1.長期的なプランをつくりそれを維持する
お金を貯めるということは、長期的なものです。株で一発当てて後は遊んで暮らせるほどの大金が稼げればそれほど良いことはないのかもしれませんが、それはホンの一部の幸運な人に訪れることであって、万人が期待できることではありません。また、幸運の裏には不運もあり、大金を当てるつもりが大穴があくこともあります。自分が責任をもってとれるだけのリスクをとりながら、着実にお金を貯めていくためには、自分に最適な長期的なプランをつくって、それを継続的に維持していく以外にはありません。ミリオネアになっている人の中には、決して高収入であったり不動産や株で当て続ける人だけではなく、こつこつと自分にあった長期投資をしている人も確実に含まれています。
Fidelity社の調べでは、プラニングをすることの重要性を上げています。ファイナンシャルプラナーや、雇用主の提供するプラニングサービスや、金融会社のオンラインサイトにあるようなプラニングツールを利用して、なんらかのプラニングをしたことがある人のうち30%は自分の投資ストラタジーに変更を加えたという結果でした。変更のうち最も多いのは、積み立て金額の増額です。
長期プラニングを念頭に置いての現状把握は、現在の積み立て額が十分か、とっているリスクレベルが妥当なものか、必要な利回りが出ているかなどのチェックをして、必要ならば変更を加えることを可能にします。
2.スーパーセーバーになる
Fidelity社のレポートでは、1の長期プランとも関係しますが、成功する投資者になるための最も重要な要素は、スーパーセーバーであることとしています。積み立てる額だけでなく、その頻度が重要です。加えて投資する期間も非常に大切です。投資期間を長くするということは、なるべく早く積み立てを始めることと(給料が少ないうちから始めること)、できるだけ長く積み立てること(リタイヤメントをなるべく遅らすこと)で実現されます。できるだけ長期間、可能な限りの額を、コンスタントに貯めること、これがキーです。
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3.たとえ暴落しても株投資を排除しない
市場は好調になったり不調になったりします。良い時も悪い時もメディアは騒ぎます。暴落したときは先行くは暗く、なんとかしないと大変なことになると不安をあおるようなニュースも耳にします。そんなときパニックになって株投資を売るのは、長期投資で成功している人がしてはならないことです。よい投資家は、自分の投資期間がどのくらいあるのか、それに合わせてどのくらいのリスクをとっていて、そのリスクのうちには値が下がることも想定内として含まれていることを把握できています。それこそが長期プラニングであり、市場の暴落があったとしてもうろたえることはありません。
Fidelity社の調べでは、2008年から2009年にかけての市場の大暴落のとき、なんらかのアクションをとって株を売った投資家より、そのまま持ち続けた投資家のほうが、2015年までの期間を振り返ると結果的に好成績であったことをレポートしています。暴落後2015年まで持ち続けた投資家のポートフォリオは平均で147%に成長したのに対し、株を売ってしまった人は74%にとどまった、つまり元金割れのままであったという結果でした。
投資をする際には、一時的に元金を割るようなことも当然あり得るということをよく理解しておくこと、そしてそれも想定内で長期的な投資を組み、自分がとれるレベルのリスクを組み入れたポートフォリオを組んだ置くことが大切です。
4.ダイバーシフィケーションをする
投資では、リスクとリターン(利回り)は表裏一体です。高リスクなら高リターン、低リスクなら低リターン。「リスクがほとんどないのに、すばらしい高利回り!」と歌っているような商品があったとしたら、それは100%偽物といってもいいでしょう。たとえば、一部のアニュイティなどのように、実は高い手数料が隠れていて結局利回りが食われてしまい、手元に残る利回りはリスクに見合うレベルに下がってしまう・・というようなケースもあるでしょう。あるいは、一部の特殊投資のように、実はすべてのリスクを鑑みないで低リスクと歌っているだけで、リスクをよくよく把握してみると結局、高リスク高リターンの話だったということもあるでしょう。もし、本物の低リスク・高リターンがあったとしたら、みんなそれを欲しがりますから需要があがって買い値が上がり、リターンは自動調整され結局低リスク・低リターンに行きつきます。ですから、市場原理がしっかりと働いている状況においては、リクスとリターンは見合ったレベルに保たれるということです。
ただひとつ、投資には、リスクを抑えつつもリターンを上げることができるマジックがあります。それがダイバーシフィケーション(投資の多様化)です。お互い違う値動きをする投資媒体をバランスよく持つことで、値動きのアップダウンが相殺されリスクがおしなべられるとともに、リターンは改善される・・これがダイバーシフィケーションの効力です。
正しく投資を理解する – 投資ファンドの種類はいくつか適当?(1)
ただし、ダイバーシフィケーションは、なんでもかんでもたくさんの投資媒体やファンドを持てばよいというものではありません。たくさん持ちすぎるとかえってバランスが崩れて、リスクが高まったり、リターンが下がるということにもなりかねません。
正しく投資を理解する – 投資ファンドの種類はいくつか適当?(2)
ダイバーシフィケーションはバランスが必要であり、何段階かに分けて行われる必要があります。まずは、株、債券、現金相当のカテゴリーがリスク・リターンの要件に合わせてバランスよく含まれていること(これをアロケーションともいいます)。次に、株であれば、サイズ(大型・中型・小型)、スタイル(成長株・格安株)、業種セクター、地域・国などがバランスよくばらけていること。債券であれば、クレジット評価や満期までの期間などがバランスよくばらけていることです。
5.低手数料商品を選ぶこと
成功する投資家は手数料にこだわります。Fidelity社のレポートでは、1992年から2015年の間の大型US株アクティブファンドを対象に調べた結果、ただ単に低手数料でランクづけた上位25%を選んだだけで、全体の平均利回りより0.89%だけ利回りが多かったとしています。投資内容のよしあしなどを全く吟味せず、単に手数料を下げただけで、毎年0.89%の利回り向上ができるということです。
手数料は直接的に利回りを食います。しかも年々、毎年です。たった0.89%と思われるかもしれませんが、元金$10,000で20年を考えれば、最終的には$7,100の差、つまり元金に対して71%の差となります。実際、手数料にこだわれば0.89%以上の手数料削減を実現することも十分可能なケースも多いものです。
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6.税金にも注意する
手数料に加えて税金も利回りを食います。そのため、401(k)やIRAなど税優遇で投資できるプログラムが使える場合には、それらへの投資を第一優先することが肝要です。401(k)やIRAを最大限に利用してもまだ投資に回るお金がある場合は、通常の課税対象の投資口座を利用することになりますが、その場合も、ターンオーバーが低い(ファンド内での売り買いの少ない)インデックスファンド(株式指標の株にまんべんなく投資するPassive ファンド)を購入することで、キャピタルゲインは最小化され課税額を少なくすることができます。また、場合によってはTax Managed Fundと呼ばれる節税を念頭においたファンドを利用することも必要かもしれません(多くの場合高所得者に有利)。
以上を着実に行えば、自分に合ったペースでしっかりとお金を貯めることができるはずです。