子どもに教えたいお金のこと - $1を大事に使う

息子がミドルスクールの確か8年生になったときだったでしょうか、その頃はじめた「子どもに教えておきたいお金のこと」シリーズ。ショッピング編、バジェット編、クレジット編、クレジットカードを与える編と進んできました。その息子も去年の秋から大学生になり、それなりにいろいろ工夫して生活しているようです。今回は、その大学生の息子の新生活のお話。よく吟味して物を買いましたが、それが壊れたとき、さてどうするかというお話です。

 

破れたバッグパック

一時期JanSportのバックパックをよく使っていましたが、ああいうのもターゲット年齢というのがあるのでしょうか、ある時からまったく使わなくなりました。セールでいいのを売っていたので、この色なら気に入るだろうと買って帰ると、「今時、もうJanSportなんて使わないよ(今時というのは自分の年齢で・・という意味らしい)」と見向きもしなくなりました。というわけで、大学生になった今はなんとかというブランドがお気にに入りで、それを購入して大学生活を始めたわけですが、2か月したかしないかで、ストラップとバックバックが連結されている一番上の部分がビリリと裂けてきました。確かにアメリカのテキストブックは分厚くて重いし、そのうえラップトップなども入れればかなりの重量。だけれど、2か月で裂けるというのもちょっと納得いきません。

ぼやいている息子に、ここですぐ新しいのを買ってはだめなことを話します。大切なお金でしっかり吟味して買ったものが、すぐダメになった場合、どういう対応法があるかを知れば、同じ$1を使うにも大きく引き伸ばすこともできれば、$1の価値に満たないま消滅しておしまいということにもなります。購入後、2か月でこうなった場合は、いくつか方法があります。

まずは、お店に返品する方法。お店によってポリシーは違いますが60日以内、90日以内という場合が多いでしょう。アメリカは返品大国なので、たとえ使ったバックでも2か月でダメージが出てきたというのなら、返せる場合がほとんどでしょう。もうひとつは、大手のクレジットカードについてくるPurchase Protectionを使う方法。クレジットカードで購入したものが購入後一定期間内に壊れたり、盗まれたりした場合に、その補償をおこなってくれます。最後は、そのお店に直訴してみる方法。これは明文化された方法ではないかもしれませんが、感情に訴える場合には案外効果的な方法です。

さてこの三つを説明したうえで、息子に提案したのは3番目の方法。返品も、Purchase Protectionも手続きが必要ですが、3番目の方法はうまくいけば一番簡単だからです。直訴というのは、つまりメールを送ること。メールには、1)いつどういう商品を買ったか、2)自分がなぜそのブランドなり商品なりが好きか、3)それが2か月で壊れてしまってとても残念なこと、4)これからもぜひそのブランドなり商品なりを使っていきたいこと を簡単にメールにまとめて書いて送るだけ。息子にとっては大好きなブランドですから、簡単に書けるメールです。メールを送ったら1週間後、同じバックパックが送られてきました。今度は壊れないように使えるといいです。。

 

ラップトップの液晶画面が。。

お次はラップトップの液晶画面が壊れた話。このラップトップも大学入学に合わせて購入した新しいもの。スケートボードでキャンパスを行き来しているとき、コーナーで転んで、そのせいでラップトップに衝撃が加わり本体には問題ないものの液晶画面が少しおかしくなりました。継続して使えないわけではないが、ちょっと残念な液晶画面の様相。。

こちらは先ほどの二つ目のPurchase Protectionを使うことにしました。PCを購入したクレジットカードはマスターカードで、これにはDamage & Theft Purchase Protectionというプロテクションがついています。120以内のダメージ、盗難をカバーしてくれます。PCショップにラップトップを持っていき、壊れた液晶画面の修理費用を見積もってもらったところ、$150とのこと(余談になりますが、このとき息子は見積もり額だけ聞いて手ぶらで帰ってきたので、そういう時はできるだけ書面で見積もりをもらって帰ってくることを教えました。書面提出を求められることもあるかもしれないし、あるいはこのショップに実際修理をお願いしたところ、違う値段を要求されることもあるかもしれず、そういう時書面の証拠があると話が早いことを教えました)。

マスターカードのオンラインサイトで、Damage & Theft Purchase Protectionのクレームを申請しました。いつ買ったものか、いくらかなどの基本情報と、ダメージの写真と詳細説明を入力し、修理見積額は$150と入力し、見積書もアップロードしたほうがよいようでしたが、とりあえずなしで申請してみました。2週間くらいで審査が終わり(見積書提出はなしのまま)、$150がクレジットカード口座に入金されました。

 

おまけに、Overdraft Feeの話。

ここまでは購入後の対応の話でしたが、もうひとつは息子が初めてチャージされた銀行のOverdraft Feeの話。息子の口座では、セービングに$500が入っており、これはエマージェンシーファンドとして万が一どうしても必要な場合に手を付けてよいお金で、基本的には触らないお金ということになっています。社会人になってもエマージェンシーファンドを維持することは大事なので、学生のうちからこの「さわらないお金」の存在に慣れるほうがよいだろうと今からそうしています。チェッキングは息子の自分のお金と親が月々送るお金が入っています。

新生活を始めて少しして、いろいろと出費かかさんだうえ、入金のほうが追い付かず、チャッキングの残高が足りなくなりセービングから不足分が自動トランスファー(Overdraft)されました。この手数料は$12。この手数料の存在はちゃんと説明してありましたが、これは案外実際体験してみないとピンとこないものかもしれません、、果たして$12の手数料がとられてから、「あ~、このことか」と気づいた息子から連絡がありました。

この手数料ははじめからわかっていたものなので、不当なチャージではありませんが、ただ銀行のこうした手数料は少々額面的に度が過ぎている部分もあり、その点は銀行自体もよく心得ていて、「すいません、これからもうしませんから許して」とお願いすると案外簡単に取り消される場合もあります。息子にもそこのところを説明し、安易に責任逃れはいけないが、今後気を付けてよい顧客になるということをアピールするのは悪いことではないので、電話一本、あるいはメール一本してみたら?と提案しました。

どうやらこれは息子はしなかったらしく、チャージのクレジットバックはありませんでした。彼なりに考えて、そのアピールはしないことにしたのでしょう。ま、それもよし。今後はチェッキングの金額にもう少し注意するようになるでしょう。

 

今日は、$1は$1として使ったらおしまい・・という話ではないことのお話でした。使う前は、よく吟味して$1で買える価値を最大化する努力が必要、使った後は、よく吟味してせっかく最大化した価値が縮小してしまわないように工夫が必要というお話でした。

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4 comments

  1. とてもためになる記事、ありがとうございます。

    うちも娘が2人いますが、たいていは私がクレジットカードで支払うので、金銭感覚がほとんど身についていません。長女がミドルスクール(JanSportのバックパック愛用してます!笑)に入ってからは毎月現金でお小遣いをあげることにしました。いかにスターバックスが高いか、彼女なりに理解したようです。(いつもスタバに行きたい!と言うのです)

    小さい頃から、お金に関することだけでなく、困った状況に対処する術を身につけておくのはとても大事なことです。ありがとうございました。

    1. そうですよね。金銭感覚は体で体験しないとどうしても身に付きませんよね。最近では実際のお金を手にすることなく、支払いや送金ができてしまいますが、バーチャル体験の前にまずホンモノの体験が必要な気がします。

  2. いつも役立つ情報ありがとうございます。一つ質問があります。Purchase protectionを使用した場合、credit scoreに影響はありますか?

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