日々節約して貯めたお金が銀行にそのまま眠っているのですが・・・というお話をよく聞きます。お金の管理をこつこつする日本人には案外あることかもしれません。あるお金は(いや、ないお金もクレジットで・・・)どんどん使ってしまう消費先行のアメリカ人には、うやらましいことでしょう。でも、ほとんど利息もつかないまま銀行において置いてもいいのか・・と悩むことはありますね。ぜいたくな悩みではありますが、でも深刻な悩みでもあります。チェッキング口座に眠っているお金は、実際は目減りしている可能性が大だからです。今日は、そんなちょっとまとまったお金をどうするかを考えて見ましょう。
非常時の蓄えは十分?
まずチェックが必要なのは、非常時の蓄え(英語ではRainy Day Fundと呼ばれます)が十分あるかです。こちらの記事で紹介しましたが、持っている資産をすべてリストアップしてみて、流動性の高い資産(もともと現金か、すぐに現金化してすぐ使える資産)が十分にあるかをチェックします。月々の生活費用の3倍から6倍ほど用意するべきというのがよく言われるルールです。ケガや病気になったとき、医療保険ではどのくらいカバーされ、どれくらいは自己負担になるのか、HSA(Health Saving Account)など他の口座に使えるお金があるか、車をぶつけた場合や盗まれた場合、自動車保険でカバーされない費用なはいか、病気やケガで一時的に働けなくなった場合、所得保障保険などで収入がカバーされるか、急に解雇されたらどうなるか、など自分に起こりうる非常事態をある程度想像して、どのくらいの額の蓄えが必要か割り出します。
この蓄えが十分ではないという結果になった場合は、銀行口座の現金はあるべくしてそこにある(投資などに回すべきでない)お金と考えるべきです。投資にまわせば、リスクが発生し短期的には目減りの可能性もありますし、そのうえ必要なときすぐに現金化できません(すぐに現金化できたとしても、目減りしたまま現金化せざるをえないような状況に陥りかねません)。
以前は、非常時の蓄えの「蓄え場所」にはマネー・マーケット・ファンド(MMF)をお勧めしていました。しかしながら、現在では納得のいく利回りを出しているMMFは皆無に等しく、さらにはマネー・マーケット(MMF) の知られざるリスクでも書いたとおり、 MMF独自の問題もあるので、少なくとも現在は避けたほうが無難だと思われます。ただ、今後金利が上がっていくにつれ、MMFの利回りも改善される可能性は大で、予想されるMMF関連の法律やルールの見直し後は、またMMFが安全で信頼できる短期投資になる可能性はあります。
残るは、短期CDやHigh Yield Savingなどを利用する方法です。オンラインバンクのHigh Yield Savingには非常に魅力的な利回りを提供するものも多いですから、ぜひ考慮されるとよいでしょう。
モーゲージ以外の借金はない?
次に、条件のよくない借金がないかをチェックします。通常、モーゲージ以外の借金は、余剰金があるのなら返してしまったほうがいいと思われます。その中でも特にクレジットカードの借金は、すぐにでも返してしまいたいものにあたります。最近は最初の1年とか1年半は0%でクレジットローンが組めるカードも多いですが、これらはその期間が終わるとガクンと金利が上がるものがほとんどなので、「期間中に月々の支払いで100%返済できるからOK」という具体的計画があるのならいいですが、そうでないのであれば、すぐに返済してしまったほうが安心です。
それ以外にも学生ローンや自動車ローンなど、銀行の0.05%などという利息に比べればずっと高い金利がかかっているものがほとんどでしょうから、眠っているお金の有効活用法はまずは借金返済ということになります。
3年~5年くらいを目処には使う予定なら・・・
十分な非常時の蓄えもあり、返済すべき借金もないとなった場合は、そのお金が必要となる可能性がある期間を考えて見ましょう。たとえば、車の買い替えや家の購入・リモデルなど3年以内に必要になりそうなお金であるとすれば、3年もののCDなどで少しばかり高い利回りを狙うという方法があります。あるいは、High Yield Savingを利用するのも手です。
