2021年のバンガードのターゲットデイトファンドに関するキャピタルゲイン問題を覚えておられるでしょうか。課税口座でこのターゲットデイトファンドを持っておられた方なら、びっくりするようなキャピタルゲインを分配され、思いがけないキャピタルゲイン税をお支払いになったと思います。バンガードは私が日ごろから応援している会社であり、そのミューチュアルファンドはとても質が高いと考えているので、これは大変に残念な事件でした。
これはバンガードが企業努力を重ね、手数料が下げられ、その低い手数料を利用できる投資限度額なども下げられたポジティブな流れの中での残念な出来事でした。ターゲットデイトファンドの構成を再編成する中で、残念ながらバンガードがよく考えない動きをとってしまったため起こったことでした。詳しくは、こちらの記事(Vanguardターゲットデイトファンドのキャピタルゲイン問題)で取り扱っています。
本来は出なくてよかったはずのキャピタルゲイン分配により、投資家に対して過剰な税金が発生した問題であり、それに対する集団訴訟が起こっていました。今回、具体的な和解案が提案されるところまで運んできたわけです。
対象者
もしあなたが、2021年のタックスリターンでこの無駄なキャピタルゲイン税を払われたなら、その一部取り戻せる可能性があります。
和解金を受け取ることができる権利のある方は、2021年にバンガードのTarget Retirement Fundを
- 課税口座内で保持しておりキャピタルゲインを受け取った場合、または
- 課税優遇口座内で保持しており、キャピタルゲインを課税優遇口座外で受け取った場合
です。
和解金
和解金としては$40ミリオンが用意されるという提案で、そこから訴訟関連費用が差し引かれ、残ったものが投資者に分配されます。訴訟関連費用とは
- 弁護士費用の$13.3ミリオン
- $985kの訴訟費用
- 原告へのサービス報酬として合計$240k
で、合計$14.525ミリオンとなります。これが$40ミリオンから差し引かれ、残るところ$25.475ミリオンが投資者に分配されることになります。
$40ミリオンをバンガードが出しても、1/3も弁護士費用になってしまうのですね。なんだかえぐいなと思うけれど、同様なケースと比べても1/3の弁護士費用はスタンダードな路線ということでした。まあ弁護士がいなければそもそも$40ミリオンの和解金が勝ち取れないわけで、仕方がないことなのでしょう。
投資家は、この$40ミリオンという和解金によって、決してキャピタルゲインの全額をリカバーできるわけではないようです。原告側の専門家の推定によれば、これによる損害額ははるかに大きく、$40ミリオンというのはその額の約15.4%に相当するとのこと。たったの15.4%。しかもそこから上の費用が引かれるわけで、残念ながら、投資家は全額を会衆できることからはほど遠いようです。
回収額
実際の回収額は、どの年号のターゲットデイトファンドを持っておられたかによっても変わってきます。
回収額見込みは、2021年に課税口座またはその他の関連口座で保有していたターゲットデイトファンドから受け取った短期および長期キャピタルゲイン分配の合計額に、ファンドごとに以下の率を掛け合わせたものになるようです。ただし、これは先ほどの$25.475ミリオンの範囲内で払い出されるので、払い出し必要額が$25.475ミリオンを上回るなら、この計算結果全額が払い出されるわけではないようです。
選択肢
和解金を受け取る権利のある方には以下の選択があります:
クレームフォームを提出する
添付されたクレームフォームで、2025年2月11日までにクレーム提出。これが支払いを受ける唯一の方法。
集団訴訟から自らを除外する
この集団訴訟の一部とはならず、自らの訴訟あるいは他の集団訴訟に加わって解決策を模索したい場合は、2025年2月18日までに「除外」のリクエストを提出。除外する場合、この集団訴訟を通しての支払いは受け取れず、公聴会で異議を申し立てたり、発言したりすることはできません。
異議を申し立てる
2025年2月18日までに、和解に賛同できない理由を裁判所に書面で送付。
公聴会に出席する
2025年3月11日の公聴会で和解の公平性について裁判所で発言するよう求めることが可能。
何もしない
支払いを受け取らず、訴訟で主張されたクレームに関して独自に訴訟を起こす権利を放棄することになる。
どのくらいの回収が可能かはわかりませんが、このキャピタルゲイン税を払わされた方で、他の訴訟の予定がない方は、クレームをとりあえず出してみるのがよいのではないかと思います。