どう529プランを選びカレッジ資金準備を始めればよいのか・・というところに焦点を当て、2回に分けてお届けしています。今回は2回目。この529プラン活用策はStep 0からStep 6までの7段階にまとめていきますが、1回目はStep 0からStep 2までの基礎3段階をカバーしました。2回目の今回は、Step 3からStep 6までの実行段階をカバーします。Step 3は、自州の529プランだけではなくアメリカ50州のすべての529プランに選択対象を広げる方を対象にしています。
Step 3:どの州の529プランを選択するか
自州だけでなくどこの州の529プランを選択してもよい・・・と言われても、かえって困惑してしてしまうという方も多いでしょう。なんといってもアメリカ50州、全部の529プランなど吟味していられません。そんな場合は、こちらのランキング表を参考にされるとよいでしょう。
この表はsavingforcollege.comが各州の529プランに対する評価をまとめたもので、投資パフォーマンス、手数料などのコスト、投資プランの特徴、プログラムの信頼性などの指標を使い総合点を5Cap満点で表示しています。左の列がその州の州民にとっての評価、右側の列がその州以外に住んでいる人にとっての評価です。前記の州税の優遇措置やその他州民対象のサービスがあると、州民評価がよくなっています。advisor-soldと書いてあるのは、ファイナンシャル・アドバイザーを通して買うプランです。前回書いた通り、advisor-soldは避けた方が無難です。表記がないのはdirect-sodといって自分で直接積み立てるプランですので、こちらを利用します(savingforcollege.comでは、advisor-soldとdirect-soldとはそれぞれ異なる評価基準で評価していますので、advisor-soldは他のadvisor-soldとの比較、direct-soldは他のdirect-soldとの比較には適しています。よってdvisor-soldが、direct-soldと比較してレイティングがよかったとしても、それは必ずしもそのadvisor-soldプランが全体的に見てよいということではありません。あくまでadvisor-soldは避けるのが無難です)。この表では、4cap以上、できれ5capのdirect-soldプログラムを選ぶと安心かと思います。
上の表でたくさんのなかから選ぶのが面倒だ・・という場合は、もっと簡単な方法があります。Morningstar社が、毎年529プランの査定を行っており、これを参考にする方法です。2018年末に発表された優良529プランは以下のとおりです。
ゴールド評価を得たプラン:
- Bright Start College Savings Program (Illinois)
- Invest529 (Virginia)
- Vanguard 529 College Savings Plan (Nevada)
- my 529/Utah Educational Savings Plan (Utah)
シルバー評価を得たプラン:
- Bright Directions 529 College Savings Program (Illinois)
- CollegeAdvantage 529 Savings (Ohio)
- CollegeAmerica (Virginia)
- CollegeCounts 529 (Alabama)
- Maryland 529 College Investment Plan (Maryland)
- Michigan Education Savings Program (Michigan)
- MOST – Missouri’s 529 Savings Plan (Missouri)
- ScholarShare 529 (California)
- T. Rowe Price College Savings Plan (Alaska)
毎年ある程度ランキングは変わりますが、
ネバダのVanguard 529 College Savings Planと
ユタのmy 529/Utah Educational Savings Plan
は長い間安定的に優良プログラムとして選ばれています。とくにどの州のプログラムでもよいが、どれにしようか迷っているというような場合は、このどちらかをお勧めします。
Step 4:529プランを決めたら、その中の投資プランを決める
この時点で、どの州のどの529プランに投資をするか決まりました。次は、その529プランの中で提供されているいくつかの投資プランのうち最適なものを選ぶ作業が必要となります。これは、401kやIRAなどの中の投資プランを選択するのと同じ作業です。実際にその州の529プランのWebサイトに行き、どのような投資プランが提供されているか詳しく見てみることをお勧めします。529プランの名称がわかっている場合は、その名称でgoogle検索するのが一番簡単です。
名称がわからない場合は、こちらのサイトから該当の州を選択するとその州の529プランリストが出てきますので、Plan Detailというボタンを選び詳細情報ページにいきます。Investment Optionというところに選択できる投資プランのリストがあります。このページで情報を確認するのはいいですが、実際に口座を開設するときには、直接その会社のサイトに行って開設するのがよいです(変に仲介業者をいれないようにするため)。ContactというところにWebアドレスがあるかと思います。リンクがはっていないこともありますが、コピペして直接その会社のWebページに行ってください。
