あなたのタイプ別健康保険の選び方 - オープン・エンロールメント対策

オープン・エンロールメントの季節になりました。うちの場合はオープン・エンロールメントといえば主人の職場からのもの。その主人、一生懸命働いてくれているのでありがたいことではありますが、Benefitなど面倒なことは大キライで、HRからメールが来るとただ私にそのままフォワードするだけ。最初の何年かは、「あなたも一緒に考えてよ」などと文句を言ってもみましたが、ファイナンシャルなことは一切興味がないようで・・・。”Personal Finance for Dummies”みたいな教本を買ってあげたり(本人には迷惑なことでしたでしょうが)、個人的に教えてあげたり(もっと迷惑だったかも・・)してみましたが、人間、好きなこととキライなことがあるのでしょう。ど~してもダメでした。

ということで、本年も例年どおり、わたしの元にフォワードされてきたオープン・エンロールメントのメール・・・。みなさんの中にも、オープン・エンロールメントに今から取り組むという方もいらっしゃるでしょう。

 

大きな変化のない2012年

今年はあまり大きな変化がないようですね。Healthcare FSA(Flexible Spending Account)へ入金できる金額が$2,500に減額されたことくらいで。今年のオープン・エンロールメントの全国的な特徴を調べてみました。やっぱり健康保険プラン関連がメイン要素のようです。

1) 比べやすい健康保険プラン: 2010年のHealth Reformのおかげで、雇用主が提供する各種健康保険プランの一覧表がつくられ、コストやカバレッジなどが比較しやすくなっている。

2) オプションが増えたファミリー・カバレッジ: individualとかfamilyとかのカバレッジに加え、 employee plus spouse、 employee plus childrenなどのオプションも浸透してきた。本人以外の保険料に対しては雇用主の負担が小さい場合もあり、夫婦二人で働いている場合は、夫婦のどちらの保険を使うか、子どもはどちらの保険に入れるかなど、家族全体として有利な利用法を考える必要性が高まっている。

3) 縮小気味のネットワーク: ネットワーク・ドクターは毎年、追加・変更・削除されるのがあたりまえだが、今年はネットワークが縮小気味。”preferred”という言葉がつくのは常套手段で、比較的小さい”preferred”ネットワークにとどまる限り、コストが抑えられるというしくみが浸透。

4) 拡大された女性対象の予防ケア: 一年に一度の定期健診(子宮がん・乳がん)がすべてのプランで100%カバーされる。女性の方、きちんと検診受けましょう!避妊もカバーされます。

 

大きな変化の2013年

これに対し、2013年には健康保険プランで、大きな変化を予想している雇用主が多いようです。どうやら2012年は、「大きな変化の2013年」へのトランジッションの年という位置づけのようです。来年2013年のオープン・エンロールメントでは、

1) 健康保険プランの選択肢が増える・変わる

2) 配偶者/子どもなど家族カバレッジが大幅に削減される

3) 配偶者が他の健康保険に入れる場合(自分の雇用主を通して)、配偶者のエンロールメントの除外や上乗せコストの徴収

・・・などという変化が予想されているそうです。

 

・・・ということは、来年は健康保険プランの数が増えるとともに、配偶者や子どもの状況がコスト的にもカバレッジ的にも厳しくなる、つまり選択がさらに複雑になるということです。どの先生に診てもらいたいか、専門医を使う必要があるか、医療費の出費はどこまでなら無理なく吸収できるかなど、自分たちのニーズと家計を把握しておく必要がありますね。今年のオープン・エンロールメントは、変化の年2013年に向けての準備年として、いろいろ考えをめぐらす年にするといいかもしれません。

 

健康保険の比較ポイントをマスター

う~、ただでさえもう混乱しているのに、また来年複雑になる健康保険プラン。頭いたいですね。ここ3年で、いくつ健康保険プランを変えて何人違う先生に診てもらったろう・・なんかこの安定感のなさ、なんとかなりませんかねえ。最近、お医者さんも保険のことは訳がわかってないみたいだし。ちょっと混沌とした状態のような気がしているのは私だけでしょうか・・・ でも選ばねばならない健康保険。今回はタイプ別・健康保険の選び方みたいなものをまとめてみました。

 

特定のお医者さんを選ぶことが大切だという人に

現在かかっているお医者さんを絶対キープしたい、現在病気で診察を受けたい特定のお医者さんがある、住んでいる地域で提供されているHMOネットワークにはニーズに合ったお医者さんが少ない・・などの理由で、お医者さんをフレキシブルに選ぶことが一番のキー・ポイントだという人は、健康保険プランのタイプから選択プロセスをはじめます。従来ながらのオーソドックスな選び方です。お医者さんをフレキシブルに選びたいならPPOかPOS、決められたネットワークでいいならHMOにするという教科書どおりの選び方。

