このシリーズでは今までのところで、とるべきリスクレベル(許容リスク)を決め、それに従って4つの基本となるインデックスファンドを適切な配分で組み合わせて投資をはじめるところまでをカバーしました。
インデックス投資は、基本的につみたてたあとは何もしないほったらかし投資(パッシブ投資)です。しかしながら、少しばかりのメンテナンスが必要です。そのメンテナンスとは、リバランスとリアロケーションです。
このシリーズでは今までのところで、とるべきリスクレベル(許容リスク)を決め、それに従って4つの基本となるインデックスファンドを適切な配分で組み合わせて投資をはじめるところまでをカバーしました。
インデックス投資は、基本的につみたてたあとは何もしないほったらかし投資(パッシブ投資)です。しかしながら、少しばかりのメンテナンスが必要です。そのメンテナンスとは、リバランスとリアロケーションです。
前回、インデックス投資をはじめる(1)で、投資のリスクレベルを決め、株式と債券の配分比率を決めるところまでカバーしました。今回は、株式と債券とで、どんなファンドに投資すればいいのかというところ見ていきます。
おさらいになりますが、インデックス投資とは市場にあるすべての株を持つことで市場リスクだけをとる手法です。では、「市場」をどう定義するか、「市場全体」とはどこの市場かという問題にぶちあたります。リスク分散を究極に突き詰めるためには、アメリカ市場だけではなく、北米市場だけでもなく、先進国市場だけでもなく、どんどん視野を広げていくと新興国市場までも含めた全世界市場ということになります。
さて、インデックス投資を理解するシリーズの(1)から(6)までで、インデックス投資とは何なのか、安心して長期投資を行うにはどんなことを知っておくべきかについての基本をお話してきました。いわば、インデックス投資の理論的な部分です。ざっと要点をまとめてみます。
今回のシリーズでは、具体的にインデックス投資を始めるにはどうしたらいいか、どんなインデックスファンドをどんなふうに組み合わせて持てばいいのかというところをカバーしていきます。
「インデックス投資を理解する」シリーズと「インデックス投資をはじめる」シリーズで、何にどうやって投資すればいいのかを考えました。具体的に投資をはじめるとき、どのような口座を開ければいいのでしょうか。
老後のための投資ならば、リタイヤメント口座と呼ばれる税的に優遇措置のある口座が用意されています。税的に優遇があるわけですから、まずはこのような口座を優先的に使って投資を行うのがよいです。これらの口座は、まず職場提供とのもと個人で入れるものに分かれます。前回は、職場で入る代表的なプラン401(k)プランについて学びました。
ご質問:Dip investmentについて教えて下さい。関税問題で株価がぶれていて、Dip Investmentという言葉を耳にする機会が増えました。ファイナンスについては、全くと言って良いほど、知識がありません。まずは、これがどういうものなのかを教えて頂きたい。そして、その購入方法などについても教えて欲しいです。宜しくお願いします。
Dip Investmentというと、特別な名前で呼ぶ特別な投資のように思いがちですが、Dipした(値が落ちた)ときに割安になった銘柄を購入して、のちのち高く売ってキャピタルゲインを狙おうという投資法です。目新しいものではありません。
質問者はInspiraのTraditional IRAに401(k)をロールオーバーしたが、現在はフリーランスで活用法が不明。Inspiraの信頼性やファンド選択を確認する必要があり、低手数料のインデックスファンドを推奨。異なる金融機関へのロールオーバーも検討可能。
ご質問:最近まとまった額のお金が入りお薦めの課税口座を探しています。以前、課税口座のことを書いておられたブログにVTSMX (Vanguard Total Stock Market Index Fund Investor Shares)をお薦めされていたと思うのですが、どうもClosed to New Customersのようで、購入ができません。Vanguard Total Stock Market Index Fund Admiral Shares (VTSAX)がその代わりになると考えているのですが、御指南いただけますか。
今日では、多くの人気ファンドが、Mutual FundとETFという二つの形態で提供されています。Vanguardでも、そもそもMutual Fundとして提供されていた人気ファンドのほとんどがETFとしても提供されるようになりました。投資家としてMutual FundとETFをどう使い分けるべきかについて最新情報をもとに考えてみます。
ミューチュアルファンドとETFの基本的な違いから知る必要のある方は、こちらをご覧ください。
2021年のバンガードのターゲットデイトファンドに関するキャピタルゲイン問題を覚えておられるでしょうか。課税口座でこのターゲットデイトファンドを持っておられた方なら、びっくりするようなキャピタルゲインを分配され、思いがけないキャピタルゲイン税をお支払いになったと思います。バンガードは私が日ごろから応援している会社であり、そのミューチュアルファンドはとても質が高いと考えているので、これは大変に残念な事件でした。
ご質問:私の質問は、さて、仕事を辞めてRetireする、というときの職場の401(k)や403(b)のことです。職場のアカウント(私はVOYA、主人はFidelity)にそのままお金を残し、そこから使用する時に取り出すのでしょうか。または、他の会社に全額移すという感じなのでしょうか。もしその場合は、前の仕事からの401(k)を違う場所にいれたのと同じようにただ、自分が気に入った会社(例えば、VOYAからVanguardに)でIRAという形で移し、運用するという感じなのでしょうか。
ご質問: Medicare加入後はHSAに拠出できないのは理解しておりますが、例えば67まで働き会社の保険に加入するとして、それでも65でMedicare Part Aのみ申請するとします。その後のHSAの拠出が可能なのか、それともPart AのみとはいえMedicare加入とされHSAにはもうそれ以上拠出できないのでしょうか?
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Part AのみとはいえMedicare加入とみなされ、HSAにはもうそれ以上拠出(積み立て)できません。
投資と投機はよく似た言葉です。案外、混同して使われてもいます。しかしながらこの二つは、性質的にかなり異なるものであり、違いを理解しておくことは大切なことだと思っています。私は、投資はしますし推奨しますが、投機はほとんどせず人にも特に推奨しません。どちらも納得と覚悟をしてするなら決して悪いものではないですが、よく違いをわからないで投資しているつもりで投機していたりすると痛い目にあうこともあります。
日本の年金とアメリカのソーシャルセキュリティ年金を一緒に受け取ると、ソーシャルセキュリティ年金のほうが減らされる場合があります。このしくみを、WEP(Windfall Elimination Provision)制度といいます。また、このWEPが本来なら適用されなくてよいケースにまで誤って適用されていたという問題もありました。心ある方々のご尽力と働きかけにより、この問題は解決に至ったとのうれしい報告がありました。WEPと誤適用の解決ついては、わかりやすくまとめてくださっているサイトがありますので、詳しくはこちらをご覧ください。
18歳以上のソーシャルセキュリティ番号をお持ちの方なら、My Social Security口座を開くことができ、ご自分のソーシャルセキュリティBenefitの状況を確認できます。口座をつくるときには、本人確認のためパーソナル情報の入力が必要です。
パーソナル情報の入力が必要なため、セキュリティ上の問題を危惧して口座をつくりたくないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。妥当な心配だと思います。
「ソーシャルセキュリティは決められたとおり、もらえればそれでよし」と安易に考えていませんか?受給についてのルールを把握し、受給するRetirement Benefits(老齢年金)の種類や受給開始のタイミングをうまくプラニングすることで、生涯に受けることができる受給額の合計には、何万ドルもの差がでてくる可能性があるのをご存知でしょうか?一生懸命働いて納めたソーシャルセキュリティ・タックスですから、Benefitsを受ける立場になったときには、正しい理解できちんと利用していきたいですね。
アメリカの社会保障制度であるソーシャルセキュリティは、リタイヤした後の年金、障害や死亡が起こった時の、個人とその家族に対する金銭的サポートを提供します。私たちは収入のうちから一定額をソーシャルセキュリティ税として納めます。一方でサポートが必要になったときは、決められた資格を満たせば金銭的サポートが得られるしくみです。
雇用者のソーシャルセキュリティタックスは、FICA(Federal Insurance Contributions Act)に基づき、給料から天引きで徴収されています。FICAに基づき支払われるタックスは、ペイロールタックスとも呼ばれ、総収入に対するパーセンテージとして徴収されます。
前回はリタイヤ後の生活について、日米比較をしてみました。だれもがいつまでも元気で、自立した生活を送りたいと願っていますが、そのうち人の助けが必要になります。介護といってもいろいろなレベルがありますし、人によって通る道は異なるので、一概にどのくらいのお金がかかるかは正確に測れません。ここでは、ある程度の予測をつけることを目的に進んでみます。
Covidが過ぎ去って、多くの人の働き方や生き方に対する考え方が変わりました。以前はできるだけ長く働こうと考えていたけれど、リタイヤメントを繰り上げてゆっくりと時間を楽しみたいという方。アメリカにはほぼ永住と思っていたが、日本での老後を考えたいという方。こんな方々のご相談も増えているように感じています。昨今のアメリカのものすごいインフレと少し落ち着いたものの加速度的に進んだ円安ドル高があいまって、早めにリタイヤし、よりコストの安くて安心な日本に、老後の生活の基盤を得るという考え方がポピュラーになってきているように思います。
