アニュイティを解約したい、他に移したい(2)

現在のアニュイティに満足していないので、他に移したいという場合についての2回目です。アニュイティがIRAや企業のリタイヤメント・プログラムの中にあれば、それらのルールで司られるため、インカムタックスや10%ペナルティがかからないで、他の投資媒体や金融会社に変更できそうだということを、前回書きました。反対にアニュイティが、それらの単独で契約されている場合はどうでしょう。おそらく多くの場合がこのケースではないかと思われます。

 

アニュイティが単独である場合には、ふたつの道があります。

アニュイティを低手数料のアニュイティに変更する

アニュイティという形態はそのままキープし、ただ運営する金融機関を変更します。Vanguardなどのロードなし・低手数料のミューチュアルファンドを提供しているような会社で新しいアニュイティを開き、そこに資金を移というケースです。前回書きましたとおり、年間手数料は1.5%~2%削減できることになります。

このアニュイティからアニュイティへの変更は、税制上1035 Exchange(ある保険商品を他の似たような保険商品でリプレイスするとみなし、インカムタックスやペナルティなどが課せられないしくみ)の形をとることができます。

 

アニュイティをやめてアニュイティ以外の形で投資する

アニュイティをアニュイティでない形の投資に変える(アニュイティではない単なるファンドへの投資など)ためには、どうしてもインカムタックスと10%ペナルティの対象となります。できるなら上記の1035 Exchangeをお勧めしますが、もうアニュイティはいらないというのであれば、このルートを選ぶことになります。インカムタックスと10%ペナルティを払ってでも、削減できる手数料コストが大きい場合には理にかなった選択となるでしょう。

 

すぐれものツール

ここで使えるツールをご紹介します。

このツールはVanguardが提供しているもので、現在お持ちのアニュイティ(会社名、アニュイティのプログラム名、いつ契約開始したか、現在の金額)の情報を入力すると、それをVanguardのアニュイティに変更した場合、年間でいくらのコスト削減になるかを計算してくれます。サレンダーチャージがあるかないかも、推定してくれます(ただし、自分できちんと確認することをお勧めします)。

たとえば、MetLifeのPremier Advisers IIIというアニュイティ(適当に選んだものです。他意はありません)を2008年の1月1日に契約し、現在の価値が$30,000であるとしましょう。下のように入力します。

annuity calculator input

アウトプットは下のようになります。このアニュイティの場合、一年間のもろもろの手数料は2.44%。Vanguardのアニュイティの手数料は0.59%ですから、一年目だけでも$555のコスト削減になります。アニュイティの残高がこれからどんどん増えていく(積み立てや利回りで)ことを考え合わせると、毎年削減できるコストの額もこれからどんどん増えていきます。

annuity calculator output

ただし、このアニュイティの場合、契約から5年しか経っておらず、今解約するとサレンダーチャージが$900かかるとも書いてあります。一年目で$555も削減できるなら、今$900かけても解約してしまうか、あるいは来年以降まで待つか(サレンダーチャージが下がっていきます)は、個人の決断です。

サレンダーチャージがなければ、話は早いですね。コスト削減できるなら、移したほうがいいと思います。どちらの場合でも、1035 Exchangeにてトランスファーをすることで、インカムタックスと10%ペナルティが回避できることは、上に書いたとおりです。他の多くの金融機関同様、Vanguardでも、アニュイティを写したいことを申し出ると、1035の書類も用意してくれます。

 

ひとつ、ご質問が出そうなので追加しますが、移した後、コスト削減ができるのはいいが利回りが悪くなるようでは困ると思われる方もいらっしゃるでしょう。現在のアニュイティには高利回りを狙った特殊なミューチュアルファンドを選んでいるが、移したらどうなるのか・・という疑問もあるでしょう。この点については、話せば長くなりますが、一般的に高利回りを狙ったミューチュアルファンド(Actively Managed Fund)は手数料が高く、低手数料で着実な利回りを狙うインデックスをトラックするファンド(Index Fund)に勝ち続けることが非常に難しいということがいわれています。現在のアニュイティの利回りに非常に満足されているならですが、そうでないのなら、低コストを選び、着実なインデックスファンド路線をいったほうがベターな場合が多いのではないでしょうか。この点に関しては、詳しくはこちらのビデオ(2:45くらいからの部分) をご覧ください。

なお、ここではセールスロードを課さず低手数料を誇るVanguardの例を見てみましたが、同様に低コスト路線のFidelityなどへのトランスファーでも同じような効果が得られはずです。

 

One comment

  1. 途中解約などをせずに、年金として引き出すのであれば、手数料はAccount Valueから引かれるのでインカムには関係なくなりますよね。
    しかも、アニュイティーにはプロテクションがあるのが、lifetime incomeと共に最大の利点の一つですので、ファンドをコンサバにする利点は、ピュアな投資とは考え方が異なると思います。実際、手数料を踏まえて複数社の利回りを比較すると、圧倒的に利回りが高いのはアグレッシブに出来る会社です。アニュイティーは、プロテクションとWithdrawal Rate、その他のフィーチャーも混みで比較しないと、単純にピュアな投資のような利回りと手数料だけで、比較は出来ないと思います。
    それと、Vanguard のホールセラー自身も言っていますが、Index Fundがoutperform するのは、13-15年位の長期スパンが必要です。
    引き出しまで10年未満の方に勧めるには、注意が必要かと思います。
    専門家の方でもFeeがどこから引かれてるのかを理解していない方がいらっしゃるので、コメントさせて頂きました。

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