アメリカではどの州でも最低限の自動車保険を持っていなければ運転できませんし、モーゲージを組んで家を購入しようすれば、住宅保険に入っていなければローンがおりません。自動車保険と住宅保険は、いわば生活のもっとも基本となる保険です。毎年継続して契約するものであり、そのうちなんだか存在さえ深く考えなくなり、請求されたものをただ機械的に払うだけ・・というようなご家庭もあるでしょう。しかしながら、毎年発生する費用であるからこそ、たまにはチェックをいかけて払いすぎていないか、補償内容は十分かなどを確認することが大切です。
私自身、保険費用のことで、以前から疑問に思っていることがありました。ひとつは、Multiple LineのDiscountのことで、保険はひとつの会社にまとめて持ったほうが安いのか、それともそれぞれの保険で、最も安い保険を提供する会社をばらばらに見つける方が安いのか・・という問題です。もうひとつは、Loyalty Discountのことで、ひとつの保険会社にとどまって保険ポリシーを長期間持ち続けるほうが、たとえば数年ごとに安い保険会社に乗り換えるよりも理に適うのか・・ということでした。
Multiple Line Discount
保険会社にもよりますが、複数の保険をまとめて持つ(Bundleする)と、Multiple Line Discountといって5%から多いと20%くらいまでのディスカウントが受けられます。Bundleするポリシーは多くの場合、自動車保険と住宅保険ですが、そのほかにもレンターズ保険や生命保険とのBundleも提供している会社もあります。自動車保険と住宅保険に加えアンブレラ保険もBundleするケースもあります。
どのくらいのディスカウントがあるかは、保険会社とそれぞれのケースによってまちまちですが、たとえば、以下のようなかんじです。これは30歳男性の自動車保険と市場価値$200,000の家のための住宅保険をとりあげたものですが、保険会社によっても大きく値段が違ううえ、ディスカウントの額にも開きがあるのがわかります。
実際、FarmersやState Farmで10%ものディスカウントがあるのはうれしいことですが、ただ、ばらばらに最も安い自動車保険$1,372(State Farm)と最も安い住宅保険$1,143(Nationwide)を購入すると、合計$2,515となり、NationwideのBundle価格には負けるものの、他の会社のBundle価格よりは安いという結果でもあります。
結局のところ、Multiple Lineにしてひとつの会社にまとめたからといって必ず安いというわけではなく、バラバラに購入する可能性も決して削除してはいけないということのようですね。Multiple Line Discountの意味するところは、同じ一つの会社であれば、いくつかの保険をバラバラに買うより、Bundleしたほうが安いが、一つの会社を超えて保険を考えたとき、バラバラの会社で最も安いものを買ったほうが無理に一つの会社にまとめるより安いことも大いにありえるということのようです。
なので、見積もりを集めるときに、最初からBundleして数社から見積もりをとるのではなく、それぞれの会社からバラバラに見積もりを集めるところから始めた方がよいということです。そして安そうなところからは、Bundle価格を集めてみるというステップがよいかもしれません。
Onlineの見積もりツールを使えば、ある程度効率的に見積もり集めができるかもしれませんが、それでも案外面倒です。実際、それが面倒で、保険は一度契約したらそのまま・・というケースも多いことでしょう。こんなとき助っ人となるのが、Independent Insurance Brokerです。複数の保険会社の中から、もっとも補償内容がよく安い保険を探してくれます。もちろん、Bundleもバラバラも検索してくれます。このとき大切なのは、そのBrokerが特定の会社の息のかかったBrokerではなくて、完全にIndependentであることを確認するのと、どこの保険会社を何件くらいチェックしてくれるかを確認するとよいでしょう。
Loyalty Discount
もうひとつのミステリーはLoyalty Discountです。一つの会社で保険ポリシーを長期間維持していると、年数に応じてLoyalty Discountがもらえるという仕組みです。保険会社をむやみに変えず優良顧客になれば、それだけでディスカウントがもらえるというわけで、こんなに楽なことはないと思いますね。ところが、話はそれほどシンプルでもないようです。
保険会社はデータ分析のプロです。顧客のありとあらゆる特性をデータ化してもっているわけですが、その中には保険を発行するための顧客のリスク特性もあれば、保険とは直接関係ない行動パターン特性も含まれているようです。
たとえば保険料が上がった時、この顧客はどのぐらい反応してくるかというようなデータも収集されています。定期的に請求される額を、銀行の自動引き落としやクレジットカード支払いで何の問題もなくスムーズに支払い続けるのか、すぐに質問やチェックをかけてくるのかといったデータです。あるいは、何年間顧客でいつづけているか、その間どのくらい質問やチェックや、他の会社との比較をした様子があるかというようなデータもあるようです。保険会社はこれらのデータを使って、Price Optimizationを図っているそうで、その意味するところは、「あまり問題意識もなく、値段が上がっても気にしない顧客は、そうでない顧客に比べて少しくらい高く請求してもいいだろう」ということです。
この「とれる客からは高い値段をとる」的な傾向は、保険会社だけに限らず、アメリカ社会のいたるところに存在します(下記を参考までに)。
保険会社にもよると思いますが、Loyalty Discountは、「長く顧客でいてくれてありがとう」という善意のリワードである場合もあれば、反対に、毎年値上げしつつ、その一部をLoyalty Discountでディスカウント表示しておいて、難なく売り上げを上げていく最適化ツールである場合もあるということでしょう。
なので、やはり基本は何年かに一回は他社見積もりを集めて、今支払っている保険料が妥当なものなのかをチェックするという作業が必要といえます。安いところが見つかったからといってすぐに乗り換える必要はなく、それを現在の保険会社に提出し、「初めて契約する会社がこんないい見積もりを出していますから、Loyal Customerでいる自分に少なくともマッチアップした値段でオファーしてもらえませんか」と掛け合ってみるのがよいでしょう。それ自体が、「チェックする賢い顧客」にステータスアップする努力にもなります。
まとめれば、やはり保険はShopping Around(いくつか見積もりを集める。そして契約した後も集め続ける)が基本となります。最後に付け加えますが、保険はもちろん値段ではなく、補償内容、保険会社の財務状態、クレーム処理サービスの質も大きくものを言います。サービスの質をチェックするためによい、JDPowerのサイトを記しておきます。
有益な情報が満載のウェブサイトに、いつもお世話になっております。
我が家では今までずっとUSAAにて全ての保険の契約をしてきたのですが、今回の記事をきっかけにNationwideに連絡を取り、賃貸物件のホームオーナーズインシュランスのPremiumをかなり下げることができました。
その後、USAAに解約の電話をしたのですが、USAAもNationwideのPremiumの安さに驚き、解約もスムーズにいきました。ちなみにLoyalty Discountにもほぼ影響はありませんでした。
心より感謝いたします。いつも本当にありがとうございます!
よかったですね!こうやってご報告いただくことも、ありがとうございます!