カーディーラーに行って気に入った車を見つけ、ファイナンシング(自動車ローン)を組み契約書にサインして、家に乗って帰りました。ところが、しばらくしたらディーラーから電話があり、ローンが通らなかったので車を返せ・・という電話がくる・・・というようなケースが増えているそうです。車を返すか、あるいはすでにサインしたローンより悪い条件の新しいローンにサインするように要求されるそうです。いったん購入が済んで家に帰ったのに、また呼び出されるというので、Yo-Yo Salesという俗称で呼ばれています。
Yo-Yo Salesとはどんなもの?
車を買うときディーラーの提供するファイナンシング(自動車ローン)の条件に合意し、契約書にサインをしても、実はかならずしもそのローンが実際にApproveされて発行可能な状態になっているわけではないことが問題の根源です。
必要な個人情報をフォームに記入しローン申請をし、ダウンペイメントも払い、月々の支払額なども決まったうえで関連書類にサインをして、新しい車のキーを受け取っても、そのローンは発行が決まっていないということがあり得るのです。そしてこれは今の法律では決して違法ではないとのこと。
私たち消費者は知る由もないことですが、ディーラーでファイナンシング(車のローン)を組む場合、車を購入する時点ではローンの発行は完結しておらず、購入契約がされたあと(消費者が車を乗って帰ったあと)に、ディーラーはその条件でローン発行をしてくれるローン発行者を探すのだそうです。ローンの内容(利子などの条件)が貸す側に十分魅力的なものであれば、すんなりとローン発行者は見つかります。しかし、反対のケースではローン発行者は見つからないことになります。そうすると、ディーラーは顧客に連絡をし、より条件の悪い(高い利子)のローンを組みなおすか、それがいやなら車を返却しろと要求することになります。
情報が少ない移民や若者がねらわれている
たとえばカリフォルニアの場合なら、車の購買やリース契約の書類には、“ディーラーがファイナンシング(自動車ローン)を顧客のために確保できなかった場合は、10日以内なら契約の内容をキャンセル(売却、リースを解除)できる”という内容の一節が盛り込まれているのがふつうだそうです。サインせねばならない分厚い書類を全部読むのは大変ですから、ふつうは知らないでサインすることになります。州ごとにディーラーが準拠しなければならない法律は異なり、ディーラーがキャンセル可能な日数などもまちまちのようですが、多くの州で似たようなやり方による被害が報告されているようです。
ディーラーには、その場で買わせたいというモティベーションがあります。いったんディーラーから離れれば他の場所で買うかもしれないというリスクがあります。よって、ある程度よい条件の月の支払額などを見せ、車を持ち帰らせます。1週間、10日と車に乗れば、その車はその人の生活の一部になりますから、なかなか離れがたくなります。そこにYo-Yoの電話がかかってきて、後からもっと現実的な金利の高いローンを組むようにトラップされるというしくみです。最初から悪用するディーラーもあるようで、顧客のクレジットスコアではとうてい該当ローンは下りないだろうと予想されたとしても、とりあえず低金利のローンを提示し車を持ち帰らせて後で高金利を課すケース見られるようです。
クレジットスコアが高い人、情報やしくみをよく把握する人はこのようなケースに巻き込まれることは少ないと言えます。比較的、「慣れていない」移民や若年層が狙われやすいと言われています。子どもたちがこのようなケースに巻き込まれないよう、親として注意することも必要かもしれません。
このような手口の被害者にならないためにはどうすればいいでしょうか?
Cashで買う
まずは、ファイナンシングがいらない状態、つまり現金で買うというのは一つの案です。現金を用意するということは、すでに購入に費やせるバジェットが決まっているということですから、はっきりした指針をもってディーラーに出向くことができます。
ディーラー側も、月々の支払額やローン探しの労力が省けるという意味で、車の値段だけの交渉にフォーカスできます。この点は、好ましく思うディーラーと好ましく思わないディーラーに分かれる可能性もあります。車を売るところでの利益を重視しているディーラーか、それともファイナンシングを組むことでの手数料を重視するかで分かれます。交渉にあたっては、ディーラーのスタンスを読みながら、最初からキャッシュ購入であることを明かすか、とりあえず車の値段交渉だけしておいて後でキャッシュ購入を切り出すかは微妙のようです。
いずれにせよ、ファイナンシングなしで購入するのであれば、Yo-Yo Salesは避けられるでしょう。
Preapprovalを持っていく
ローンを組んでの購入が前提の場合には、ディーラーに行く前にローンのPreapprovalを持っていくのがいいでしょう。Preapprovalを確保するということは、金融機関にあらかじめ連絡し必要な情報を提出し、クレジット審査を経て具体的に発行可能な(Preapprovedされた)ローンを確保するということです。(注:似たものにPrequalifiedというのがあります。これは正式なクレジット審査なしでのインフォーマルなローン提示であり、Preapprovalとは区別されるものです)。
できれば、いつも使っている銀行、クレジットユニオン、オンラインサイトなどを利用し、2つ以上の見積もり比較があるのが理想です。Preapprovalは、クレジット審査のインクワイアリ―があるためクレジットスコアを少し下げます。複数の機関に申請すれば、その都度クレジットインクワイアリ―がありますが、ただ同時期のインクワイアリーは「1回のインクワイアリー」と判断されるという特別ルールがあります。スコアへの影響を最小化するために、同時に(1週間以内ならベスト)複数の機関にローン申請するのがよいでしょう。いったん確保したPreapprovalは30日とか60日とかの有効期限があります。
Preapprovalがあれば、現金購入と同じようにディーラーからのファイナンシングは不要となります。Preapprovalがあれば強気交渉も可能で、もしかしたら、ディーラーがよりよい利子でのファイナンシングをオファーしてくる可能性もあります。その利子が、Yo-Yo salesで後でキャンセルされる可能性などもしっかり質問しましょう。Preapprovalのあるクレジットスコアのよい顧客であるなら、ディーラーも態度を変えざるを得ないと思います。
Sales Contractをよく読む
最後のとりでとして、ディーラーファイナンシングを受けて購入をする場合は、Sale Contractをよく読むことは必要かと思います。全部読むことはできないので、とくに売買契約のキャンセルに関するところや、オファーされたローンの利子やその他条件が変更される可能性があるかなどを、口頭で質問するとともに、契約書の関連個所を確認するのが肝要でしょう。
とにかく質問する、確認することが、Easy Targetにならないための防衛となると思います。