一般的に401(K)といえば、雇用主がベネフィットの一部として提供し、所得税控除で積み立てることのできるリタイヤメント積み立てプランです。しかしながら、これ以外にも違ったタイプの職場リタイヤメントプランがあります。Roth 401(k)や、After-tax 401(k)などです。違いは何なのか、どう使い分ければいいのかについて考えてみます。
401(k)の積み立ての種類は4つあります。下の表の最初の三つは雇用者が自分で積み立てるもの、最後の雇用主マッチは、雇用者の積み立てに対し一定のルールで雇用主がマッチアップしてくれるものです。
リタイヤメントのための長期投資には、ぜひ税優遇のあるプランを利用したいものです。それらには、大きく分けて職場で提供されるリタイヤメントプラン(401(k)が主流)と個人で加入するプランであるIRAがあることを見てきました。たくさん積み立てる余裕のある人は、401(k)とIRAは併用しそれぞれ最大限まで積み立てるとよいでしょう。一方で、限られたお金しか積み立てられない場合、401(k)を優先すべきかそれともIRAを優先するかは考慮が必要となります。それぞれの長所を比較してみましょう。
将来のために投資を始めたいと思った場合、まず何にどう投資をすればいいのかという問題にぶちあたります。このあたりは、「インデックス投資を理解する」シリーズと「インデックス投資をはじめる」シリーズでカバーしています。
次に考えなければならないのが、その投資をどこでするかという問題です。老後のための投資ならば、リタイヤメント口座と呼ばれる税的に優遇措置のある口座が用意されています。税的に優遇があるわけですから、まずはこのような口座を優先的に使って投資を行うのがよいです。
SECURE 2.0という法律が2022年12月にできました。2019年にできたThe Setting Every Community Up for Retirement Enhancement (SECURE) Act をフォローアップし改定する形でつくられました。アメリカのすべてのコミュニティに置いてリタイヤメント資金づくりを促進し、よりSecure(たしかな)将来を目指そうという趣旨です。
さまざまな改定があり、多くの人に影響があります(ほとんどが良い影響のはず)。改定の主要点をまとめてみます。改定のルールには細かい条件などがあり、また改定の開始時期もルールによって様々です。以下は主要なポイントをまとめていますので、細かい正確な条件などは無視している部分もあります。あくまで簡単にまとめたポイントとしてとらえてください。
新規発行のI Bondの金利はついこの10月末まで9.62%でした。この高利を確保するための購入期限だった10月28日には、多くの投資家がI Bondをかけこみ購入し、$979ミリオンがI Bond市場流れ込みました。10月のトータル発行額は$7ビリオンだそうです。11月からは金利が更新され、6.89%になります。このI Bondあちこちで取り上げられているので、購入をされた人、購入を考えておられる人、ただ何か知ってみたい人、いろいろおられるでしょう。今日はこれを取り上げます。
州の所得税は、州によって大きな開きがあります。所得税ゼロがあるかと思えば、最も高い所得税率は13.3%(California)まであります。
所得税ゼロの州:
• Alaska.
• Florida.
• Nevada.
• South Dakota.
• Texas.
• Washington.
• Wyoming.
• New Hampshire (投資収入には課税)
• Tennessee(投資収入には課税)
反対に、最も高い部類は:
所得税のかかり方は、その所得の内容によって変わってきます。リタイヤ後の所得の主流は、ソーシャルセキュリティ年金、401(k)やTraditional IRAなどリタイヤメントプランからの引き出し額、雇用主が年金を提供している場合はその受給額となります。州によって、このソーシャルセキュリティ年金は非課税としたり、その他のカテゴリーの収入は部分課税などとするところもあります。
同じリタイヤメントプランでもRoth IRAなど課税後所得で積み立てたものは所得には数えられませんし、また保険会社から提供されるアニュイティなどをお持ちの場合には一部だけが所得となります。
ここでは、話を簡単にするために、ソーシャルセキュリティ年金、その他の年金、引き出し額が所得と数えられるリタイヤメントプランだけから収入を得るとします。トータル収入が、$60,000の場合、$100,000の場合、$150,000の場合で計算したそれぞれの州の所得税は以下の通り(年額)。
Floria、Washingtonは所得税ゼロの州ですから税なし。収入が$100,00までくらいなら、$1,000の州税で済む傾向があるようですが、なぜかColoradoだけ際立って所得税が高いです。何でも高いと言われるNew YorkやCaliforniaは所得が$100,000までくらいならば、かえってArizonaよりも安く、$150,000レベルまで行くと逆転します。
ご自分の州がここにない場合、Smart Asset Calculatorで計算できます。
州は、様々な形で税金を集めます。所得税はないに越したことはありませんが、所得税がない州は消費税(Sales Tax)や固定資産税(Property Tax)が高いということもあり得ますから、あくまで税金を総合的にとらえる必要があります。
あくまで先の6州に限ってまとめてみると課税される税金は州によってこのように違います。
Florida、Washingtonはソーシャルセキュリティ年金にも、その他の企業年金なども、また401(k)などのリタイヤメントプランからの引き出しもすべて非課税。所得税自体がありません。Washingtonは消費税(Sales Tax)が他の州よりも高いですが、両州とも平均固定資産税(Average Property Tax)は1%前後でそれほど高くなく、相続税・贈与税(Estate Tax)も課しません。よって、SmartAssetやKiplingerなどの評価でもTax Friendlyな評価を得ています。
一方で、ArizonaやCaliforniaは企業年金や401(K)引き出しに対しフルに課税されるうえ、消費税も高めです。ColoradoやNew Yorkは所得によって部分課税ですが、固定資産税が非常に高く、New Yorkに至っては州レベルでの相続・贈与税もかかります。
全米各州のTax Friendliness評価はこちらで見られます。
老後どこの州が税金が少なく済むかという判断は、リタイヤメント後の所得の種類・パターンによっても、また家を持っていて固定資産税を払わねばならないのか、それともレンタルかにも、さらには何をどのくらい購入するかによって消費税の発生のしかたによっても変わってきます。一般的には総合的にFlorida、Nevada、Alaskaあたりが低税金で暮らせる州として名前があがります。
税金以外にも、物価や家の値段、医療へのアクセスや費用などもリタイヤメント後の暮らしやすさの指標として加わってくるかと思いますが、今回は税金に限ったお話でした。
以下、選択のための3つの要素を考えます。
収入によって、Roth IRAは積み立て可能な額が決まります。Traditional IRAは収入にかかわらず積み立ては可能ですが、職場のリタイヤメントプランに参加しているかしていないかと収入によって、所得税控除できる額が変化します。
高額所得者は、Roth IRAは利用不可であるうえ、Traditional IRAに控除なしで積み立てることしかできないということになります。控除なしに積み立てるTraditional IRAはNon-deductible IRAと呼ばれます。Non-deductible IRAは積み立て時も控除なし、引き出し時も課税でいいとこなしではありますが、ただ運用利回りは引き出すときまで課税されない(税遅延)の利点がありますので、ふつうに利回りが課税されるインベストメントに比べると、運用額を早く増やせるという利点があります。また、所得制限にひっかかってRoth IRAには積み立てができない場合に、いったんNon-deductible IRAに積み立てて、それをRoth IRAのコンバートするという方法(バックドアIRA)も使われることもあります。
Traditional IRAでは、夫婦のおひとりが職場のリタイヤメントプランに参加しており、配偶者は参加していない場合は、夫婦のそれぞれで控除対象額が異なってきます。リタイヤメントプランに参加している方は比較的低い所得でも控除が制限・不可になります。配偶者は比較的高い所得まで控除が可能です。
基本的に、Roth IRAは積み立ててるときに所得税を払い、引き出すときは無税(所得に数えられない)でOKであるのに対し、Traditional IRAは積み立てるときには無税(所得控除により所得税を減らす)、引き出すときには所得税を払うというものです。一生懸命はたらいて貯めたリタイヤメントの資金を、リタイヤした後に使うという典型的なケースでいけば、積み立て時は勤労所得がそれなりにあるわけで所得税率は相対的に高く、リタイヤした後は所得がそれなりに低下し、所得税率は相対的に低くなるというのがふつうでしょう。この場合、他の条件が一定であれば、Traditional IRAに積み立てる時点で節約できる税金のほうが、Roth IRAで引き出すときに節約できる税金より多くなります。つまり、Traditional IRAに積み立てたほうが有利です。
反対に、現在失業中であるとか、あるいは一時的な不景気のため所得が激減したため、タックス・ブラケットが今年は低く、将来リタイヤした後のほうがかえって税率が高くなるというようなケースもあるでしょう。その場合は、Traditional IRAに積み立てる時点で節約できる税金は比較的小さく、将来Roth IRAで引き出すときに節約できる税金のほうが多くなります。つまり、Roth IRAに積み立てたほうが有利です。
