タックス・リターン – 私にも自分でできますか?

そろそろタックス・リターンのシーズンですね。みなさんはご自分でタックス・リターンをしますか。それとも誰かに頼んでいますか?「タックス・リターンを人にお願いするとき、どのくらいの値段なら妥当なんでしょう」、「自分でもいったいできるものなのでしょうか?」、「専門家にお願いしたほうが、より節税ができるのでしょうか?」というような質問を受ける機会があり、考えてみようと思います。

タックス・リターン、お願いするといくらぐらいかかるの?

友人がよく言っていたものです、「あんな面倒で緻密な仕事を、フツーの国民みんなにしろなんて、アメリカってどうかしている」と。確かに日本だったら、少なくとも会社勤めの人であれば、自分で税金の計算なんて必要ないですものね。日本人一般に比べたら、緻密な事務処理や数字の足し引きがとても得意そうに思えないアメリカ人一般に、タックス・リターンですもんね。かなり無理があるような。アメリカ人に限らず、面倒なことはなるべくやりたくないというのは誰もの心情。ばさっつと書類を渡してあとは忘れていられるなら、それが一番という人がいるのも当然。・・・ということで、人にお願いするといくらくらいかかるのでしょう。

National Society of Accountants調べの料金調査(2012)では、こんな結果でした。

Itemized Deductionなしの1040(Federal)&Stateの平均料金: $143

Itemized Decudtionありの1040(Federal)&Stateの平均料金:  $246

(Itemized Deductionとは、モーゲージ利子やプロパティ・タックス、地方税、チャリティへの献金、医療費などなど、ひとつひとつ項目別に控除していくものです。Itemized Deductionを選ばない場合は、Standard Deductionといって、一律に定められた標準額を控除します。)

フランチャイズ系の場合だと、H&R Blockで$192、Liberty Taxesで$173。

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自分でもいったいできるものなのでしょうか?

プロにお願いしている人も、心の底では思っていたりします・・・「自分でもやろうと思えばできるものなのか」と。やれるかどうかは、大きく分けて二つの要素によって決まります。ひとつは能力とやる気です。税金の計算に因数分解や三角関数が出てくるわけではありませんから、算数ができるかどうかはほぼ関係ありません。ただ、ある程度の税金関係の用語を英語で理解して、数字を整理したり入力したりするのに、あまりに精神的負担が大きいというのであれば、人にお願いのほうが精神衛生上いいかもしれません。

もひとつの要素は、ご自分のタックス・リターンがどれくらい複雑かということです。どちらかというと、こちらの要素のほうが決定要因のような気がします。いろいろな投資をしていたり、ビジネスを持っていたりとなれば、たとえ能力のある人でやればできるタックス・リターンであっても、プロにお願いするほうがずっと効率的で有益かもしれません。反対に、複雑な投資やビジネスなどはなにもない、会社からの給料が主要な収入源だという人ならば、自分で十分できる可能性が高いでしょう。

「シンプル」 vs 「複雑」ってどう決める?

では、自分のタックス・リターンが「複雑」か「シンプル」かはどうやったらわかるのでしょうね?ひとつは去年のタックス・リターンでつかったフォームの種類を見てみることです。フェデラル・タックスのフォームは俗に「1040(テン・フォーティ)」と呼ばれるフォームを使いますが、この1040にはいくつか種類があって、1040の数字のあとに英字がくっついているものがあります。

1040EZ

たとえば1040EZ。このEZはおそらく「easy」という意味なのでしょうが、これは1040のフォームのなかでも一番シンプルなものです。おおまかに見ると、下記の条件が当てはまる人であれば、1040EZが適切でしょう(下記はあくまで大まかな条件で厳密なものではありません)。1040EZであれば、必要な書類がそろっていれば、プロに頼むどころか、TurboTaxなどのソフトさえも必要なく、ペーパー・フォームに記入をしていくだけで、十分タックス・リターンがファイルできるケースが多いかと思われます。

  • 年収が$100,000以下
  • 子どもがいない
  • 収入は、給与、日当、チップ、失業手当、スカラシップ、$1,500以下の利子収入などに限られる
  • 65歳未満
  • 課税される投資利益がない
  • 持ち家がない(あるいはあってもプロパティ・タックスが低い、モーゲージがない)
  • 高額医療費を払っていない
  • チャリティーへの献金・献品が多額でない
  • 窃盗・事故・自然災害などで多額な損失をこうむっていない
  • 慰謝料を払っていない
  • HSA(Health Savings Account)を利用していない
  • IRAに積み立てていない
  • 大学学費やスチューデント・ローンの支払いをしていない
  • タックス・クレジットを申請しない(Earned Income Credit以外の)

