カレッジ資金のために保険を買う??

Last Updated on 2020年9月20日 by admin

周りではこの秋から入学するカレッジが決まった高校生のシニアたちが何人かいます。希望校に受かった人も、そうでない人も、それぞれに全力を尽くし、よく考えての決断です。新しいスタートが希望と夢に満ち満ちたものでありますよう、心からお祈りいたします。

さて、入学が決まって学費の捻出に心を砕いているご家庭もいらっしゃるでしょう。まだ、カレッジまでは何年かあるけれど、これからカレッジのために資金を準備せねばならないという家族もいらっしゃるでしょう。

そんなご家庭に生命保険やアニュイティなど保険商品を勧める保険のセールス・パーソンやプラナーがいるようで、それを問題視した記事を見つけましたので、それについて書きたいと思います。

親の不安につけこんだセールス

生命保険やアニュイティなどの保険商品を購入することはFAFSAなどファインシャル・エイドの申請で有利に働き、結果的にたくさんのエイドを獲得することができ、また効率的に利回りを得て、必要であれば低金利でローンを組むことができるといようなふれこみで、このような商品が売られているようです。本業は保険のセールスであっても、表向きはカレッジ・プラナーというような職業を名のっていて、場合によってはハイスクールなどが主催するカレッジ・セミナーなどにもやってくることがあるそうです。

学費の高騰に対しては、親も非常に大きな不安を抱えており、「少しでもファイナンシャル・エイドを多くもらい、学費のやりくりを可能にしたい」という切迫したニーズがあるので、生命保険やアニュイティなどの「すばらしい」セールスポイントをアピールすると、いともかんたんに顧客として獲得することができるらしいです。

こういった保険商品をすぐに購入する資金がない場合は、セカンド・モーゲージを組んだり、余分に手元に現金を残す形でのリファイナンスをしたりすることで資金をつくるよう勧められることもあるそうです。

多くの場合、害があっても利はありません

結論から申し上げますが、多くの場合、このような保険商品の購入はファイナンシャル・エイドの申請上、何の効力もないことがほとんどです。そればかりか、多額の現金が、本当は必要のない生命保険やアニュイティに「縛られた」状態になることは、かえって学資を捻出しやりくりして払っていくのに問題となることも多いでしょう。契約してしまってから、気が変わってキャセルしたいとなっても、これらの商品には非常に高額のキャンセル料がかかることが多く、非常に高くつくミステイクとなります。

もし、カレッジ費用の準備のために、生命保険やアニュイティをお考えの場合は、よくよく吟味のうえ決断をされますように。生命保険やアニュイティは、目的にかなった使い方をすると非常にすばらしい商品ですが、あれこれフリルがつけられた「魅力的なPRポイント」に釣られて契約すると痛手をこうむりがちのものでもあります。上記でも書いたとおり、投資アカウントのように気軽にキャンセルもできないことも多いですから、十分にお気をつけください。セカンド・オピニオンが必要な場合は、ぜひSmart & Responsibleにご連絡ください

以下が、生命保険やアニュイティがカレッジ資金調達のためにふさわしくない理由です。

不要な生命保険部分

キャッシュバリューが溜まり、投資効果も期待できるVariable Lifeなどの終身保険は、投資であるより先に終身保険です。終身保険が本当に必要でないのに、投資のために契約すべきものではありません。両親が死亡した場合の補償としては価値があるものですが、両親が死亡しないことを想定しての資金準備には大きな威力のあるものではありません。必要な保険料を払うことでかえってコスト高となる可能性も大です。

収入のほうが威力あり

保険商品はFAFSAで資産に数えられないので、結果的にファイナンシャル・エイドが多くもらえるようなるというのがよく使われるふれこみですが、FAFSAの計算では、資産よりも収入のほうが大きな影響力を持ちます。収入がある程度以上なら、もうすでにエイドがもらえる可能性がかなり薄くなり、資産を保険商品という形に代えようが代えなかろうが、最終的なエイド額は変化がないことがほとんどです。

資産にも許容額あり

銀行口座や投資口座(リタイヤメント以外の)はFAFSAで資産に数えられるので、保険商品に形を変えたほうがいいというよく言われます。しかしながら、銀行口座や投資口座などのFAFSAに数えられる資産も、ある程度までは持っていても数えられない許容額というのが設定されています。たとえば、両親のうち年上のほうの年齢が50から60歳の間の場合、$46,000から$61,000までの資産がカウントされません(2020年現在アップデート:このカウント額はどんどん縮小され、2020年で$9,400までに下がりました)。401kやIRAなどのリタイヤメント口座はもともと除外されますから、わざわざ保険商品に資産を移す必要はそもそもない場合も多いでしょう(2020年現在アップデート:カウントされない資産額の減少があったため、一定条件を満たせば限られたケースでは資産を移して功を奏するケースもないとはいえないと思います)。