また、連邦税だけでなく州税も考慮に入れたほうがいいかもしれません。今住んでいるのが比較的、州の所得税の高い州(New York, New Jersey, California, Oregon、Hawaiiなど)で、リタイヤメント後は所得税の低い州(Florida, Texas、Nevadaなどは州の所得税ゼロ)に引っ越すというのであれば、Traditional IRAのほうが有利、その反対であればRoth IRAのほうが有利ということになりますね。
その中庸で、現在の税率と引き出し時の税率が同じというのであれば、節約できる税金のことだけにフォーカスすれば、どちらでも同じということになります。
最近ではアメリカの国家赤字ため、将来にわたって税率は上がり続けるだろうという考え方が強くなってきています。本来ならばリタイヤメント後は所得が低くなり税率が下がるはずであるところ、国家的に全体の税負担が上がらざるを得ないため、自分のリタイヤメント後の税率は、今支払っている税率より高くなるであろう(たとえ所得が下がっても!です)という危惧が存在するわけです。なんだかちょっと考えるだけで暗くなりそうですが、もしそう信じるのであればRoth IRAのほうが有利ということになりますが、これはあくまで予想ですからなんともいえません。
また、追加ですが、カレッジなどの高等教育のためにはどちらのIRAからもペナルティーなしで引き出して使うことができますが、税金は払わねばなりません(Roth IRAの場合は利子のみに対して)。この場合は、積み立て時の税率とカレッジのために引き出し時(リタイヤメント後ではなくて)の税率の比較になり、当然後者のほうが高いということもありえます。そうなると、Roth IRAのほうが有利ということになります。
つまるところ、Roth IRAとTraditional IRAどちらが有利かは、積み立て時に払う税金と引き出し時に払う税金のどちらが少ないかの問題になるということですね。。
引き出しに関しての大きな違いは、Minimum Required Distributions (最低引き出し額)の設定の有無です。Traditional IRAの場合、72 歳になった時点で、最低限引き出さねばならない額というのが発生します。この額は、その時点での予想寿命から割り出されるものです。リタイやメント資金がふんだんあるわけではなく、ソーシャル・セキュリティー・ベネフィトではカバーしきれない生活費をリタイヤメント資金でまかなうことが必要な場合(つまり、大多数のフツウの人たちにとって)は、このMinimum Required Distributionsは大きな問題にならないでしょう。
しかし、あなたが富裕層でIRAからは特にお金を引き出さなくても老後の生活がなりたっていくような場合は、このMinimum Required Distributionsは面倒なものです(そんな立場になりたいですけれども・・・)。しかしながら、もし、Roth IRAでお金を貯めていたとしたら、このMinimum Required Distributionsがありませんので、一生涯、非課税のままお金を貯めて置けます。
また、本人が死亡した場合は、IRAのお金はそのベネフィッシャリー(受益者、相続者)に引き渡されますが、Traditional IRAの場合は、資金を引き出したときにベネフィシャリーが自分の収入として税金を払います。一方、Roth IRAの場合は、すでに死亡した本人が税引き後で積み立てているわけですから、ベネフィシャリーが引き出す時点で税金を払う必要がありません。言い換えれば、ベネフィシャリーに代わって税金を払ってあげたうえで、ベネフィシャリーがいつ引き出しても非課税で使える資金を残してあげるということになります。このように、Roth IRAは、リタイヤメント資金の積み立てという本来の目的に加えて、相続税対策にも使われることがあるようです。
まずここまでで何度も書いていますが、日本に帰国してもアメリカ市民権あるいはグリーンカードを維持していれば、全世界収入に対してタックスリターンを行いIRSに納税をする義務があります。外国税控除などのしくみがあるので、基本的には日米でダブル課税されることはありませんが、それでも両国にてタックスリターン・申告が必要になります(収入の額などによりその必要がない場合を除き)。
一方で、市民権、グリーンカードを放棄して日本に帰国したら、ソーシャルセキュリティなど公的年金をはじめ、民間のリタイヤメント口座からの引き出し額などは、居住地である日本のみで課税となります。アメリカ金融機関にはW8-BENというフォームを提出し、アメリカでの源泉徴収を免れることができます(注:できるはずですが、金融機関によっては、W8-BENを提出しても源泉徴収を免状をしてくれない機関もあるようです。たとえば、帰国者フレンドリーなCharles Schwabであっても、源泉徴収は免れず、タックスリターン時にリファンドを受ける申請をする必要があるという報告を受けています)
日本では、アメリカから受け取る年金や引き出し額は、雑所得か一時所得かのどちらかに該当するようです。
アメリカから受け取るリタイヤメント収入がどう課税されるかですが、私なりのリサーチの結果、こんな感じになるのではないかと思います。
ソーシャルセキュリティは公的年金として分類され、65歳以上と65歳未満、および、年金給付額の区分により、給付額の最高25%が公的年金等控除として差し引かれます。なお、市民権、永住権を放棄しても、放棄前受給資格のあったソーシャルセキュリティ年金は受け取れます。
401(k)やIRAなどからの受取額は、年金的に受け取るか、一時金として受け取るかにより課税のしかたが変わるようです。年金で受け取る場合、雑所得と分類され、自分で積み立てた元本は差し引いた額が課税対象となります。Employer Matchによる雇用主積み立て分は元本に含めることはできません。
微妙なのは、日本の確定拠出年金の受け取り方には、「年金」「一時金」「年金と一時金の組み合わせ」の3種類があるようですが、アメリカの401(k)やIRAの場合は、年金と一時金以外に、その都度その都度必要に応じて引き出す方法も認められているので、これがどうなるかはよくわかりません。
アメリカのリタイヤメントプランのうち、401(k)やTraditional IRAなど所得税控除で積み立てたものからの出金に対しては、日本での課税は利点があると思います。というのは、もしも、これら口座からアメリカで引き出すなら、引き出す時に元本、利回りを合わせた全額が所得税の対象になります。ところが日本では、経費として投資元本(Employer Matchは含まず)を差し引けるようなので、つまり利回りの部分にしか所得税がかからないということになります。さらに、一時金で受け取った場合などは、なんとその半分しか所得税の対象にならない(ように私には理解できますが、違ったら教えてください!)となると、引き出し用によってはかなり節税が図れる可能性があるのかもしれません。
アメリカで長期で加入していた401(k)などなら、たとえば$800,000の一時引出額に対し、$400,000の投資元金というようなケースは十分に考えられ、そうすると利回り$400,000の半分の$200,000のみの所得税課税となれば、ちょっと夢のような話です。アメリカなら$800,000全額に所得税がかかります。もちろん受取金額が大きくなれば累進で税率も上がるので、トレードオフを計りながら金額とタイミング、年金と一時金受取を計画する必要があるかと思いますが、これは私のしゃしゃりでる場ではないのでコメントを控えます。ポイントは、アメリカの401(k)やTraditional IRAなら、日本で受け取ってアメリカより目減りする可能性はなさそうだとご理解くださればと思います。
実際、上については信頼のおける筋に確認をしたところ考え方としては正しいというお返事でした。ただ、これはあくまで日米の税法上の隙間的部分に存在する幸運であり、ある意味、Too-good-to-be-trueなことです。ですので、
節税対策として大手を振ってどんどん利用しよう!というよりは、大きな額が動くときには日本の税法に詳しい専門家に相談のうえ慎重にお進みください
***このトピックはまだ新しく発展途上で、業界にもなかなか確固とした情報がありません。ここに書く内容は最善を尽くして集めたものですが、完全に正確でない可能性や、これから変化していく可能性もありますのでご了承ください。体験談などコメントくださると幸いです。***
最近になって、Bank of America/Merrill、Fidelity、Vanguard 、T.Rowe Priceなど大手金融機関が、アメリカ国外に居住している口座保持者に対し、口座の閉鎖や、閉鎖とまでは言わなくとも取引機能の限定などに関する通知を送付するという現象が起こっています。私自身2年位前に、Vanguardの担当者に、「日本に帰国した場合の口座維持は変わりなくできるか」について確認したところ、「変わりなくできる」という答えをもらっていましたが、現在は違うようです。この急激な変化も、実はこれまでご紹介しているFATCA(Foreign Account Tax Compliance Act)という法律の間接的な影響です。
FATCAは2010年、オバマ大統領の任期にできた法律で、US Person(市民、グリーンカード保持者)がUS国外に所有する金融資産についての把握を徹底し、それらの資産に対する税金の徴収漏れをなくし税収を確保することを目的にするものです。
FATCAの結果、US Person(市民、グリーンカード保持者)は、一定額以上のUS国外の海外資産についてIRSへの報告義務が生まれました。同時に、US国外の金融機関は、US Personが所有する口座についてアメリカ政府に報告することが義務付けられました。これにより、US PersonがUS国外の金融機関で口座を持つことが以前より困難になり、口座を持てたとしても確認手続きなどが煩雑になりました。このあおりで、市民権やグリーンカードを放棄する人も増えていることをこれまでにご紹介してきました。
ここまではUS Personか否か、つまりアメリカ市民権およびグリーンカードを持っているか持っていないかということがポイントでした。ここからはそのアメリカでの国民・移民ステイタスではなく、アメリカに住んでいるか、住んでいないかが問題になります。言い換えると、たとえビザでアメリカに滞在してる人でも居住していれば口座維持ができるのに、たとえアメリカ市民権を持っていてもUS国外に住んでいると口座維持ができない・・という具合です。