2014年2月現在では、5年ものCDくらいになると2%という金利レベルまで上がります。見るとHigh Yield Saving(2014年2月現在は1%弱)よりも思い切ってCDにしたほうがいいように思います。ただ、ポイントはCDの場合、今後市場金利が上がっても、金利は当初の契約のまま据え置きであるということ。一方、High Yield Savingは市場金利の上昇につれて、その金利も上昇します。今後、必ず市場金利は上がっていきますので、そのあたりも考慮に入れつつ、敢えてHigh Yield Savingを選んでおくというのも得策かもしれません。また、CDの場合は、早期解約するとペナルティを課される場合がほとんどです。せっかくの2%の金利もペナルティで喰われる可能性がありなら、やはりHigh Yield Savingのほうがいいかもしれません。保持期間、解約の可能性を考慮して、CDかHigh Yield Savingかを選択するとよいでしょう。
5年以上たぶん使わないなら・・・
たとえば7年後に結婚○十周年の記念クルーズに行くというようなケースは中期計画になります。記念クルーズ系の中期資金なら、利用までの期間により、High Yield Saving、CD、短期債券ETFなどを組み合わせて、低リスクで運営するとよいでしょう。そのような特別ケースでもなく、5年以内に使う予定がないとなると、おそらくそれは学資とかリタイヤメントをはじめとした将来のための長期投資にまわしてもよいお金になる場合が多いのではないでしょうか。
学資であれば、529アカウントを開くのがお勧めです。ただし、場合によっては、529外の通常投資アカウントで投資したほうがいい場合もあるかもしれませんので(Education Tax Creditを利用する場合など)、判断は総合的にします。529では、大学入学までの年数によりとれるリスクを決め投資する内容を決めますが、ある程度の期間があるなら株式ファンドへの投資を含めるといいでしょう。期間が短くなるにつれ、債券ファンドの投資比率を上げます。Aged-Based Fundといって、自動的にこの調整をしてくれるものもあります。
将来への準備であれば、リタイヤメント口座を利用しましょう。401(k)や403(b)などの給料天引きが利用できるのであれば、その掛け金を増やします。掛け金を増やすと手取り給与が少なくなります。生活資金が足りなくなったら、銀行にあるお金を使います。こうすることで、所得税を節税しながら、税遅延で運用できる投資口座を利用することができます。今銀行にあるお金を直接401(k)に入れることはできないので、掛け金を増やすことで対応し、間接的に銀行にある余剰金を401(k)へ移す効果を生み出すわけです。
401(k)以外には、IRAを利用できるならそうします。こちらは所得によって利用限度がありますが、利用できるのであればやはり税遅延で運用できるので有利です。これは銀行にあるお金を直接入金することができます。
401(k)もIRAも利用できるものは最大限掛けているとか、最大限までは利用したくない何らかの理由(たとえば、必要なときには現金化できる形を確保したいなど)がある場合は、通常の(税遅延のベネフィットのない)投資口座を利用します。リタイヤメンと口座は老後前に引き出すとペナルティがありますが、通常の投資口座はその限りではありませんから、どうしてもお金が必要になったときは自由に換金することもできます。最近では、ETFが身近になりはじめての投資家でも簡単に投資が始められるようになりました。
次回は、投資を始めてみたいがどう始めていいかわからないという方のために、小さくはじめる投資について考えます。
初心者にも分かりやすいファイナンスの知識を得ることが出来るサイトを探していてここまでたどり着き、お気に入りサイトに登録しています。
投資関係のトピックは全て目を通したと思いますが、さらに個人的に質問がありご連絡しています。
半年内に満期が来るCDが150Kがあり、その後の配分の方法を悩んでいます。以下現状です。
(1)401Kにマックスで入れています。
(2)Roth IRAに最高額6k入れました。(今年度分)
(3)529Education Accounts に3Kずつ追加投資。(子供二人)(Vanguard)
(4)住んでいる州の教育基金(Mutual Funds)に5Kずつ追加投資。(子供二人)
(5)夫婦共同名義のBrokerage Accountもありますが今年度はまだ追加投資してません。
CDよりももっと効果的で将来の見返りが期待できる選択肢を探しています。お時間がある時にお返事を頂けると幸いです。
コメントありがとうございます。
「CDよりもって効率的」が単に利回り確保という意味であれば、(5)の口座で投資するのがよいかと思いますが、ただ、こればかりはそれぞれの方の長期的目標やリスクマネジメントとの関連によりますので、一概にお応えすることができないかと思います。