Last Updated on 2019年1月31日 by admin
アメリカ大学の学費(だけでなく寮費やもろもろの経費も)の高騰が叫ばれるようになって久しいですが、カレッジ資金のための貯蓄・投資ツールである529プランの人気も最近になって高まっているようです。2013年には、全米で50万口座の新規口座が追加され総合1,160万口座に、全米投資額は株式市場の回復もあいまって、$36.4ビリオン増え$227.1ビリオンまで成長しました。口座あたりの投資残高も、過去最高の$19,584となりました。その一方で、カレッジ資金を貯めている親のうち、529プランを利用しているのは、ほぼ1/4に過ぎないというデータもあり、529プランを利用したほうがいいのに、まだそうしていない親もいるということを物語っています。
2019年改定版がこちらにあります:学費を貯める-529プランを賢く選ぶ(1) 2019年改定版
このブログでも過去にカレッジ資金に関連して多くの記事を掲載してきました。一部をご紹介しますと。。。
カレッジ費用を貯める(1) - Roth-IRA と 529
カレッジ費用を貯める(2) - beyond Roth-IRA and 529
教育費で受ける税優遇 その1 - American Opportunity Credit
教育費に対する税優遇 その2 – Lifetime Learning Credit
上のリストを見てもわかるように、カレッジ資金対策は529プランだけがミソではありません。ただ、多くの人にとって529プランは考慮に値するツールだということは言えると思います。今回は、どう529プランを選びカレッジ資金準備を始めればよいのか・・というところに焦点を当て、2回に分けて見ていきます。この529プラン活用策はStep 0からStep 6までの7段階にまとめていきますが、1回目はStep 0からStep 2までの基礎3段階をカバーします。
Step 0:まずはベーシックから
529プランの529は、IRSコード529(税法529項のような感じです)に基づいてつくられた高等教育のための資金運用プランです。いろいろな529プランがありますが、基本は以下のとおり。
- 各州が、それぞれの選ぶ金融会社を通して運営している。
- ひとつの州でいくつかの529プランが存在することがある。
- 自分の州以外の529プランに積み立てることもできる。
- 積み立てたお金は、Federal School Codeに登録されている学校であれば、どこの学校(海外の学校もあり。ただし日本は今のところ対象外)の費用にも使える。
- 529プランの中には、Prepaidプラン(特定の大学にいくことを前提に授業料を前払いするもの)とSavingプラン(Federal School Code登録校ならどこの授業料にも使えるもの)がある。一般的に529プランというと後者を指すことが多い。このブログでも、以下、Savingプランを前提に記事を書き進めます。
- 積み立てたお金は、税遅延で運用され、カレッジ費用に使う限り税金がかからないまま使える。
- 州によっては、529プランへの積み立て金に対して州の所得税控除を提供している。
- 529プランの中には、Advisor-sold(アドバイザーを通して投資する)のものとDirect-sold(自分で直接投資する)のものがある。
Step 1: 自分の州の税優遇を調べる
上で書いたとおり、私たちは自分の州の529プラン以外にも他州の529プランを選ぶことができます。ただし、自分の州の529プランを選んだ場合、州の所得税で優遇措置がある州があります。この州税の優遇措置をめぐっては、4タイプの州がありますので、ご自分の州がどのタイプか把握することがStep1です。4タイプとは:
a) 自分の州の529プランへの積み立てに対し、自州の所得税で優遇措置がある州 : たとえば、イリノイ州の場合、夫婦で$20,000までの529プランへの積み立てが州税控除対象(deductible)となりますから、たとえば州税率が5%だったとすると、$20,000を529に入れると$1,000分税金が少なくなるという優遇措置になります。インディアナ州では、$5,000までの積み立てに対して20%のタックス・クレジットが適用されますから、$5,000積み立てると$1,000分税金が削減できるという優遇措置です。このような優遇措置は州からもらえるフリーマネーですから、この場合には自州(own state)の529プランをぜひ検討されるべきです。ただし、すべてのお金を優遇措置のある自州の529プランに入れる前に、少々吟味も必要です。そのような吟味についてはStep2をご覧ください。
b) どの州の529プランに積み立てても、自州の所得税で優遇措置がある州 : ペンシルバニアやメインなどのように、どこの州(any state)の529プランに積み立てても、積み立て額が自州の所得税控除の対象となるという、懐の広い州もあります。こちらは、自州のプランに加えどの州の529プランでも自由に選択することができます。Step 3へお進みください。
c) 所得税自体がない州 : うらやましいことに州の所得税がゼロ(no personal income tax)という州があります。フロリダやネバダなどです。このようなラッキーな州にお住まいの方は、そもそも税控除の対象となるような所得税を払う必要がないということですので、結果として自州のプランに加えどの州の529プランでも自由に選択していいことになります。Step3へお進みください。