問題となるのはミューチュアルファンドです。ミューチュアルファンドの販売はアメリカの場合はSecurities and Exchange Commission (SEC)によって管理されています。アメリカで売られているミューチュアルファンドはすべてSECに登録されており、販売にあたっては購入者がアメリカに居住していることが条件になります。他国の場合も、似たような管理体制があり、その国で登録され管理されているミューチュアルファンドはその国の居住者に対して提供されています。どこの国も自国で登録されていない他国のファンドを管理することは困難なため、自国の居住者に対する非登録の他国のファンド販売を禁止しています。反対の言い方をすれば、日本の居住者にファンドを売るためには、その金融機関が日本のしかるべき統括局に登録をしていないといけないということになります。
このルールはなにも今に始まったことではなくずっと以前からあったものですが、厳格な執行はなされていませんでした。アメリカで投資口座をつくりミューチュアルファンドを買ってそのまま日本に帰国しても、“don’t ask, don’t tell”とでも言いましょうか、特に明らかに浮上しない限り、そのまま投資していてもOKというようなグレーゾーンでの対応が多く行われていました。なぜそれが急に、口座の閉鎖や取引の制限になったのかというと、どうやらFATCAにからまる間接的影響があるようです。
FATCAにより、アメリカ政府がUS国外金融機関に対して、コンプライアンス、報告義務、そして義務を怠ったときの多額のペナルティを課すようになりました。それにともないアメリカ金融機関の中に、反対に自分たちが他国の政府のルールに準拠しない行動をとったとき、他国政府による摘発やペナルティが今後課せられる可能性が高くなるのではないという恐れ(というかおそらくそれは正しい読みなのだと思いますが)があるようです。
そのため、今までは大目に見ていたUS国外の居住者による売買を、厳しくトラックする金融機関も増えているようです。電話の発信がどこの国からされたかを追跡したり、Web取引の場合は顧客のIP アドレスで発信国を認識するソフトも導入されているようです。他国に居ながら、アメリカのIPアドレスを購入してトレードするということも行われているようですが、それらをさらに追跡するソフトもあるようで、アメリカ金融機関はアメリカ非居住者による取引規制を真剣に取り締まり始めたようです。
ミューチュアルファンド取引の中でも、特に制限対象となるのはファンドの購入です。非居住者によるファンドの新規購入は制限されるケースが多いです。金融機関にもよると思われますが、既存のミューチュアルファンドを持ち続けることは許している機関もあります。また新規購入は許していなくても、既存ファンドが配当金など利回りを生んだ時の再投資(利回りを受け取らず追加ファンドを購入し運用に回す)は許している機関もあります。
当面手付かずのまま運用しておいて、利回りの再投資だけはしつつ、将来的に引き出すときまでそのままにしておきたいのであれば、これらを許す機関で口座を維持することも現実的かと思います。ただし、おそらくリバランスやリアロケーションは新規購入が関わるのでできない可能性が大です。
大きな安心は、ミューチュアルファンドは持てなくともETF(Exchange Traded Fund)は規制の対象とならないということです。
ミューチュアルファンドは個人とファンド会社との間での取引になるのに対し、ETFは個別株式と同様個人間での売買となり、この違いが(私にはよく説明できませんが)非居住者の取引でモノをいうらしく、ETFに関しては非居住者の縛りを受けないということです。
多くのミューチュアルファンドには、それとまるで同じインデックスをフォローしたり同じアロケーションで投資しているETFバージョンというのが存在します。ですので、ミューチュアルファンドがダメならば、日本帰国に際してそれをETFに乗り換え、ETFで今までどおりのポートフォリオを組むという道があるということになります。
ただしこれには、金融機関自体が非居住者に口座の維持を許している必要があります。さらに、このブログで何度もご紹介しているVanguard社のETFは、Vanguard独特のしくみにより、純粋ETFではなくミューチュアルファンドのシェアタイプのひとつという位置づけであるため、現実的にはミューチュアルファンドとして認識されてしまうとのこと。Vanguardの画期的なしくみがここでは裏目にでてしまい、非居住者としてVanguard ETFは買うことができない可能性があります。
非居住者に対してフレンドリーでない金融機関とフレンドリーな金融機関が存在します。フレンドリーな機関は、非居住者であっても口座の開設を許し、口座の維持はもちろん、法が許す範囲での取引も許容しています。
もしも日本に帰る計画がおありなら、ご自分の使っている金融機関が非居住者に対してどのような制限を課しているか、許されるサービスは何かなどをあらかじめ確認する必要があります。なお、雇用主提供のペンションや401(K)などのリタイヤメントプログラムはそれぞれ雇用主の設定しているルールもありますから、人事部のベネフィット担当に確認をする必要があります。下で非居住者にフレンドリーでない機関として名前が挙がっていても、雇用主提供のプランとしては口座維持可能ということもあるようですので、あくまで自分のケースはどうなのかの確認が必要です。
一般的に非居住者にフレンドリーでない金融機関としてよく名前が挙がるのは;
反対に、非居住者にフレンドリーだとして名前が挙がるのが、
TD AmeritradeとInteractive Brokersは、どちらも非居住者であっても口座開設を許し、株式、債券、ETFなどの市場取引と、限られたミューチュアルファンドへの投資を提供しています。この二つについては勉強不足であまり情報がありませんので、今回はCharles Schwabに関してわかっていることをご報告しようと思います。
Charles Schwabは、非居住者専用のCharles Schwab Internationalという事業を持っていて、アメリカ人で海外に住んでいる人(Expatriateとか短くExpatと呼ぶ)などを対象にExpatriate Serviceも充実しています。アメリカ人でなくて日本人でも、このInternationalという口座は開けます。
アメリカで働いてリタイヤメント資金を貯めてきた人が日本に帰る場合に重要になるのは、自分が口座を持っている金融機関が口座取引を制限する場合に、その投資をSchwabのようなフレインドリー金融機関に移して運用を継続できるかです。
Schwabに問い合わせてみたところ、
1)まだアメリカにいる間にSchwabの(Internationalでない)US向け通常口座で IRAを開く。
2)401(k)、403(b)、457などはTraditional IRAに、Roth口座はRoth IRAにロールオーバーする。
3)その後出国に先立ち、SchwabのInternational口座を開き、上の口座を移転させる。
Feb 2020 追記)その後、いろいろなソースから情報が入ってきましたが、アメリカにいる間であっても、非居住者になる前提で口座を開こうとすると、窓口ではいったん受け付けてくれるものの、その後最終段階で却下されたというケースがあるそうです。また、いったん日本居住になった場合は、たとえSchwabに他の既存口座があったとしても、新たな口座は開設できません。Shcwabも聞く窓口や部署で対応が一定でない雰囲気があり、まだ確固としたルール確立と組織徹底がなされていないのかもしれません。
このような変化を背景に、US Person(市民権・グリーンカード保持者)の中に、それを放棄する人が増えています。以下は、市民権を放棄した件数の変遷です。2010年以降、大きく増えているのがわかります。
Source: tax-expatriation.com/
グリーンカード保持者がグリーカードを返上するケースについては同じようなグラフはありませんが、少なくとももうアメリカに住むつもりがないというのであれば、毎年タックスリターンをするのも、アメリカ滞在日数確保もだんだんと面倒になるでしょうから、返上は自然なシナリオだと思います。
ちなみに、グリーンカード返上のためには、Form I-407, Abandonment of Lawful Permanent Resident Status.を記入し、USCISに送付するという比較的簡単な手順で済むようです。今のところ手数料はありません。一方で、市民権を放棄するほうはもう少し大変で、アメリカ大使館・領事館に足を運び、何度かミーティングを行ってから書類にサインすることになるようで、こちらには高額の手数料があります。市民権の放棄件数が上がり始めたのち、2014年に手数料が $450 からなんと $2,350に値上がりました。この額は、他の国の国籍放棄にかかる料金に比べて20倍というレベルでショッキングなレベルですが、なんというかアメリカはとにかくアメリカです。どう転んでもお金がかかるというか。。。
市民権にせよ、グリーンカードにせよ、放棄をする場合には、Exit Tax(離脱税)という税金が課せられる可能性があります。
市民権を放棄する場合は、以下の対象となる条件が一つでも合致すれば離脱税の対象者(Covered Expatriateという)となります。
グリーンカードの場合は、放棄した年から遡って過去15年間の内8年上グリーンカードを保持した長期居住者が放棄した場合において、以下の対象となる条件が一つでも合致すれば離脱税の対象者(Covered Expatriateという)となります。
離脱税の対象者(Covered Expatriate)となる条件:どれか一つでも合致すれば対象(すべて2019年の数字)
ソーシャル・セキュリティー・タックスは働いている人なら誰もが納めている税金ですね。若くて元気なうちは、「とられるばかりで何の益になるのか」と厄介者扱いしそうな税金ですが、万が一のときには案外心強い助けとなったりします。自分にはどのような保障を受ける資格があるのか、ある程度は把握しておきたいものです。ソーシャル・セキュリティーというと年金のことを思い浮かべる人が多いのですが、...