5.64%の影響力

多額の銀行口座や投資口座を持っている、あるいはレンタルプロパティを持っているというような場合も、資産がファイナンシャル・エイドの額に与える影響は限られています(前述のとおり、収入のほうがずっと大きな影響があります。よって操作するのであれば、収入を操作するほうが大きな効果があります)。許容額を超えた資産に5.64%をかけた額の分だけ、ファインンシャル・エイドの額(正確にはEFC)に影響があるのみです。

保険商品もカウントされるかも

またファイナンシャル・エイドを申請する大学によっては、FAFSAではなくCSS/Profileという別のエイド申請システムを使っており、この場合は保険商品に形を変えた資産もカウントされる場合もあります。保険商品を買って資産を減らそうとする場合には、まずは希望校のファイナンシャル・エイドのシステムで保険商品がカウントされないことを確認したほうがよいでしょう。

現金が自由にならない

もしも現金が必要になったとき、保険商品からローンを受けることが可能な場合もありますが(多くの場合学生ローンよりも金利が低いようですが)、そもそも買う必要のない保険を買ってローンを受けるのなら、現金や投資として手元にあったお金から支払うほうが効率がいい場合もあるでしょう。もし保険商品を購入するために、セカンド・モーゲージやリファイナンスなどローンを組んでいるのなら、ダブルで金利(モーゲージ+保険からのローン)を払うことにもなりかねません。

簡単にできないキャンセル

思い切って解約しようとすれば、多額のキャンセル料(Surrender Feeなどと呼ばれる)がかかる場合も多いです。アニュイティについては、59歳半以前に引き出した利子分については10パーセントのペナルティもかかります。

投資としてはバツ

またVariable Life商品などは、株式市場のリスクは回避し最低利回りを保証している場合もあります。ちょっときくと、元本割れはなく最低利回りが確保されそのうえ株式市場が調子がいいときはそれなりに利回りがでる・・と魅力的に聞こえますが、よく内容を吟味してみると結局最低利回りが非常に低かったり、利回りの上限が設定されていたりで、消費者にとっては決して有利な内容でないことが多いです。加えて多くの種類の手数料が課せられることも常で、実際のところ、思うような投資効果は望めないことも多いでしょう。

4 comments

  1. 保険のセールスもあの手この手なんですね。

    基本、5.64%ってのを心に留めておくのが、こういうのに引っかからない対策になりそうです。
    1ミリオンの資産があって、自宅がその$500Kで、リタイアメントに$300K、その他の資産$200K、年齢で$50Kくらい許容額をもらえる(こんくらいが現実的な程度かな?と勝手にと想定)とすると、実際に影響の出る資産は、$150Kの5.64%の、$8460だけってことでしょうか?

    そんなに心配するもんでもないかもですね。
    いつも思うのですが、CNNとかお金持ちを想定していることが多くて、現実とのギャップを感じます。
    平均的な庶民の視点で見ると、そんなに特別なことしなくても、生きていける感じがするんですけれど。

    1. そういうことですね、Cheeさん。私も雑誌やメディアで騒いでいることが必ずしも多くの人に当てはまらないことって多いなあと思います。でも、なんか「ホットトピック」みたくなると、どのメディアもいっせいにそれを取り上げて、そうするとそれがいかにも万人がしなければならないことのように信じ込まされることって多いでしょうね。本当はそれぞれの家庭でそれぞれなのに。。

  2. 適切なトピックを間違えてしまいましたのでこちらに新たに書かせて頂きました。
    以前、529プランについて質問させて頂いたものです。先日日本人コミュ主催のセミナーに参加し、資産管理などのお話をAIGの方から聞いてきました。わからない言葉などあり全部は把握できていないのですが。。その中で、Mutural Fund とIndex Fundについての説明があり(Indexに乗り換える人増えている)私の現在の状況(子供の学費、老後資金など)をお話すると、Index Fundとして積立生命保険を勧められました。毎年5000から6000ドルを15年ほど入れると、最終的にいくら手元に残るか、5年後から元本保証になる、非課税である、医療費としても引き出せるなどの説明を受けてグラフにして頂きました。
    また、529は引き出した際収入としてカウントされるが保険はされないので影響がないなど。
    RothIRAにお金を入れていこうと決めていた矢先なので、保険を勧められるとは思っておらず、
    どうしたらよいか考えあぐねているしだいです。AIGの方は529はとりあえずそのままキープ(ペナルティーを避けるため)、RothIRAはやめて保険1本にして学費と老後に備えたほうがいいとのアドバイスです。ちなみにこのプランのデメリットは全く聞いていません。どう思われますか?私の周りでは基本大黒柱ではないので生命保険は不要、また引き出すときの手数料が高いなどの声があがりました。
    このまま、529プランとIRAを続けたほうが無難でしょうか。

    1. この生命保険がどういう商品なのかよくわかりませんので、一概にいいとか悪いとか申し上げられませんが、一般的には、死亡保障が要らないのであれば生命保険は買う必要がないと思います。不要な死亡保障にお金を使うくらいなら、全額運用に回した方がいいというのがファイナンスの基本です。また、529からの引き出しは、カレッジ資金に使う限りは収入としてはカウントされません。あくまで一般的なケースでは、学資は529で老後資金はIRAでが基本かと思います。

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