ただし、ネットワークに加入するお医者さんや病院は、ご存知のとおり案外頻繁に変わります。オープン・エンロールメントのときに変更になる場合もあれば、年の途中でいきなり「このお医者は、ネットワークから抜けました。他のお医者さんに変わって下さい。」というような通知がくることもあります。また、ひとりのお医者さんが属するネットワークはひとつではなくて、複数であるのが常です。どうしてもこのお医者さんがいい・・という要望があるなら、そのお医者さん自身に、属しているネットワークや将来的計画など聞いてみるのがいいでしょう。

ひとつ注意点。。「フレキシブル」に選べるというベネフィットの裏には、「病院やお医者さん選びは自分の責任」というコストもあります。HMOなら、基本的にPCPがすべての医療行為をコーディネートしてくるはずで、ネットワーク内のリソースを使うよう計画してくれます(裏返せば、患者側に「フレキシビリティ」がないというコストになりますが)。HMOであれば、知らないうちにネットワークの外に出てしまい多額の請求をされるという確率は、ゼロでないにしろ低いでしょう。一方、「フレキシビリティ」のあるPPOやPOSの場合は、そのあたりの吟味・計画・確認のより大きな部分を患者がひきうけるということです。ベネフィットとコストは裏腹です。

 

「万が一」をしっかりカバーしたいという人に

上にも書いたオーソドックスな選び方は、PPO、POS、HMOの種類の選択から入る方法です。でも、みなさん、そんなに「このお医者さんがいい」というこだわりってあるんでしょうか?大変な病気をかかえていてどうしてもこの先生でなきゃ・・・というのがあるのならわかります。でも、平均的に適度に健康な人なら、あんまりヘンな先生じゃない限りそんなに選択権がなくてもいいんじゃないか・・と思いませんか?HMOの先生だって、オンラインのレビューなどを調べてみると患者に評判のよい先生はすぐ見つかりますし、わたしはPPOやPOSでないと・・というこだわりはありません。

ということで、教科書どおり、HMO、PPO、POSのどれがいいか・・というところからスタートするのではなくて、いきなりボトムラインからはじめる方法はどうでしょう。ボトムラインとは、年間にかかる費用で、一番注意をしたいのは、DeductibleとAnnual Out-of-Pocket Maximumです。

車の保険の場合は、コリジョン・コンプリヘンシブにdeductibleがありますね。deductibleの額まで自己負担して初めて保険がその後をカバーしてくれ、deductible以上は自己負担しなくていいというものです。医療保険の場合はちょっと違います。deductibleまでは医療費を払わないと、保険カバーがはじまらないという意味では同じですが、deductibleを超えての自己負担はまだ続きます。deductibleを満たした後は、co-insuranceを払い続けねばなりません。その支払いは、医療サービスを受ける限りAnnual Out-of-Pocket Maximumまで続きます。いったんAnnual Out-of-Pocket Maximumを満たせば、あとは100%保険がカバーしますが、一年が終わり新しい年になるとこれはリセットされますので、またMaxを満たすまでは払い続けることになります。

こんな状態はまさに「万が一」です。されど、「万が一」はありえます。慢性的な大きな病気と診断され、何年にもわたって多額の医療費が必要になった場合は、毎年毎年、自己負担額はAnnual Out-of-Pocketに近いものになります。

保険は「万が一」のときのためのものと割り切るタイプの人には、Annual Out-of-Pocket Maximumの低いプラン(多くの場合HMO)を選ぶとよいでしょう。ただし、「万が一」がしっかりカバーされているのと引き換えに、お医者さん選択の「フレキシビリティ」がないこととHigh Deductibleプランに比べると保険料が高いという「コスト」があります。POSやPPOでもAnnual Out-of-Pocket Maximumの低い設定のものがあるかもしれません。「フレキシビリティ」も必要で「万が一」もしっかりカバーしたいとなれば、POSやPPOを選びます。コストはさらに高めでしょう。

 

健康と無事故に賭けてみたいという人に

自分も家族も健康で、ほとんどお医者さんにはかからない・・今のうちになるべく健康保険料をセーブして、他の貯蓄や投資にまわしたいという人には、一年で数百ドルから千ドル以上の節約が可能なHigh Deductibleプランがいいでしょう。High DeductibleプランはHRA(Health Reimbursement Account)やHSA(Health Savings Account)を利用できる場合も多く、うまく利用するとさらに節約できる可能性があります。若いシングルやカップルで、健康には自信があり、車の運転もしないので事故にもあう可能性は少ないし、とにかく今のうちにお金を貯めたいという人にぴったりかもしれません。雇用主によりますがHRAは、使わなかった分は翌年に持ち越しクレジットとして貯めておける場合がありますし、HSAのほうは自分のお金ですから投資して増やすこともできます。