***このトピックはまだ新しく発展途上で、業界にもなかなか確固とした情報がありません。ここに書く内容は最善を尽くして集めたものですが、完全に正確でない可能性や、これから変化していく可能性もありますのでご了承ください。体験談などコメントくださると幸いです。***
FATCAは2010年、オバマ大統領の任期にできた法律で、国の財源確保に苦しむアメリカの苦肉の策です。US Person(市民、グリーンカード保持者)がUS国外に所有する金融資産についての把握を徹底し、それらの資産に対する税金の徴収漏れをなくし税収を確保することを目的にしています。
アメリカは、、US Person(市民、グリーンカード保持者)であれば、世界のどこに住んでいても全世界収入についてタックスリターンでIRSに報告し、しかるべき税をアメリカに納めることを義務付けています。FATCA意図は、富裕層の所得・資産隠しや、マネーロンダリングなどの不正行為などをキャッチし、今まで取り損ねていた税金を発見し取り立てようというものです。FATCAでは、アメリカに住むUS Personが、年度末に$50,000以上あるいは、年を通して一時的にでも$75,000以上の金融資産をUS以外の国で所有した場合は、タックスリターン時にForm8938でIRSへ報告することが必要です。アメリカ国外に居住するUS Personの場合は、年度末に$200,000以上あるいは、年を通して一時的にでも$300,000以上の金融資産を所有していた場合というように限度が少し上がります。
このForm 8938での報告以前に、FBAR (Foreign Bank and Financial Accounts Report)というのが施行されていて、海外金融資産合計が$10,000の場合、FinCEN From114で、(タックスリターンとは別に)Treasury Departmentに報告することが義務付けられていました。なんとなくこれらはダブルところも多いようで、なぜ二つとも必要なのかは私にはわかりませんが、とにかく二つの義務が課せられています。
資産隠しをしている富裕層が発見され、取るべき税金をしっかりとれるようになったのはよいことなのでしょうが、ほとんど利子を生まない(よって税金などほぼかからない)日本の預金を持っているだけのグリーンカード保持者の日本人も影響を受けることになりました。さらには生まれたのはアメリカだからアメリカの市民権を持っているがそれ以降アメリカには住んだことのない海外在住の人々もUS Personであり、すべてこの報告が必要になるという事態に及んでいます。
この個人側の報告に加え、以下に記すとおり金融機関側でも個人情報をIRSに報告する義務化が生まれ、“本当はUS Personだからタックスリターンが必要だけど、ずっとアメリカには住んでいないから今までしないでいる”・・というようなことが見過ごされにくくなりました。US Personの金融資産に関しては、その人がアメリカに住んでいようが住んでいなかろうが、とにかくすべて課税できるものは課税するというアメリカの思惑が着実に現実化しています。
FATCAは個人に対しての報告義務をつくりだしただけではなく、US国外の金融機関に対しても報告義務を生みました。これまでは、個人がUS国外にある金融資産を報告せずにいても、アメリカIRSはそれを発見するすべがなかったのですが、それを解決するために、US国外にある世界の金融機関に対し、顧客がUS Personである場合は取引内容を報告する義務をつくったわけです。
これにより、US国外の金融機関に大変なコンプライアンス義務を課されたわけで、US Personを顧客に持つとコンプライアンス作業に多大なコストがかかることいなりました。これを受けて、US国外の金融機関はUS Personの新規口座開設は受け付けない、既存の顧客であっても大口でない限り口座閉鎖を強要するという措置をとるなどの変化が生まれました。コンプライアンス準拠のため顧客維持コストが増えたせいで、大口顧客でないと元がとれないということになったのです。国により差もあるようですが、スイスなどはUS Person顧客には門を閉じたともいわれています。
日本の場合はというと、やはりUS Personに対しては取引規制があります。IRSへの報告義務発生のため、その報告準備対応ができないことから、US Personへの株、ETF、投資信託などが取引できないとあります。例えば楽天証券はこんなかんじ。
SBI証券もこんな感じです。
預金の場合は、口座が絶対開けないということもないようですが、FATCA確認というのがなされるようです。考えてみれば、アメリカが勝手に法律をつくって日本の金融機関が確認をしなければならないなんて、なんとアメリカとは強引な国かとも思いますが、とにかくFATCA確認がされています。
FATCA確認とは、顧客がUS Personでありアメリカ納税義務がある人か、そうではないかの確認をするということです。具体的には、US Personであれば、IRSのW-9 Form(Request for Taxpayer Identification Number and Certification ちゃんと日本語版が用意してあるようです)にSocial Security Numberを届け、US Personでなければ、IRSのW-8BEN Form(Certificate of Foreign Status of Beneficial Owner for United States Tax Withholding and Reporting /Individuals)でUS Personではないので報告義務外であることを届けるようです。たとえば三菱UFJ銀行の場合はこんな感じ。
そして、FATCA確認ができない場合は口座開設は不可能とあります。
既存口座については少し規制が緩いようで、「IRSに情報を連携する場合がある」とだけ書いてあるので、ステイタスをはっきりさせて厳粛に取り締まるということは(少なくとも今のところは)ないように理解できます。
日本では既存口座が閉鎖されるというようなドラスティックな状況にはいたっていませんが、前述のスイスなど対処が厳しい国では極端なケースも発生しているようです。、両親が米国籍のために自分も市民であるけれど、アメリカには一度も住んだことがなく外国でずっと暮らしており、仕事も居住地もずっとその国であり、モーゲージも組み家を買い、投資も預金もすべてその国・・というような場合でも、US Personであるという理由で口座が閉鎖になりバンキングができないというような状況もあるそうで、考えただけで大変なことです。
このような変化を背景に、US Person(市民権・グリーンカード保持者)の中に、それを放棄する人が増えています。アメリカで長らく暮らしたが老後は日本で・・と考える人の中にも、市民権・グリーンカードは放棄して、アメリカへの納税義務、金融資産の報告義務から解放されるためです。次回はそのあたりについて考えてみます。
年金は字のごとく、年々もらう老後の生活費です。65歳でリタイヤし95歳まで生きるとすると、30年という長い期間、固定収入としてこの年金に(全額でなかったとしても)頼りつつ生活していくことになります。健全な経済には適度なインフレ(消費者物価の上昇)があります。これは経済が成長し、生活が豊かになっていく指標でもあります。
物価が少しずつ上がっていくわけですから生活費も上がっていくわけで、それに見合った形で年金額も上がっていくというのがあるべき姿です。そうでないと、同じ年金額をもらっていても、物価がどんどん上がっていけば、去年買えたものが今年は同じ分だけ買えない、つまり購買力の低下が起こります。別の言い方をすれば、同じ額面の年金をもらっていても、その貨幣価値の低下により、もらったお金が実質上目減りしたのと同じということになります。
インフレは国ごとに違います。下が日米のインフレ率をグラプにしたものです(出典:経済のネタ帳)。
日本のインフレ率は常にアメリカよりも低く、ゼロのラインの上を行ったり、下になったりというレベルです。アメリカも一時的にゼロに近くなることもありますが、Federal Reserveが目標とする2%ラインをキープしようとがんばっているため、長期的にはそのあたりを維持しています。
それぞれの国の年金は、それぞれの国で生活することを前提に支給されます。日本の年金は、日本でもらい日本で使うことを前提にしているため、たとえ年金額が10年間同じであっても、インフレがほとんどなく物価がほとんどあがらないのなら大きな問題にはなりません。実際、日本のファイナンシャルプラニングの計算などを見ても、インフレを考慮していない計算が非常に多いです。これはインフレがないのなら、それはそれで問題がないといえます。
しかしながら、インフレがない前提で支給されている日本の年金を、アメリカに持ってきてアメリカで生活する場合は少々困ったことになります。アメリカでのファイナンシャルプラニングにはインフレは必ず考慮されます。現在私の使っているファイナンシャルプラニングのソフトウエアでの、将来的なインフレ率のでデフォルト値は2.25%です。上がっていかない日本の年金を使って、年々2.25%上がっていくアメリカの生活費をカバーすることは、1年後、2年後には大きな問題にならなくとも、10年後、20年後には大きな問題になります。
2019年のソーシャルセキュリティ年金額は、前年比2.8%上がりました。2020年はさらに1.6%上がります。一方で、2019年の日本の年金額は0.1%上がったにすぎず、これは4年ぶりの増加改定です。
下が、日本の物価変動率(インフレ率)と年金額改定率の表です(出典:All About マネー)。上で書いたように、日本はインフレ率自体がアメリカよりも小さい上に、年金額の改定率はその小さいインフレ率よりもさらに小さい(というかほぼ改定がゼロに近い)ことが分かると思います。
