すぐ壊れる車ということではありません。たとえばVolvo S60はパフォーマンス、安全性、信頼性の上でもかなり高いレイティングを誇っている車です。減価のスピードは、その市場での人気度、中古車の需要と供給、新型モデルのメーカー側戦略などにも影響されます。よって、クオリティの高い車を新車でなくてよいのでお得な価格で買ってなるべく長く乗りたいなどという場合には、たとえばVolve S60のような車を1年落ち中古で買うというのは賢い選択だと思います。
GMC Yukonは一年目のドロップが非常に激しいですが、その後の4年間は他の車より低い減価率で安定しています。このような車は、新車で買うのはできる限り避け、2年目で買うのが鉄則とも言えます。
反対に言えば、GMC YukonやVolvo S60のような車をもし新車で買うなら、数年乗って売るなどということは最初から排除して、なるべく長く乗りつぶすほうが賢いとも言えます。
1、2年落ちの中古車はCar BuyingのSweet Spotとも呼ばれ、減価がある程度緩やかになった後だが、まだメーカーWarrantyが生きていたり、あるいはCertified Preowned Carとして新たなベネフィットがついていたりする状態で購入できます。
長く乗れる車となると下記のような車があがっています(iSeeCarsより)。
一方で、減価が緩やかな車、たとえば上の線グラフでのAcura MDXやMazda 3などは、数年新車で乗って、比較的高い値段で売り、乗り換えるというのも問題ない車です。iSeeCarsの調べでは、新車で買うのに向いている車というのは下記のとおりです。Nissan Frontierの一年めの減価率に上のEdmundsのデータとちょっとかい離がありますが、別データソースということでご理解ください。。
ちなみに、Luxury Carと呼ばれる高級車はだいたい概して減価スピードが顕著です。Cadillac, Lincoln, Mercedes-Benz, Jaguarなどです。また、同じ車の種類の中でもアップグレードパッケージの型のほうが早く減価します。よって高級車に乗りたいという方は、リースのほうが理に適う場合が多いかと思います。購入かリースかはこちらに比較があります。
いつも大変参考になる情報をシェアして頂き、凄く助かっております。20年くらい前に日本のテレビで中古車販売会社の悪徳商法の手口を見ました。事故車を偽装して売ったり、総走行距離を本当はもっと長いのに、短く変更して販売していました。多分大半が良心的な中古車販売会社だと思うけど、日本でこれだからアメリカはもっと信用出来ないと信じて、新車が一番安心と思っていました。でも今回の記事で、1年落ちの車を買えば、かなりお金をセーブ出来ると知り、目からうろこでした。本田シビック2006に乗っていますが、まだ11万マイルなので壊れるまで乗るつもりです。
そうですか。私もアメリカの友人で、実際そのような偽装中古車をつかまされた人を知っています。確かに中古は中古で、新車では必要のないチェックをする必要がありますね!それも今後のテーマ候補として覚えておきます。
いつも参考にさせていただいております。
私の経験からも、新車購入はコストパフォーマンスが良くないので買いません。
(もちろん、数千~数万ドルなど気にしないぐらいの超富裕層なら別ですが)
ただし型落ちの車を買うのもちょっと嫌なので、新車から2-3年落ちでモデルチェンジしていないものを買うと長く乗れるというのが実感です。2-3年のUsedは、リース落ちで結構いい状態のものが出回っていると思います。逆にそれ以上古くなると、故障やHigh Mileage、Salvageのものを偽装したり、という心配も出てくると思います。
このブログに関連すると、昨今の米国の家計債務のうち車のローンがかなりの部分を占めてきているようで、半面リースが払えず1年未満でも手放したり、ほぼ新車に近いような状態の車が随分流通してと思われます。0%APRとかにつられて買っても、家計の固定費として重くのしかかるので、その意味からも固定費はできるだけ軽くしておくのがいいと思います。
いわゆるレモンカーの心配は、購入する車と同じメーカー系ディーラーのUsed Carで買うのが一番安心できました。さらに、ディーラー系でもそのディーラーが取り扱う別のメーカーのUsedを買ったことがありますが、メンテナンス時の部品取り寄せとか、テクニシャンの質などで不満を感じたことがあります。
よい情報をありがとうございます!