ソーシャルセキュリティーは生命保険でもあることをご存知でしょうか。ソーシャル・セキュリティーというと、Retirement Benefits(年金)を思い浮かべる人が多いのですが、家庭の経済を支える勤労者が亡くなったとき、残された家族の生活を守る補償、Survivors Benefitsも規定されています。子どもふたりの平均的な勤労者世帯にとっては、ソーシャル・セキュリティーの補償は$500,000の生命保険にも匹敵するという計算もあります。保険会社から生命保険を購入している方も多いと思いますが、ソーシャル・セキュリティーのSurvivors Benefitsを知っておくことは、より適切な無駄のない生命保険プラニングにも大いに役立つでしょう。
Survivors Benefitsは、ソーシャル・セキュリティーの三大柱である1) Retirement Benefits、 2) Disability Benefits、 3) Survivors Benefitsのうちのひとつです。家計を支える勤労者が亡くなることは、残された配偶者と子どもたちにとって、精神面だけではなく経済的にも大きな影響を与えます。Survivors Benefitsは、残された家族が生活を維持していくための経済的手助けとなる補償です。
Survivor Benefits を受ける資格
Retirement Benefits と同様、クレジット制をとっています。Survivor Benefits を受けるために必要なクレジットは、あなたが死亡した時点での年齢によります。死亡時の年齢が低いほど、必要なクレジットは少なくてすみます。必要なクレジットは最高でも40クレジット(10年の労働期間にあたる)です。
しかしながら、必要クレジットを満たしていない場合でも、あなたの子どもとその養育者であるあなたの配偶者に、何らかのBenefitsが支払われるような特例も用意されています。死亡する直前3年間に、あなたが一年半(6クレジット)働いていれば、残された家族は補償を受けることができます。
Survivor’s Benefitsが受けられる人とは
- 60歳以上の配偶者(障害者の場合は50歳以上)
- 16歳以下か、あるいは障害者であるあなたの子どもを養育している配偶者(年齢にかかわらず)
- 60歳以上の元配偶者(障害者の場合は50歳以上)ただしあなたと10年以上婚姻関係にあり、かつ60歳以前に再婚していないこと
- 16歳以下か、あるいは障害者であるあなたの子どもを養育している元配偶者(年齢にかかわらず)
- 18歳以下のあなたの未婚の子ども
- 12年生までの学校にフルタイムで在学している19歳以下のあなたの未婚の子ども
- 22歳までに障害者となったあなたの子ども(年齢にかかわらず)
- 62歳以上のあなたが扶養していた親
Survivor’s Benefitsのしくみ
実際のBenefitsの額はあなたの収入によって決まり、一般に収入が高いほどBenefitsも多くなります。実際に受け取る月額Benefitsは、あなたが受け取るはずだったソーシャルセキュリティーRetirement Benefitsに、決められたパーセンテージをかけたものです。このパーセンテージは、Benefitsを受ける人の年齢とあなたとの関係とによって決まります。
Full Retirement Age(生まれた年により変わり、65歳から67歳の間です。一覧表はこちら)以降であれば、あなたの配偶者はあなたの年金額の100%を受け取ることができますし、Full Retirement Age以前であるなら、71%から94%の間の受給となります。16歳以下の子どもを養育している配偶者へのBenefitは、あなたの年金額の75%です。また、16歳以下の子どもも75%を受け取ることができます。
ソーシャル・セキュリティー・サイトのカリキュレーターで、「もし現時点でdisabledになったら、いくらもらえるか」を知ることができます。詳しくは、ソーシャル・セキュリティーの手はじめ(1)-何がいくら貰えるの いくらもらえるの? のセクションをご覧ください。
また、上記とは別に、死亡一時金として$255の支給もあります。大きな額ではありませんが、覚えておくとよいでしょう。
Family Maximumについて
ひと家族が受けられるBenefit の合計には限度が設定されています。これを、Family Maximumといいます。家族の中の個人それぞれの受けられるBenefitの合計額が、このFamily Maximumより多くなるような場合は、その家族に支給される合計額はFamily Maximumです。たとえば、子どもふたりの家族の計算結果が下のようであった場合。。。