日本では、「マクロ経済スライド」というしくみがあって、これは「社会全体の公的年金制度を支える力(現役世代の人数)の変化」と「平均余命の伸びに伴う給付費の増加」という、マクロでみた給付と負担の変動に応じて、給付水準を自動的に調整するしくみです。現代世代の人数は少子化でどんどん少なくなり、反対に受給する世代はどんどん増えるので、収支のバランスをとるために、たとえインフレで物価が上昇したとしても、その上昇分を全額カバーするほど年金額を増額することはせず、調整額を低いレベルに抑えるというものです。
一方でアメリカでは、前述のように2%レベルをうろうろするインフレ率に追随する形で、ソーシャルセキュリティ年金に調整がほどこされます。下は、アメリカのインフレ率と、ソーシャルセキュリティのCOLA率(Cost-of-living adjustment=生活費のためインフレ調整率)をグラプにしたものです。
この影響で、どんどん増えていくソーシャルセキュリティ年金をもらいながら、生活費がほとんど上がらない日本で老後を暮らすのは楽ちんです。毎年2%ずつ増額されるとすれば、、ソーシャルセキュリティ年金を日本円に交換した10万円は、10年後には12万1,800円、20年後には14万8,500円、30年後には18万1,100円までになり、物価があがらなかったとすれば実質上年金がどんどん増えたことになります。
反対に、なかなか上がらない日本の年金で、物価が着実に上がっていくアメリカで老後を暮らすのは大変です。日本からもらってドルに換金した$1,000の年金は、10年後には$820の価値、20年後には$672の価値、30年後には$552の価値しかありません。
もちろんこれに加えて、為替の変化による影響もあります。円とドルの力関係で、換金して受け取る年金は増えたり減ったりします。増えればラッキーですが、減れば泣き面にハチです。
日本の年金でアメリカでの老後を送る場合は、ある程度このあたりの点を考慮しつつ、不足分があるとすれば他に用意したリタイヤメント資金から補てんできるよう用意をしていくことが肝要です。
Smart & Responsibleでこれまでプラニングサービスをご利用いただいた方の年齢は以下のようです。安定した収入ができ、家庭をお持ちになる可能性の高い30代、40代の方の比率が高いですが、これからファイナンス基盤を作っていく20代や、反対にリタイヤメントがだんだんと近づき具体的な老後のプランを練り始める50代、60代はもちろんのこと、リタイヤメントに入ってからの70代の方もいらっしゃいました。
また、世帯年収では以下のような分布でした。$100,000~$150,000が最も多く、次いで$50,000~$100,000でした。ファイナンシャルプラニングに最適な年収というのはありません。入ってくるお金が多いなら多いなりに、少ないなら少ないなりにプランが必要です。
さらに、純資産(資産から負債をひいたもの)は下のような分布になっています。純資産$500,000までが最も多い層でした。収入と同じで、ファイナンシャルプラニングに最適な純資産というのも存在しませんが、資産が多くなればなるほど、資産の種類も多くなり、それだけプラニングが複雑になるという傾向はあるかと思います。
これまで数百人の方のプラニングをお手伝いをしてまいりました。個人を相手にするサービスであり、代金の回収が大変ではないか(回収率が低いのではないか)と危惧してくれる知人もいましたが、Smart & Responsibleの回収率はインボイスをお出ししてから1週間以内でほぼ100%です。通常は、最終の分析レポートをお出ししてからご質問などを承り、それが落ち着いてからインボイスをお出ししますが、サービスに満足いただいているケースが多いためか、ほぼ即日1,2日以内にお支払いいただけるのが90%以上です。超良好な回収率の裏には、プラニングサービスについてお客様からご連絡いただく時点で、すでにブログなどを読んでいただいておりSmart & Responsibleの考え方などに賛同いただいている、裏返せば異なるものを求めていらっしゃる方はご連絡をいただかないということかと思います。
今まで1件だけ、ご不満がありお支払いをいただけなかったケースがあります。そのお客様はたくさんの不動産をお持ちで、リタイヤメントは不動産収入中心で・・という方でした。反省するに、私のお出ししたレポートはあまりに簡略的で、全く詳細を欠いていたのだと思います。長いリタイヤメント期間の間の物件の老朽化や買い替えなどのタイミングや前提づくりなどを踏まえて、不動産収入の確実性をどう見込むかなどは、私の不得意分野です。不動産収入を年金などと同じように定期収入と見込んでモデル化することは可能ではあります。ただ不動産収入が収入源のメインという方はそれぞれのマーケットに詳しい不動産専門家にご相談されるのが良いと思います。
一方で、Smart & Responsibleの得意とする分野は、今まで書いてきた包括的なパーソナルファイナンスの要素のバランスをとりつつ、長期投資においては低手数料のインデックスファンドを基本に、投資期間とリスク許容量を踏まえながら高くリスク分散した投資ポートフォリオで運用しつつ備えるという方法です。特定の個別株やホットで旬な投資ファンドをお勧めするというような短期的視野には立たず、インデックスファンドを使った長期パッシブ投資(売り買いを繰り返さない投資)を基本に考えます。
インデックスファンドを使った長期パッシブ投資については、こちらの特集シリーズの、「わかる長期投資特集」と「インデックスファンド投資をわかる特集」をご覧ください。
Smart & Responsibleのプラニングは、特に投資に興味があり時間と労力を割いてがんばりたい・・という方でない方向きです。、一般に多くの方は、不動産や特定株のように投資資産を一極集中することで得られるハイリスク・ハイリターン狙いではなく、広く投資を分散させることでリスクを抑えつつも、ゴール達成ができるだけのちょうどよいリスクをとり、長期的に低手数料運用していくのが、一番簡単で効率的であるという信念に基づいています。
これまでSmart & Responsibleを使っていただいたケースを振り返るに、お客様のタイプでいくつかのパターンに分けることができるかと思います。
キャリアが軌道にのりそろそろ将来を見据えお金の使い方を検討したい、結婚、出産を機に、新しくファイナンシャルプランを作りたい、子どもが大きくなるにつれ学資やリタイヤメントを視野に入れつつバランスの取れたバジェットを構築したい、負債の返済計画を作りたい、他のニーズとの整合性をとりながら家の購入をすべきかどうか、いくらまで大丈夫かなどを知りたいなどは、今から家計を建て上げ、また力強く貯めていくフェーズで対応が必要な問題です。計画的な準備が必要ではありますが、まだお子さんの行く大学もリタイヤメント後の生活もあまり具体的には想像できません。ただ、それでも長期的な貯蓄・投資は必要です。このような場合には、大きな枠で長期的ゴール設定を絞りすぎない程度に緩やかに行いつつ、現在手元にある現金の使い方の最適化にフォーカスを置いたプラニングサービスをお使いいただくのが良いかと思います。同時に、職場のベネフィット利用を最適化したり、401(k)などの投資ポートフォリオの見直しも行います。また、万が一の場合に備える保険のチェックも欠かせません。
だんだんと長期的ゴールが可視化してくるフェーズです。お子さんの大学にどのくらいのコストを見込めばよいか、リタイヤメント後にはどのような生活がしたいかが少しづつ明確になってきます。ソーシャルセキュリティやその他の年金なども受給額の目途が立ってきますので、その受給開始時期の最適化も行います。このフェーズでは、具体的なゴールを明確化するとともに、不安に思っていることなども洗い出していきます。ゴールは、Need(絶対必要なレベル)、Want(なるべく実現したいレベル)、Wish(できれば実現するとうれしいレベル)に分けて考え、不安材料などと合わせ、それぞれの実現可能性を割り出していきます。実現可能性が低い場合には、どのような要素をどう変更すれば実現可能性が上がるかについてシナリオ判断します。シナリオ判断の結果を持って、必要な軌道変更などを行い、ゴール実現への道を可視化していきます。
リタイヤメントを目前に控えているフェーズです。今まで蓄えてきたリタイヤメント資産、ソーシャルセキュリティ、その他の年金などを合わせて考慮し、リタイヤする時期の判断や、リタイヤメント資産が枯渇しないようなお金の引き出し方、節税を視野に入れた401(k)などのRoth IRAコンバージョンや、固定収入確保のためのアニュイティの購入などを総合的に見ていきます。また、これまで貯めてきた様々な投資口座を整理して、管理を簡略化し、スムーズなお金の引き出しを実現することも考慮します。この時期でも、Need(絶対必要なレベル)、Want(なるべく実現したいレベル)、Wish(できれば実現するとうれしいレベル)とともに、不安材料を洗い出していって、リタイヤメント資産の枯渇を防ぐ実行可能性を上げるためのシナリオづくりをしていきます。
以上はすべてHolistic(包括的な)ファイナンシャルプラニングサービスです。フェーズの違いで考慮する要素に変化はあるものの、お客様のパーソナルファイナンスに関わるすべてのエリアを考え併せます。
まだ、どのフェーズにあっても、お客様のファイナンシャル知識の向上もお手伝いさせていただきます。日ごろから疑問に思っていること、今一度よく理解できないことなども同時に確認する機会を提供いたします。体系的に学びたいという方には、お読みいただくとよいブログ記事をお勧めしながら、全体的に理解するためのお手伝いをします。
一度Holistic(包括的な)ファイナンシャルサービスをお使いいただいた後は、転職した、お子さんが生まれた、引っ越したなど家計で大きな変化があった場合や、そうでなくとも3~5年に一度、メンテナンスチェックとして、立てたプランの進行度や方向性チェックなどをすることをお勧めします。
