ご質問:Dip investmentについて教えて下さい。関税問題で株価がぶれていて、Dip Investmentという言葉を耳にする機会が増えました。ファイナンスについては、全くと言って良いほど、知識がありません。まずは、これがどういうものなのかを教えて頂きたい。そして、その購入方法などについても教えて欲しいです。宜しくお願いします。
Dip Investmentとは
Dip Investmentというと、特別な名前で呼ぶ特別な投資のように思いがちですが、Dipした(値が落ちた)ときに割安になった銘柄を購入して、のちのち高く売ってキャピタルゲインを狙おうという投資法です。目新しいものではありません。
ちまたがDip Investmentを取り上げ出した背景
2025年4月、トランプ前大統領が大規模な関税を発表し、株式市場が急落し、多くの投資家が「今が買い時」と判断し、人気銘柄を大量購入しました。ニュースでとりあげられると、追随したいと思う人もおり、さらに話題になっているようです。しかし、市場はその後も下落し続け、結果的に損失を抱える人も出ています。
広くリスク分散した長期投資をお勧めしています
安い時に買って高い時に売れば、誰でも簡単に利ザヤが稼げると思いがちですが、これには二度、時を正しく読む必要があります。一つは、「今が安い時」と正しく時を読むこと。もう一つは、「今が高い時」と正しく時を読むことです。過去の多くの学術論文では、これは決して容易いことではないことがわかっています。たとえ市場を常に相手にしているプロのファンドマネージャーや、常時市場を観察しているAIでも、これは容易いことではありませんから、一個人投資家となればなおさらです。
ですので、Smart &Responsibleではこのような短期的・投機的な方法ではなく、広くリスク分散した長期投資をお勧めしています。
リタイヤメントや学資など、ある程度長期にわたって積み立てを続けながら貯めていく必要がある方は、インデックスファンドを使った全世界分散の長期投資が良いと思います。
インデックス投資を理解する(3):儲かりそうなものを見つけようとしない!
インデックス投資を理解する(4):どんな方法より強力で最もシンプルに利回りを上げる方法
インデックス投資を理解する(5):リスクを怖がる必要なしの術!
たまたま長期投資に回す資金があるなら
リタイヤメントや学資のための投資などは、月々の給与から定額を定期的に積み立てるドルコスト法が基本ですが、たまたま今まとまったお金があり長期投資に回せるのなら、昨今のような市場全体が下がったときに投資を始めるのはよいかもしれません。これは(値下がりを享受するので)一種のDip Investmentと呼べるかもしれませんが、ただしあくまで長期投資を目ざすのがよいでしょう。これも、あまりに「底値になった時に買おう」とするとかえって投資を始める機会が遅れていきますので、ある程度のところで見切りをつけ、とにかく長期投資を始めるのが良いと思います。
どうしてもしたいなら
また、安く買って高く売るという短期的・投機的な方法は、Smart &Responsibleではお勧めしていないだけであって、やっていけないということではありません。うまくいけば大儲けできる可能性もあります。ただ反対にでれば、大損する可能性もありますので、もし行う場合は、ある程度なくなってもいいくらいの余剰金で行うのが基本です。