リタイヤメントプランの活用(4)ーRoth 401(k) とAfter-tax 401(k)

Last Updated on 2023年10月25日 by admin

一般的に401(K)といえば、雇用主がベネフィットの一部として提供し、所得税控除で積み立てることのできるリタイヤメント積み立てプランです。しかしながら、これ以外にも違ったタイプの職場リタイヤメントプランがあります。Roth 401(k)や、After-tax 401(k)などです。違いは何なのか、どう使い分ければいいのかについて考えてみます。

いろんな401(k)積み立て

401(k)の積み立ての種類は4つあります。下の表の最初の三つは雇用者が自分で積み立てるもの、最後の雇用主マッチは、雇用者の積み立てに対し一定のルールで雇用主がマッチアップしてくれるものです。

401(k)プランは、雇用主によってその提供の度合いはまちまちです。会社によっては401(k)がまったくない場合もありますし、雇用主マッチもあったりなかったり、ある場合のその条件も会社によりまちまちです。ふつうの401(k)はあっても、Roth 401(k)やAfter-tax 401(k)がない場合は一般的で、かえって提供しているところは少数です。ただ、昨今、提供されている会社も増加傾向であるように感じています。

Roth 401(k)やAfter-tax 401(k)が提供されているのなら、利用を検討する価値があります。

Roth 401(k)やAfter-tax 401(k)

なお、ふつうの401(K)は、場合によってはTraditional 401(k)とかPre-tax 401(k)などとも呼ばれることがありますので、追記しておきます。

まずは401(k)かRoth 401(k)を決める

もしも、あなたの会社がいろいろなプランを提供してくれている場合は、その中で利用の優先順位をつけていく必要があります。

まず第一歩は、401(k)かRoth 401(k)を決めることです。この二つは、合わせて年間積み立て限度があります。組み合わせて限度額内で両方に積み立てることも可能ですが、あまりそのような使い方はしません。

401(k)かRoth 401(k)かを決めるのは、Traditional IRAかRoth IRAかを決めるのと同じロジックを使います。現在税金を払ってしまってあとあと払わなくていいのをとるか、現在所得税控除を受けあとで払うほうをとるかの選択になります。

現在、中~高レベルの所得があり所得税ブラケットが高く、将来の老後は税率が下がるだろうと想像できるなら、今控除を受けた方が有利で401(k)を使うことになります。反対に、現在は所得税ブラケットがそれほど高くないが、将来にはブラケットが上がると思われるならRoth 401(k)を選びさっさと税金を払ってしまって、老後は非課税で引き出しができるほうが有利です。キャリアを始めたばかりの若者にとってははRothのほうに、キャリアを積んである程度所得が高い層にはおそらく401(k)のほうに軍配が上がるかと思います。

401(k)でも、Roth 401(k)でも、とにかくこの二つをまず限度額まで積み立て、もしそれでも余裕があるならば、After-tax 401(k)を考慮することになります。

その次にAfter-tax 401(k)

法律では、401(k)、Roth 401(k)、After-tax 401(k)、雇用主マッチの401(k)積み立てのすべての積み立てトータルでの限度額が定まっています、2023年の場合は、50歳未満で$66,000です。たとえば、401(k)を最大限まで積み立て、$6,000の雇用主マッチを得た場合は、$66,000-$22,500-$6,000=$37,500までをAfter-tax 401(k)で積み立てられることになります(あくまで雇用主がそのしくみを提供していればです)。

After-tax 401(k)はその名の通り、所得税を納めた後での積み立てになります。将来引き出すときには、元本は非課税で引き出せますが、ただ利回り分は課税されます。同じ課税後の積み立てでも、この点がRoth 401(k)と違う点です。この利回り分の課税を非課税にするために、下のようなロールオーバーをすることができます。

Rothロールオーバー

After-tax 401(k)に積み立てた資金をRoth バージョンにロールオーバーすることで、利回り分への課税も回避することが可能です。いろいろなパターンがあります;

ポイントは、After-tax 401(k)は、引出時に元本部分は非課税で降ろせるものの、利回り部分が課税されるので、これを完全に非課税のRoth状態へと変換するということです。

1. 雇用主のプランが許していれば、After-tax 401(k)に積み立てたものを、Roth 401(k)にロールオーバーする: 

いつロールオーバーできるか、いくらをロールオーバーできるかなどの条件は雇用主によりまちまちです。ロールオーバー時の利回り部分に対しては所得税が発生しますが、ロールオーバー後は、利回りも非課税になります。ラッキーなことに積み立てて短期間でロールできれば、利回りが最小限で抑えられ、その後の課税は全く回避できます。

2. 雇用主が許していれば、After-tax 401(k)に積み立てたものを、Roth IRAにロールオーバーする: 

ケース的には許されていることはまれですが、もしも許されていれば外部のRoth IRAにロールオーバーすることで、その後の利回りは非課税になります。

3, 雇用主のほとんどが離職後には、上のロールオーバーを認めています。

離職後に、上2と同じ要領でロールオーバーをします。

ロールオーバー上の注意

もしもふつうの401(k)とAfter-tax 401(k)が混在している場合(そういう場合が多いと思います)は、After-tax 401(k)だけのロールオーバーは許されていません。401(k)資産で持っている比率に応じてふつうの401(k)とAfter-tax 401(k)との両方をロールオーバーすることになります。ふつうの401(k)をロールオーバーする部分には所得税がかかります。代替としてふつうの401(k)はTraditional IRAにロールすれば、所得税を回避できます。

リタイヤメント後の税金まで考慮したうえで、ロールオーバーをすべきかどうか、いくらロールオーバーするかを決めていきます。また、手続きにあたっては、思わぬ税金発生を防ぐため、401(k)プランの担当者と確認をしつつ慎重に行うことをお勧めします。

Roth 401(k)やAfter-tax 401(k)が提供されている場合は、さまざまな要素を鑑みつつプライオリティを考えていくことになります。

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2 comments

  1. 基本的な質問で申し訳ないのですが、Roth IRAと Roth401kの違いはなんでしょうか?
    after tax 401kからRothIRAに即時コンバートすると利回りがないので実質非課税(メガバックドア)になりますが、pre tax 401kと両方ロールオーバーする必要がありますか?
    それとも両方ロールオーバーのルールはRoth401kのみでしょうか?

    1. IRAはIndividual Retirement Accountなので個人で作るもの、401(k)は雇用主の提供するリタイヤメントプランです。
      Pre-tax マネーがある場合は、ロールオーバー先がRoth 401(k)でもRoth IRAでも、401(k)資産で持っている比率に応じてふつうの401(k)とAfter-tax 401(k)との両方をロールオーバーすることになると思います。

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