Last Updated on 2019年10月17日 by admin
前回は、クレジットカード会社の顧客戦略の一環として使われている、カード顧客の5つのグループ分け(セグメンテーション)の考え方をご紹介しました。様々な企業が、このような顧客のセグメンテーションをして、それぞれにグループに適したマーケティング戦略でサービス・商品提供をしています。顧客としては企業の提供するまま、提案するままに流されて購買するのではなく、自分はどのセグメントに属したいか、自分のポリシーと企業の提供する商品やサービスが合致しているかなど積極的に考えていく必要があるのではないかということも書きました。
今回は5つのグループの中で、「富裕&高満足度セグメント」と呼ばれる、最もお得なグループについて見てみます。このグループは、家計管理ができており、支出の大部分でクレジットカードを利用し、ポイントやキャッシュバックなどのリワードを望みます。毎月残高は支払い切り、リボ払いの高利子ローンを嫌います。このセグメントは、リボ払いをあまり使わないので利子収入は期待できませんが、ただ恒常的にクレジットカードでの購入をするので、お店側からのInterchange Income(手数料収入)が期待できます。カード会社にとっては大切にしたい顧客です。このセグメントを引き付けるためには、リワード提供が欠かせないことをカード会社は知っていますから、魅力的なリワードを提供しています。
特典は進化する
皆さん、何枚のクレジットカードをお持ちでしょうか。また、そのカードをどのくらいの年数使っていますか?気に入るクレジットカードを見つけたら、ずっと使い続けているという方も多いでしょう。別にそれ自体に問題はありませんし、かえってカード会社をころころ変えるのはクレジットスコアの面からもマイナスがあります。ただ、クレジットカードをただの支払いのツールとしてとらえていると、ちょっともったいない部分があるかもしれません。
前述の富裕&高満足度セグメントにあなたが入っているのだとしたら、そのセグメントにオファーされている特典はできるだけ享受した方がお得ですし、またそのような特典をすでに受けている場合も、他にもっとよい特典を提供しているカードがあるのなら乗り換えることも一考の価値ありです。
Consumer Reportsが興味深いリサーチをしているので、それを共有したいと思います。2016年に行われたこのリサーチによると、いつも使うカードを変えたことが一度もない人は全米で2,000万人、変えたことはあるが過去10年間は同じカードを使っているのが2,500万人という結果でした。クレジットカード会社は、新しいカードや特典をオファーし続けています。もしや、今見直しするときかもしれません。
カード特典には、各種保険やワランティなどの付加価値もたくさんついたものがありますが(下記参照)、ここでは、キャッシュかキャッシュ同等の価値のあるポイントやマイレージについて考えてみます。
電気製品やブランド物を買うならば:CitiのPrice Rewindがすごい
キャッシュバックが基本
キャッシュバックとかキャッシュリワードとか呼ばれる現金還元のこのしくみ、ある程度たまったらチェックを受け取れるもの、銀行に振り込んでくれるもの、あるいは最近ではクレジットカードのStatementにクレジット・バック(払戻)してくれるものも一般的です。クレジットカードでの購入額の1%~2%をキャッシュバックしてくれるものが多いですが、カテゴリー(グローセリー、ガソリン、トラベル関係、レストランなど)によっては、6%を出すカードもあります。また、高いキャッシュバック率を獲得できるカテゴリーやお店が月々のプロモーションで変わるものもあります。
キャッシュバックのしくみ:
カードでの購入額 ⇒ その1%~6%程度が現金で戻ってくる
マイレージやポイントは、往々にして変換できる商品やサービスが限られている場合が多く、また、マイレージやポイントがいくらの価値があるかも、変換する商品やサービスでバリエーションがあったりする場合も多く、一般的に現金(上のキャッシュバック)でもらう方が、使い勝手の意味でも、また換金率でもよい場合が多いように思います。キャッシュバックは購入して、一定パーセンテージの現金が返ってくるというストレートな図式ですが、マイレージやポイントは、購入時の蓄積率、そのあとの変換率と2度ステージがあり、クレジットカードを使うと最終的にいくらの価値が貯まるのかはなかなかすぐに見えません。
マイレージやポイントのしくみ:
カードでの購入 ⇒ マイレージやポイントが蓄積(蓄積率) ⇒ マイレージやポイントで買い物(変換率)
・・・というわけで、ストレートフォワードなキャッシュバックのあるカードの人気が高まっており、各社ともよりおいしいキャッシュバックを提供しようと工夫がみられます。Consumer Reportsによると2013年時点ではキャッシュバックのあるカードは全体の25%だったのが、現在では50%にまで比率が上がっているとのことです。まさにキャッシュバック・カードの時代になっている今、一度ご自分の消費パターンを吟味しつつ、巷にあるクレジットカード特典とを照らし合わせながら、今よりキャッシュバックがもらえるカードはないかを調べてみる価値はあるかと思います。
キャッシュバック・カリキュレータ
なんとすばらしいことに、Consumer Reportsがこれを簡単にできるカリキュレータを作ってくれました。300枚以上のキャッシュバッククレジットカードの特典内容(カードのキャッシュバック%、カテゴリー別の%情報、年会費など)のデータベースをもつカリキュレータで、月々のご自分の支出パターンを金額で入力すると、年間いくらキャッシュバックがくるか、3年でいくらになるか(3年の値は、初年度年会費無料など、1年だけの差ではつかめない部分を見るためです)を一瞬のうちに計算してくれます。
たとえば、下の場合は、月々$3,700弱をカードで支払う家庭の場合です。ガソリン、グローセリー、レストラン、トラベルは、通常の利用より高いキャッシュバック率を出すカードが多いので別枠になっています。それ以外はEverything Elseとなっていますが、ここには毎月恒常的に払うもの以外に、たとえば年に1回か2回しか払わない保険料とか税金とかなども、もしもカードで支払っているなら入れることができます。自分が今使っているカードとの比較もできます。
下の場合は、現在使っているカードはFirst Bankcardで3年で$1,241のキャッシュバックです。これが右側上から3枚までのカードに乗り換えると、3年で$3,000以上のキャッシュバックが得られるという結果です。実際乗り換えるかどうかは、もう少し詳しく条件や他の特典なども見る必要がありますが、有力な比較です。
こちらのページにあります。使ってみてください。
https://www.consumerreports.org/cro/money/credit-cards/credit-card-comparison-tool/index.htm
組み合わせも有効
なお、上のカリキュレータはすべての支出を1枚のカードですることを前提にしていますが、実際は、カテゴリーごとのキャッシュバック率が異なることも多いので、2、3枚のカードを組み合わせて使うとよりキャッシュバックを多くすることができます。
我が家の場合は、ガスとグローセリーは5%還元のAmex Blue Cash(今は新規加入を受け付けていない古いカードです)、その他は2%還元のCiti のDouble Cash(2019年10月現在コメント このカードはベネフィット悪化でキャンセルします Citiカードのあまりにも悲しい特典削除)、海外にでたら為替手数料のないCapitalOneカードというパターンで3枚を組み合わせています。
上のカリキュレータよりもう少し複雑な計算が必要になりますので簡単には比較できませんが、Consumer Reportsでは、典型モデルの2枚組合せバージョンを提案しています。たとえば。。。
上のような、典型的な家族4人程度の月当り$3,500をカードで使う家計には、Amex Blue CashとCiti Double Cash(2019年10月現在コメント このカードはベネフィット悪化でキャンセルします Citiカードのあまりにも悲しい特典削除) が最強のパターンです。どういうときにどちらのカードを使うかの戦略も示してくれます。他にも、シングルの方、リタイヤしたご夫婦、スモールビジネスオーナー、高収入世帯など違うパターンの場合の提案もあり、下のページで見られます。
https://www.consumerreports.org/rewards-cards/how-to-cash-in-on-cash-back-credit-cards/
他の商品やサービスと同様、クレジットカードも進化し続けています。3~5年に一度くらいは、もっとよい条件のカードはないか見直すのは、消費者としてのWise Practiceだと思います。