子どもふたり $883 x 2 = $1,766 と 子どもを養育する配偶者 $833 とで合計 $2,499となりますが、Family Maximumは$2,010ですので、実際にこの家族に支給される額は $2,010となります。
Survivor Benefitsを受ける以前に、すでに何らかのソーシャル・セキュリティーBenefitsを受けている場合
亡くなった夫あるいは妻のRetirement Benefitsを配偶者として受けていた場合、あるいは自分のRetirement Benefitsか Disability Benefitsをすでに受けていた場合は、夫あるいは妻が亡くなった時点で、Survivor Benefitsを申請することによりSurvivor Benefitsに切り替えることになります。もし、以前もらっていたBenefitsのほうが多い場合でも、支給額が減らされるようなことはありません(いずれかのBenefitsの最高額が支給されます)。
残された配偶者に勤労収入がある場合
残された配偶者がFull retirement age(生まれた年により変わり、65歳から67歳の間です。一覧表はこちら)に達しておらず、かつ一定の金額を超えて勤労収入があると、Survivor Benefitsが減額されます。「一定の収入」とは年々見直されますが、2011年の例だと$14,160でした。$14,160を超える収入2ドルごとにBenefitを1ドル減額されます。最新情報はこちらを参照。
この減額は働いている配偶者本人のBenefitを減らすだけで、子どもなど他受給者のBenefitは左右しません。また、この減額は、Full retirement ageに達した月をもってストップし、それ以降はBenefitの全額をもらえることになります。
留意点
Survivor Benefitsの申請はなるべく早く行うことをお勧めします。申請が遅れた場合、Benefitsの開始は必ずしも死亡時までさかのぼらず、申請時からとなることもあるからです。申請には各種の証明書や書類が必要ですが、これが全部手元にないからといって申請を遅らせず、とりあえずソーシャル・セキュリティー・オフィスに届け出ましょう。書類をそろえるのは届け出の後順次でOKです。
Survivor Benefitsを正しく理解しておくことは、万が一のときの備えとしてだけではなく、適切な生命保険プラニングのためにも大切なことです。保険会社から購入する生命保険は多いに越したことはないかもしれませんが、保険料があまりに大きくなれば、退職後の生活や学資のための貯蓄がおろそかになるかもしれません。Survivor Benefitsを考慮に入れた上で、負担できる保険料と望ましい生命保険金とのトレードオフで、適切なプラニングをすることが望ましいと思われます。
以上、このブログ作成時点での法律にのっとり、概要をなるべくわかりやすくまとめました。それぞれの個別ケースで適用はもっと複雑になることはもちろんありますから、詳しくはソーシャル・セキュリティーのサイトhttp://www.ssa.gov/で確認ください。
この記事を読んですごく参考になりました。
日本のように配偶者(妻)にはずっと支払われるのかと思ったのですが違うんですね。。
私は専業主婦で0歳の子供がいますので、今主人が亡くなった場合は16歳まで私と子供それぞれ受給できて、16歳から18歳までは子供だけ受給できて、その後は2人とも受給できない期間があり、私が60歳になると再び受給できるという解釈であってますでしょうか?
受給できない期間があると心配なので将来設計は大事ですね。
Mayさんそのとおりですね。子どもさんは12年せいまでなら19歳でもOKですし、60歳でSurvivor’s Benefitを開始するのではなくて、Full retirementまで待ったほうがいいかという議論もありますが、いずれにせよ受給できない期間はあります。そのうえ受給できる期間でも額が十分かどうかということもありますから、いずれにせよ生命保険などできちんと穴を埋めるというのは重要です。
こんにちは。
まさかアメリカのソーシャルセキュリティのことが日本語になってるわけないよね、と思いながら検索したら出てきたのでびっくりしました。当方、現在ベネフィットを受けてる立場でして、子供や私が何歳まで受けられるのか、調べなくてはとずっと思っていて今日ようやく行動に移した次第です。車やペットの購入など、今後いつまでベネフィットがあるかで大きく決断が変わってくるので、これほど分かりやすく説明していただいて、本当に助かりました。
他の記事も少し見せていただきましたが、どれも役に立つものばかりで、またゆっくり読ませていただきたいと思いました。ぜひこれからも、よろしくお願いします!