1040A

1040EZの次にシンプルなのは1040Aです。1040Aはおおむね、以下のような場合に利用できます。1040Aも、多くの場合かなりシンプルなタックス・リターンであるケースは多いでしょうから、やろうと思えば自分でできるのではないかと思われます。すでに去年の1040Aが手元にあるのであれば、それを見ながら本年度の分をフォームに入力していくだけです。タックス・ソフトウエアを使ってもいいでしょうが、十分マニュアルでできる場合も多いでしょう。

  • 年収が$100,000以下
  • 持ち家がない(あるいはあってもプロパティ・タックスが低い、モーゲージがない)
  • 収入は、給与、日当、チップ、失業手当、スカラシップ、利子、配当金、キャピタル・ゲイン、年金、アニュイティやIRAからの収入、ソーシャル・セキュリティからのベネフィットに限られる
  • 高額医療費を払っていない
  • チャリティーへの献金・献品が多額でない
  • 窃盗・事故・自然災害などで多額な損失をこうむっていない
  • 慰謝料を払っていない
  • HSA(Health Savings Account)を利用していない
  • 1040Aでタックス・リターンすると、一部のタックス・クレジットしか申請できません。たとえば、外国(日本など)で収入を得た・税金を払った場合、もしかしたらForeign Tax Creditの利用が可能かもしれませんが、1040Aでは申請できません。また、地球にやさしいことをした人、たとえば電気カーやプラグイン・ハイブリッド車を購入したのなら、Green Energy Tax Creditが利用できるかもしれませんが、1040Aでは申請できません。申請したい場合は1040を使うことになります。

1040

上記のふたつのフォームを使うことができなければ、1040を使うことになります。1040はどんな収入を得ていようが、どんなケースであろうが、すべてを包括するフォームです。1040は、我が家(かなりシンプル派)も使っていますし、Mitt Romneyも使っています。つまり、超シンプルからスーパー複雑派(Mitt Romneyの昨年のTax Returnは203ページもあったそうですが)までカバーしているわけです。

1040を使う場合でも、比較的シンプルなケースであれば、1040Aの延長線上で十分やっていけるのではないかと思われます。タックス・リターンが複雑になるのは、たとえば・・・

  • いろいろな種類の投資を持っている
  • レンタル不動産を持っている
  • 自分のビジネスを持っている
  • 大きな変化があった(結婚・離婚・転職・引越し・子どもが生まれた・子どもが大学に入った・保険を変更したなどなど)

のような場合です。このような場合は、自分でやりたいというなら別ですが、そうでないなら専門家にお願いするのがよいでしょう。

以下の記事もあわせてご覧ください。

タックス・リターンをどうするか(1) - 自分でする?人に頼む?

タックス・リターンをどうするか(2) - 自分でしても、人に頼んでも・・・

タックス・リターンをどうするか(3) - 自分でするのは思っているほどコワくない

タックス・リターンをどうするか(4) -人に頼んでも、無くならないあなたの責任

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12 comments

  1. うちは1040で自分でやる派です。
    複雑で自信がない場合は、プロにその年やってもらって、翌年からはそれを見ながらやるっていうのもありですよね。
    何年かやると、だいたいどんなか覚えてしまいますし。

    1. そうですね~、1年だけプロにやってもらって、それでテクニックを盗んじゃえばいいんですね。ファイリング料+トレーニング代で数百ドルなら悪くない!

  2. 我が家は専門家にお願いしていますが、私自身は出来たら自分でやりたい派です。
    でも主人はお前には絶対任せられない!って言うと思います.(笑い)

  3. 過去3年間CPAに頼みましたが、CPAの方が作成するのではなく、インターンの学生さんが書類作成をしているので、結構間違いだらけでした。賃貸物件があるからCPA事務所に頼んでいましたが、自分がまとめた数字を提出するだけで、アドバイスもなく、書類作成のみ。今年はTurboTaxに頼ります。

    1. ありゃりゃ、それはいけませんね。お金をいただいていのなら、やっぱり何か付加価値をつけませんとね。TurboTax、いいかもしれませんね。

  4. うちは今回はLiberty Taxesに依頼しました。が、$256とられました・・・。結構高いな・・と思いながら、でも、仕方ないので払いましたけど・・。来年は自分たちで作成しようと思います。officeでは、缶ジュースや、スナック菓子程度の『おもてなし??』がありましたけど・・・(笑)

    1. ああ、あの自由の女神のマークのやつですね。それって、持ち込むとその場でやってくれるんでしょうか。。

      1. そうなんです。持ち込むと、その場でやってくれます。どの方法が一番タックスリターンが大きいかとか、コンピューター上で数字を出して見せてくれるので、そういう意味では自分たちが気づかなかった面もフォローされる点、助かります。

  5. 結婚してからは今年初めて自分でやりました!www.taxslayer.comを使いました。今回はクーポンを使って、FederalとState合わせて$17で済みました。今年はシンプルだったのでよかったですが、来年はお願いすることになるかも。。。

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