投資プランの選択では、少し前までは401(k)でも529でも、提供されている株式ファンドや債券ファンドを自分でうまく組み合わせてポートフォリオを組み立てるやり方が多かったのですが、昨今ではあらかじめ組み合わされた自動運用型ファンドを買うのが主流になりました。401(k)の場合は、リタイヤメント年を選択することによるターゲットデイトファンドがメインになり、529の場合は現在の年齢を選ぶと大学入学年をターゲットに自動運用するAge-basedファンドの人気が高まりました。お子さんが小さいうちはハイリスク・ハイリターンの株式比率が高く、お子さんが大きくなりカレッジに行く年が近づくにつれ、ローリスク・ローリターンの債券比率が高まっていくという自動運用型ポートフォリオです。
Age-basedファンドはお子さんの年齢を選択すれば自動的に決まるものもあれば、年齢を選択したうえでさらに、actively-managedファンドか、passively-managedファンドかを選択できる場合があります。前者はマネージャーがアクティブに高リターンの期待できる投資媒体を選んで運用するもので、手数料は高めです。一方、後者はいったんふさわしい投資媒体を選んだら基本的にずっと持ち続けるもので、手数料は低めです。一般的にactively-managedは高手数料に見合うだけの高成績を、長期間にわたって恒常的に収めることができないという結果がでており、Smart & Responsibleでもこの立場に賛成です。よって、passively-managedファンドを選ぶことをお勧めしています。
なお、一昨年の法改正により、529の利用範囲が、大学レベル以上の高等教育だけではなく、キンダーから12年生までの学費にまで拡張されました。お子さんひとりにつき$10,000までが引き出し額非課税で利用できます。529の利回り非課税での運用は、投資が長期になればなるほど複利のパワーで大きくなります。よって、たとえお子さんがゼロ歳のときに529を始めたとしても、キンターまでの運用期間だけだと5年ほどに留まり、529の威力を発揮しきれず少々残念です(税金面ではやって損ということはありませんが)。
また、Age-basedのファンドは、大学入学年をターゲット(引き出しの最初の年)として設定して運用していますので、もしも12年生までの費用に利用することが分かっている場合は、安易にAge-basedファンドを選ぶとリスクのとりすぎになります。個別ファンドを自分で組み合わせるか、ある程度年齢を上げて(たとえば私立高校に行くことがわかっているならば、14~15歳時点が引き出しの初回になりますので、現在ゼロ歳なら、敢えて「今4歳」としてファンドを選択する裏技を利用)対応することになります。
Step 5: 529プランを開き投資を開始する
どの州のどの529プランで、どのような投資選択にするかを決めれば、あとは口座を開いて入金をするだけです。オンラインで銀行口座を開いたり、投資口座を開いたりしたことがある方なら、同じような感覚で529口座を開くことができます。オンラインで口座開設は敷居が高いという方は、Enrollment Kit(口座開設キット)を郵送で取り寄せて、必要フォームに記入し当初入金する額のチェックとともに郵送で口座を開設します。もちろん、必要にあわせ、月々の自動積み立てなども設定することができます。
口座開設に必要な情報は、親(Account owner)、子ども(Beneficiary)、必要によりAccount ownerである親が亡くなったときの口座継承者(Successor account owner)の、氏名、生年月日、ソーシャル・セキュリティ番号あるいはタックスID番号などです。
Step 6:定期チェック
お子さんが小さいうちは数年に一度、カレッジ入学年齢に近くなるにつれ一年に一度くらいは、529プランの運用が必要にあっているかをレビューするのがよいでしょう。
必要に応じ投資プランの変更は、現在のところ1年に2回まですることができます。できるかぎり口座を開いた時に、もっとも最適なAge-basedのファンドを選びずっと持ち続けるのが良いと思います。まれにプランに変更が加えられたり、プランの運営会社が変わることもあります。カレッジ入学が近づいた(すでに入学した)のでより安全な路線に変更したい場合や、他に低手数料のよりより529プランができた場合などに、変更をかけるのがよいでしょう。529に関する変更は比較的簡単にできますので、今ベストと思うプラン、今ベストと思う投資ファンドでとにかく開始することをお勧めします。投資運用は時間があればあるほど大きな効果を生みますので。。
毎回、ありがとうございます。
相談ですが、私の娘は17歳で今だにAggressive Agedのままのです。数年で引き出す予定ですので、この場合はPrincipal and Interestに変えるべきでしょうか?
よろしくお願いします。
Age Basedの場合は、入学年に入ると自動的にかなり保守的なアロケ―ションになりますので、通常はわざわざ変更しなくても大丈夫です。ただ会社によりアロケーションには”くせ”があり、どれほど”保守的”なのかはご自分の目で確認する必要があります。
大変勉強になりました。
もう遅いですが、FUNDが沢山あるESAも考えるべきだと思いました。
ありがとうございました。