d) 所得税はあるが優遇措置のない州 : これが一番悲しいケースですでが、私の住むカリフォルニア州はこの例です。所得税はしっかりとられるが、カリフォルニア州の529プランに積み立てたところで何の優遇もない州です。自州のプランだろうが他州の529プランだろうが、どうせ優遇措置はないのでどの州のプランでも自由に選択します。Step3へお進みください。
こちらの表で、ご自分の州がどのタイプに属するか調べてみてください。それぞれの州で複数の529プランがある場合も多いですが、各州レベルでの所得税や優遇措置についての詳細が確認できると思います。
Step 2:自州の529プランを吟味する
上でタイプa)の州にお住まいの方は、まずは自分の州の529プランを吟味します。税金の優遇措置があるからといって、やみくもに自州のプランを選択することはベストでないこともあるからです。たとえば、529プランの投資パフォーマンスが悪すぎる場合や、投資ファンドの手数料(Fee & Expense)の高すぎる場合などは、税優遇を敢えて逃してでも、他州の529プランを選んだほうがいいかもしれません。とくに問題は後者の手数料(Fee & Expense)です(手数料について詳しくはこちらをご参考に)。手数料は投資利回りを直接的に減らしますから、注意が必要です。手数料が0.5%を超えたら要注意と考えたほうがよいでしょう。手数料と投資成績にはほぼ相関がない(高い手数料のファンドが、必ずしもよりよい投資成績を収めるということはない)場合がほとんどですので、手数料は低ければ低いほうがよいといえます。こちらの表で、各州の529プランの手数料が比較できます。
たとえば、アーカンソーを見てみると、手数料は$1,123です。通常一番左が、もっとも手数料の低い投資オプション、一番右がもっとも手数料の高い投資オプションなのですが、アーカンソーの場合は一律$1,123ですね。これはかなり手数料の高い部類で、アーカンソーには夫婦で$10,000までの自州の529プランへの積み立てに対し、税金控除の優遇があるものの、おそらくこのプランは避けたほうが無難でしょう。一方、我が州カリフォルニアは、数年前運営会社が低コスト型のTIAA-CREFに変わり、低手数料のなかなかよいプログラムになりました。実際に選ぶ投資プランにもよりますが、一番低くて手数料は$154、一番高くで$764という結果です。これはあくまで一例ですが、アーカンソーにお住まいの人が、敢えて自州の529プランを使わず、カリフォルニアの529プランを使うというのも十分よい策のように思えます。
高手数料のプランを避けたほうがいいか、それとも高手数料を払ってでも税優遇をとったほうがいいかは、現在のお子さんの年齢も関係してきます。まだお子さんが小さく、これから数十年間529プランで資金運用していく場合は、毎年毎年徴収される手数料を避けるほうが、ある年に一度受ける税控除を選ぶより賢明だといえます。反対に、もうお子さんが高校に入っているなど資金運用期間が短い場合には、多少手数料が高くても一度に大きな税控除を受けるほうが得策であるかもしれません。
選択肢が4つあります。
- 敢えて、全額、自州の529プランに積み立てる。Step4へ。
- 自州の529はまったく使わず、他州のプランを選ぶ。Step 3へ。
- 自州の529プランを選び、後ほど他州のプランへロールオーバー(資金移転)する : この場合は、いったん自州のプランに積み立てをすることで州税の優遇措置を受けた上で、後日他州のもっと適切なプランに資金を移すことになります。ロールオーバーにあたって、享受した税金の優遇を返金せねばならない州と、返金は必要ない州があります。十数州が後者のタイプにあたりますが、そのような州にお住まいの場合には、有効な方法でしょう。他州プランの選択はStep3へ。
- 自州の529プランと他州のプランをうまく組み合わせて使う:税優遇を受けられる範囲内で自州の529プランに積み立てをし、それを超えた範囲の積み立ては他州のもっと適切なプランに積み立てる方法です。他州プランの選択はStep3へ。
長くなりますので、ここで1回目はおしまいです。2回目でStep 3以降をご紹介します。
こんにちは!
いつもタメになる情報をありがとうございます。
日本にいる父が税対策なのか、2人の子ども達にそれぞれ教育資金を援助したいと申し出てくれているのですが、それをまるまるこの529アカウントに貯蓄した場合、どんなリスクが考えられるでしょうか?
ちなみに、私の祖父が生前贈与としてひ孫にあたる私の子ども達に教育資金信託口座を開設してくれているので、そこに父が追加として預け入れることを見当しているようなのですが、資金の出し入れの手続きが海外をまたぐため煩雑なので、できれば利率もよい529のアカウントにキープしておけないかな?という単純な考え方なのですが、、。
アドバイスをよろしくおねがいいたします。
リスクとおっしゃいますのはどんなリスクのことでしょう?529で投資をするのであれば、投資リスクがもちろんありますが、あとは為替リスクなどもあります。それ以上のたとえば税金などや海外送金などのことは、個別ケースにより、簡単にお答えできる内容ではない可能性があるので、コメントは差し控えさせていただきますね。