ただし、「病気にならなければ節約できる」の裏には、「病気になれば大きな出費になる」という可能性も隠れていることを覚えておかねばいけません。医療費が高いアメリカでは、「ちょっと病気」になってもすぐに数千ドル・レベルの出費になりかねません。deductibleに達するまでは保険は一切払ってくれませんから、自己負担です。上で書いたようにワースト・ケースでは、Annual Out-of-Pocket Maximumを何年も払い続けねばならないという可能性もあります。ラッキーかアンラッキーかが大きく分かれるプランということでしょう。

High Deductibleプランの人気は非常に高まっています。多くの人が安い保険料を求めてこのプランに乗り換えているからです。同時に、High Deductibleプランのリスクに気づき始めた人もおり、あるサイトでは、High Deductibleプランの「穴」を埋めるために、Accident Insurance(事故のときの補償)、Critical Illness Insurance(ガン、心臓発作、脳いっ血などの場合の補償)、Hospital Insurance(入院一日あたり設定額を補償)を追加購入しましょうと勧めているところもあり(サイト運営者は保険エージェント。。)、なんかこれでは節約した保険料で別の保険を買うようで、ちょっと理解に苦しみますが、ポイントはそれだけ「穴」があるかもしれないということです。

また、最近の調査で、「High Deductibleプランに入っている人は、自費負担が大きいため(Deductibleに達するまでは100%)、ついつい必要なメディカル・ケアや診察をスキップしたり遅らせたりする傾向がある」ということがわかってきています。察しがつきますね。「たぶんたいしたことないけど、どうも気になる」というとき、出費がcopayの$15だけというならあんまり考えないで行きますが、全部で$500の自己負担(しかも額は行ってみるまでよくわからない)となると、先延ばしにしたくなります。$500かかっても、それはもともと承知済みのコストで、HRAから支払うのだから損ではない・・・と割り切ることができればいいのです。High Deductibleプランに加入する場合には、そのような割り切りが必要です。そうでないと、健康という一番の財産を壊してしまうことになりません。

 

3つのタイプをグラフにしてみると・・・

先にも書いたとおり、本年のオープン・エンロールメントでは、去年にくらべ雇用主が保険プランの比較ツールを拡充している傾向があります。たとえば、健康状態によってどのくらいトータル医療費が変わってくるかを、簡単に計算できるカリュキュレータも提供されている場合が多いでしょう。ぜひ利用されるとよいでしょう。下は、そのようなカリキュレータを使って我が家の選択肢をグラフ化したものです。横軸が、健康状態です。「健康良好」な場合、「少々の病気」をした場合、「定期的な治療」を要する場合、「大きな病気」をした場合の4つで、保険料+自己負担医療費のトータル・コストがどのように変化するかプロットしました。

一番下に位置するふたつ、Kaiser HMOとHealthNet B&G HMOは、健康状態がどうであれ医療費に大きな変化はありません。また、HMOということで医師選びのフレキシビリティがない分、コストは最安になっているグループです。

その上に位置するふたつ、Anthem Plus POSとHealthNet HMOは、先のふたつのHMOに比べ医師選びのフレキシビリティが高くなっています(HelathNet HMOとHealthNet B&G HMOは、医師ネットワークの大きさが違います。前者は選択肢が大きく、後者はそれが限られています)。フレキシビリティが高い分、コストは高くなります(主に保険料が高くなる)。しかし、健康状態がどうであれ医療費のトータルが大きく変化することはなく、「万が一」の場合もしっかりカバーされています。

これらの上を横切っているAnthem Lumenos PPOはHigh Deductibleプランです。健康が良好な場合はコストが低くすみますが、病気をしたり怪我をすると急速にトータル・コストが上がっていきます(自己負担医療費が大きくなる)。ラッキーかアンラッキーかが分かれるプランであるゆえんです。

一番上のAnthem PPOは一番高いプランです。PCPを選ぶ必要もなく、完全に自由にお医者さん選びができ、Deductibleの設定も比較的低いのですが、Annual Out-of-Pocket Maximumが大きいので、健康状態によってトータル・コストが大きく変化します。

 

あなたはどのタイプでしょうか?雇用主が提供している比較ツールやカリキュレータを駆使しつつ、ぴったりの健康保険が見つかりますように・・・

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