ままちゃんサマ、ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。
私は、今71歳、妻は68歳です。私は米国で働いた時期があり、fullの10年間(40クレジット)の資格があり、full age以前にSocial Securityをもらい始めました。妻もfull age以前でもらい始めました。面倒見ている子供はいません。
また、リタイア以降仕事はしておりません。
質問ですが、もし私が死亡した場合は、妻の受給分は、いまもらっている分に加えて
どの位もらえますか?(%でお知らせ下さい)
また、妻が先に亡くなった場合は、どうなりますか?今もらっている分に加えて
どの位追加されますか?(これも%でお答えお願いします)
死亡一時金があるそうですが、それは私の場合、妻の場合幾らとなりますか?
よろしくお願いいたします。
これは個別ケースのご質問ですので、ここでお答えできる範囲を超えています。ソーシャルセキュリティーオフィスにお問い合わせになれば、きちんと教えてもらえると思います。
いつも役に立つ情報ありがとうございます。ベネフィットは条件を満たしていれば
元配偶者も受けられるとのことですが、相手が再婚している場合は駄目なのでしょうか?
If you remarry after you reach age 60 (age 50 if disabled), your remarriage will not affect your eligibility for survivors benefits.
とあります。詳しくはこちらに載っています。
たとえばですが離婚した旦那さんが亡くなって3年後に10年以上結婚していた元奥さんは66歳4か月でサバイバースベネフィットを申請しました。そのような時は亡くなった時点から払い戻ししてくれるのでしょうか?
いいえ、旦那さんが亡くなったときからではありません。あくまで申請者が申請してからの受給です。
初めまして、
アメリカ人の夫(72歳)が去年亡くなりました。
私は52歳です。
夫はソーシャルセキュリティーから毎月$3000ちょっと頂いておりました。
私は62歳まで夫のサバイバーベネフィットを受け取れないのでしょうか?
子供はおりません。
宜しくお願い致します。
サバイバーベネフィットは62歳からではなく60歳から受け取る資格があります。もし障害がおありなら50歳から可能性があります。受給額は受給開始年によりますので、一度ソーシャルセキュリティオフィスに行かれ、他のインカムとのバランスを見ながらいつから受給開始するのがよいか考慮されるとよいと思います。
サバイバーベネフットは60才からですが、67才からの自分のソーシャルセキュリティも 67才から貰えるのですか?
それとも、どちらかを選ぶのでしょうか?
テクニカル面で厳密には”どちらかを選ぶ”というやり方ではないのですが、効果的にはどちらか大きいほうの額がもらえる(両方はもらえない)ので、どちらかを選ぶと理解して問題ないと思います。
いつもありがとうございます。
サバイバーベネフィットを仮に62歳から受け取った場合、67歳になった時に受け取れるサバイバーベネフィット金額は減額されたままなのでしょうか?
一度受け取りはじめたら、その時の年齢で受け取れる額に固定されます(サバイバーベネフィットから自分のソーシャルセキュリティ年金に乗り換えとかの場合でない限り)。
大変わかりやすい説明ありがとうございます。
わたしは現在58歳、アメリカ人と23年間結婚して3年前に離婚しました。
この元夫と来年再婚することになりました。(つまり23年間結婚して離婚した夫との最近です)。
わたしは将来、配偶者ベネフィットや遺族年金(もしもこの夫が亡くなったら)を受け取る資格がありますか?
とても参考になりありがとうございます。
わたしは現在58歳で、アメリカ人と23年間結婚し、3年前に離婚しました。
ですが来年この元夫と再婚することとなりました(つまり23年間結婚していた元夫と再婚します)。
もともと23年間結婚していましたが、再婚してからは数年で既定の年齢に達するわけですが、私にはアメリカの配偶者ベネフィットやサバイバーベネフィット(もしもの場合)を受け取る資格はありますか?
ご再婚おめでとうございます。同じ方との再婚なので、受給資格はあるのではと思いますが、ソースセキュリティオフィスに直接ご確認ください。
返信ありがとうございます。
日本の年金や遺族年金は結婚期間を問われませんが、アメリカは結婚してから10年以上たっていないと配偶者ベネフィットは受けれないものなのでしょうか?
つまり65歳くらいで結婚した方はアメリカでは配偶者ベネフィットは受けれないのでしょうか?
すいません。10年結婚が必要になるのは、離婚した場合でした。離婚した配偶者が、もう片方の配偶者の方の配偶者ベネフィットを受け取るためには、10年以上の結婚期間が必要です。
結婚している人が、その配偶者のベネフィットを受けるためには、申請前1年以上の結婚があればよいようです。