Smart & Repsonsibleは、Holistic(包括的)なファイナンシャル・プラニングを提供いたします。パーソナルファイナンスにおいてお互い関係しあう要素を包括的に考え併せ、部分最適ではなく、全体的な最適解を探します。考慮される要素には、下記のように保険によるリスク管理、リタイヤメントや教育などの長期運用、税金面での考慮、収支バランス、バジェット管理、ローン返済、家や車など大型消費プラニング、ソーシャルセキュリティ年金受給プラニング、リタイヤメントの引き出しプラニングなどを含み、その方その方のニーズに合わせて決定します。現在の収入をどう使い、どう貯めるかという現時点のお金の使い方のバランスを考えながら、将来的にお金が必要となる時に備えるためゴールを洗い出し、ゴール実現への道を計画します。
Smart & Repsonsibleは、Hourly Feeのみで報酬を得ます。特定の金融商品の販売や推薦によるコミッションはいただきません。また、手数料をいただいて投資資産の管理をすることも行っていません。完全にお客様の立場に立って、金融商品や投資ファンドの推薦を行います。また、お客様のほうから指定いただく商品に対する中立的な目での吟味・分析も行います。可能な限りいくつかの選択肢を用意し、それぞれ長所・短所などを上げながら、お客様がご自分にぴったりのものをご自分で選んでいただくための意思決定サポートを行います。選択肢を挙げられないような問題の場合にも、お薦めするプランがなぜよいか、問題があるとすれば何かについて説明させていただきます。お客様ご自身で納得のいく選択をすることができるようにお手伝いいたします。
よって、決断はお客様のおしごとです。また、ファンドの購入や保険の加入など、プラン実行はお客様でやっていただくのが基本です。必要に応じ、プランの実行もHourly Feeベースでお手伝いすることができます。
今までSmart & Responsibleでお受けしてきたケースでかかった所要時間は、1時間~18時間までの範囲です。1時間というのは、簡単にお答えできるご質問を1,2ついただき、メールで回答したものです。18時間というのは、収入や資産構成が複雑で1度のレポートですぐに答えを出すことが難しく段階的に詰めていくことが必要だったり、あるいは最初にお出ししたレポートから、さらに新たな分析事項が生まれ、何回かのステージで分析範囲が拡大していったようなケースです
これまでのやり方では、ご連絡をいただき詳細情報をいただいてから分析内容を確定し、それにかかる時間を見積もり、かかった時間分だけをチャージさせていただいていました。他のファイナンシャルプラナーも抱えている問題なのですが、この時間を正確に見積もるというのは大変に困難な作業です。よくリノベーションするときにコントラクターが、「やりはじめて壁の中(あるいは屋根の下などでも)を見てみると問題が出てくることがあるので、正確な見積もりは難しい」と言うのを聞きますが、それと同じで、プラニングもやりはじめてみると、当初予測ができなかった要素にも時間がかかり、始めの見積もりをオーバーするということはよくあります。見積もりを出して、それをオーバーしたことは頻繁でしたが、かといって、見積もり上限以上にお支払いいただいたことはありませんでした。とにかく見積もりは難しいというのが本音です。
こんな状況を踏まえ、今後の新しいシステムでは、ある程度パッケージ化したサービス提供に移行する予定でいます。それぞれのケースの簡単さ、複雑さに応じて、ある程度の料金の調整ができる柔軟さは確保しながら、パッケージ1、パッケージ2のように商品化したサービスで基本固定料金を設定した形になります。これにより複雑な見積もり作業がなくなり、またお客様のほうでもあらかじめWebページ上で基本的なトータル料金を見ることができるようになります。新システムは秋から開始の予定で適宜お知らせします。
ファイナンシャルプラニングに限らず、どんなサービスであっても、サービスを利用する人のタイプは、大きく下の3つに分けられます。まずは3つのタイプを見てみましょう。
理由はいろいろでしょうが、時間的にまたは能力的にすることができない、またはできるけどしたくないので、人に完全に委任して(Delegateして)おまかせしたいタイプです。ファイナンシャルプラニングの場合だと、とくに投資資産管理などで、ファイナンシャルアドバイザーを立て、たとえば年間投資資産の1%というような管理手数料(AUM Fee=Asset Under Management Fee)を払って、ポートフォリオづくりからリバランスまで全部おまかせするケースなどがそれです。また、金融商品の選択なども、信頼できる人に選択決断を委託してしまい、面倒なことはすべて丸投げしたいという方です。
Youtubeを見てやり方を勉強したり、自分なりに情報を集めて学んだりで、自分で決めて自分で実行するタイプです。最近では、401(k)で提供されるファンドも低手数料のインデックスファンドが増えてきていますし、またそれをベースにしたターゲットデイトファンドが提供されていることも多くなりました。ちょっと下地の勉強をしたら、自分でファンドを選んで投資をするということは決して敷居の高いことではなくなりました。
ValidatorはDelegatorのようにお任せにしたくはないが、Do-it-yourselferのように完全に自分でやるのも少し不安が残るので、自分の考えていること、やろうとしていることをValidate(お墨付きをもらう)したいタイプです。一応自分で調べてやっているけれど、ファイナンシャルプラナーに確認したいというようなニーズを持つ人です。
Smart & Responsibleでは、パーソナルファイナンスに関わるさまざまな情報をできるだけわかりやすく提供することを目指しています。これは、Smart & Responsibleを始めた動機でもあり、いわばミッションとも思ってやっています(同時に情報を整理することで、プラナーである私自身の勉強にもなっています)。Do-it-yourselferである方がこれらの情報を使って、ご自分で解決できることがあれば大変うれしく思います。
また、問題が少し複雑であったり、いくつかの要素が絡み合うので、自分の選択があっているか確認したいというような場合や、もっといいやり方があるかもしれないので検証してほしいというようなValidatorニーズには、Hourly Feeのプラニングサービスをお使いいただければと思います。
包括的なプラニングとなると、どうしてもDo-it-yourselfでは追いつかない部分もあります。その場合は、お客様と一緒に最適解を探っていき、最終的に納得のいく回答へと導くタイプのプラニングサービスをお使いいただくことになります。このプロセスにはお客様ご自身も、情報提供に始まり、どうしたいか、どう思うかなどインプットをいただく機会がたくさんあり、最終的にはご自分にとって最善の意思決定をしていただくので、広義のValidatorに属するかと思います。
こんなわけで、Smart & Responsibleのブログを読んでいただくのにぴったりなのはDo-it-yourselferとValidatorタイプの方であり、有料でプラニングサービスを使っていただくぴったりのお客様はValidatorタイプの方です。完全に、お任せで自動操縦でやってほしいというDelegatorタイプの方のニーズには、対応できるサービスではありません。
保険エージェントから紹介のある保険ポリシーや、電話やメールなどで宣伝の届く保険ポリシー。メディカルテストにより、保険会社の定める健康上の基準を満たす必要があります。保険会社によって売る保険ポリシーの内容はさまざまで、また同じ保険会社のなかでもいくつかの異なるポリシーがあるので、最初に見たもので決めないこと。かならず、複数社、複数のポリシーを集め比較することが必要です。
雇用主がベネフィットの一環として長期介護保険を提供することがあります。グループ保険として提供される場合や、個人保険ではあるがグループディスカウントが効く場合などがあります。グループ保険として加入できる場合は、個人保険のようなメディカルテストが不要な場合、必要であっても基準が緩いもあります。また、雇用者の配偶者や両親などにも、保険を利用できる枠が拡張されることもあります。
離職の場合は、(雇用主がグループ保険をキャンセルしない限り)同じ保険をキープし続けることができる場合がほとんどです。雇用主提供プランでは、個人保険では得られないような特典がある場合もあるので、内容をよく理解するとともに、個人保険の保険料の見積もりも集め、比較してみることが賢明でしょう。場合によっては(とくに健康な人)、多少面倒でもメディカルテストを受けて個人保険に入る方が安いこともあります。
連邦・州政府の保険
RMDの額はある程度、毎年同じようなレベルの額を保つことができるように工夫されています。RMDを計算するためのDevisor=残存平均寿命は、前回の記事にあるテーブルをご覧いただくとお分かりになるように、だんだん小さくなっていきます。同時に、引き出す額と運用利回りにもよりますが、多くのケースではリタイヤメント資金の残高自体もだんだんと小さくなっていくことから、小さくなった資金残高を小さくなった残存平均寿命で割るということになり、典型的な例では毎年のRMDは大きく上下することはありません。下は、リタイヤメント時、$750,000の残高で、リタイヤメント以降の運用利回りが3%で推移した場合の、毎年のRMD額をグラフ化しています。$30,000程度から$40,000程度の間で収まっているのがわかります。
RMDと聞くと、「引き出したくないのに、引き出さなくてはならず、課税されてしまう頭の痛いもの」というようなイメージがありますが、趣旨としては、「非課税で貯めてきたリタイヤメント資金を、平均寿命の期間にわたって、なるべくおしなべて毎年同じような額を引き出し続けさせる」ということを目的にしており、ある意味で理想的な引き出し方でもあります。実際、RMDをベースにリタイヤメント資金を引き出すと、枯渇を防ぎつつも毎年の引き出しをしっかり確保する効率的な引き出しが可能であるというようなリサーチ結果も出ています(リヤイヤメント資金を引き出す - RMDで考える)。反対に言えば、RMDより大きく超えて引き出しをすると枯渇の可能性も大きくなるともいえます。
RMDが必要となる口座が複数ある場合は、それぞれの口座でRMDを計算する必要があります。ただし、口座の種類によっては、別々に計算したRMDをまとめて一つの口座から引き出すことも可能です。
401(k)やTraditional IRAなどは、70歳半(2019年末SECURE ACTにて72歳に変更)になると、そこからお金を使う必要がなかったとしても、最低限の引き出し額(Required Minimum Distribution :RMD)を引き出すことが義務付けられます。これは、リタイヤメント資金準備目的がゆえに税優遇のあるプログラムでお金を貯めながら、実はあまりリタイヤメントに使わず、税優遇を受けたまま次世代へ相続するなどの使われ方を防ぐ意味があります。年々最低限の額は引き出させ、課税するというのがRMDの存在意義です。
基本的に、RMDが必要になる口座は、下の1)や2)のような所得税控除で積み立てた口座です。税金を払わないで積み立て、利回りも税優遇で運用している口座です。そのダブル特典の状態が永遠に続くことを防ぎ、あくまでリタイヤメント資金準備のための税優遇であることを徹底するため、多くの人がリタイヤメントに入っているはずの70歳半(2019年末SECURE ACTにて72歳に変更)になったらリタイヤメント資金として引き出しをさせ、所得税の課税をその時点ではじめてするというしくみです。
3)のRoth 401(k)は、1)や2)とは違い、所得税を支払った後の積み立てで引出額も所得税対象となりませんが、RMDの対象になりますので注意が必要です。ただしRoth 401(k)は、離職後に、RMDの必要のないRoth IRAにロールオーバーすることができ、そうすることでRMDを回避することができます。RMDが必要になる時点の前の年の年末時点でRoth 401(k)の残高がゼロであれば、RMDは発生しません。
第一回目のRMDは、70歳半(2019年末SECURE ACTにて72歳に変更)になった年の、次の年の4月1日までに引き出す必要があります。
第二回目のRMDは、第一回目のRMDがDueの4月と同じ年の12月31日までに引き出す必要があります。
それ以降は、毎年12月31日までに引き出す必要があります。
たとえば、ふたつ例を見てみると。。。
同じ1948年生まれでも、生まれ月により、第一回目のRMDの年が異なってきます。
注意したいのは、1回目は4月1日までに引き出し、2回目は12月31日までに引き出しですが、これらは同じ年であることです。ソーシャルセキュリティやペンションなど他の収入がある場合、またRMDの対象となるリタイヤメント資産が大きい場合には、2回のRMDがあると課税対象となる所得が膨れ上がり税金も大きくなる可能性があります。それが危惧される場合には、第一回目のRMDを、4月1日の前の年の年末までに引き出しておくことで、1回目と2回目が違う年に分かれ、所得税が抑えられる可能性があります。
ご自分のRMDの期日はこちらで確認することができます。https://www.kiplinger.com/tool/retirement/T045-S001-when-do-i-have-to-take-my-first-rmd/index.php
もしも、70歳半(訂正:2019年末SECURE ACTにて72歳に変更されました! 72歳になった年の12/31までに、RMDを引きだします)時点でまだリタイヤしておらず働いていた場合は、1)の401(k)、403(b)、457の場合は、離職するまでRMDを遅らすことができる場合がほとんどです。それぞれ雇用主のルールによりますので、確認してください。IRAにはRMDの遅延は許されていません。
RMDの額は、RMDの引き出しがDueである年の年初の口座残高を、以下のDivisor(残存寿命年数)で割った額です。
たとえば、最初のRMDの場合、年初に$500,000の残高であった401(k)は、その年の4月1日までに$500,000÷27.4=$18,249を引き出すことになります。
ただ、その口座のBeneficiaryが、口座を所有する本人の配偶者であり、配偶者の年齢が本人より10歳以上若い場合には、上記とは別のDivisorテーブルが用意されており、年齢差を考慮し、よりゆっくりと引き出しができるしくみなっています。若い配偶者の存命期間中、リタイヤメント資金を枯渇させず使うことができるようにという配慮からです。
最初のRMDで、リタイヤメント資金の大きさによって、どのくらいのRMDが必要になるかについて、いくつかのケースを見てみましょう。ペンションなどがないことを前提にするなら、RMDはおそらく生活費として必要となる範囲の額です。
| リタイヤメント資産 | 最初のRMD |
| $250,000 | $9,125 |
| $500,0000 | $18,249 |
| $750,000 | $27,373 |
| $1,000,000 | $36,497 |
| $1,500,000 | $54,745 |
| $2,000,000 | $72,993 |
401(k)の積み立ての種類は4つあります。下の表の最初の三つは雇用者が自分で積み立てるもの、最後の雇用主マッチは、雇用者の積み立てに対し一定のルールで雇用主がマッチアップしてくれるものです。
401(k)プランは、雇用主によってその提供の度合いはまちまちです。会社によっては401(k)がまったくない場合もありますし、雇用主マッチもあったりなかったり、ある場合のその条件も会社によりまちまちです。ふつうの401(k)はあっても、Roth 401(k)やAfter-tax 401(k)がない場合は一般的で、かえって提供しているところはまれです。ただ、昨今、提供されている会社も増加傾向であるように感じています。
なお、ふつうの401(K)は、場合によってはTraditional 401(k)とかPre-tax 401(k)などとも呼ばれることがありますので、追記しておきます。
いろいろなプランが提供されている場合のまず第一歩は、401(k)かRoth 401(k)を決めることです。この二つは、合わせて年間積み立て限度があります。組み合わせて限度額内で両方に積み立てることも可能ですが、あまりそのような使い方はしません。
401(k)かRoth 401(k)かを決めるのは、Traditional IRAかRoth IRAかを決めるのと同じロジックを使います。現在税金を払ってしまってあとあと払わなくていいのをとるか、現在所得税控除を受けあとで払うほうをとるかの選択になります。現在、中~高レベルの所得があり所得税ブラケットが高く、将来の老後は税率が下がるだろうと想像できるなら、今控除を受けた方が有利で401(k)を使うことになります。反対に、現在は所得税ブラケットがそれほど高くないが、将来にはブラケットが上がると思われるならRoth 401(k)を選びさっさと税金をはらってしまって、老後は非課税で引き出しができるほうが有利です。多くの場合は、おそらく401(k)のほうに軍配が上がるかと思います。
401(k)でも、Roth 401(k)でも、とにかくこの二つをまず限度の$19,000内で積み立て、もしそれでも余裕があるならば、After-tax 401(k)を考慮することになります。
法律では、401(k)、Roth 401(k)、After-tax 401(k)、雇用主マッチの401(k)積み立てのすべての積み立てトータルでの限度額が定まっており、2019年の場合は、50歳未満で$56,000です。たとえば、401(k)を最大限まで積み立て、$6,000の雇用主マッチを得た場合は、$56,000-$19,000-$6,000=$31,000までをAfter-tax 401(k)で積み立てられることになります。
After-tax 401(k)はその名の通り、所得税を納めた後での積み立てになります。将来引き出すときには、元本は非課税で引き出せますが、ただ利回り分は課税されます。同じ課税後の積み立てでも、この点がRoth 401(k)と違う点です。この利回り分の課税を非課税にするために、下のようなロールオーバーをすることができます。
After-tax 401(k)に積み立てた資金をRoth バージョンにロールオーバーすることで、利回り分への課税も回避することが可能です。いろいろなパターンがあります;
1. 雇用主のプランが許していれば、After-tax 401(k)に積み立てたものを、Roth 401(k)にロールオーバーする: いつロールオーバーできるか、いくらをロールオーバーできるかなどの条件は雇用主によりまちまちです。ロールオーバー時の利回り部分に対しては所得税が発生しますが、ロールオーバー後は、利回りも非課税になります。ラッキーなことに積み立てて短期間でロールできれば、利回りが最小限で抑えられ、その後の課税は全く回避できます。
2. 雇用主が許していれば、After-tax 401(k)に積み立てたものを、Roth IRAにロールオーバーする: ケース的には許されていることはまれですが、もしも許されていれば外部のRoth IRAにロールオーバーすることで、その後の利回りは非課税になります。
もしもふつうの401(k)とAfter-tax 401(k)が混在している場合は、After-tax 401(k)だけのロールオーバーは許されていません。401(k)はTraditional IRAへ、After-tax 401(k)の元本部分はRoth IRAへ、After-tax 401(k)の利回り部分は課税前であるためTraditional IRAへ、それぞれロールオーバーします。
3, 雇用主のほとんどが離職後には、上のロールオーバーを認めています。離職後に、上と同じ要領でロールオーバーをします。
ポイントとしては、After-tax 401(k)は、引出時に元本部分は非課税で降ろせるものの、利回り部分が課税されるので、これを完全に非課税のRoth状態へと変換したほうがいいということです。1)の場合は、雇用主提供の401(k)のプランのなかでAfter-tax 401(k)からRoth 401(k)へと変換(In[-plan rolloverと呼ばれる]、2)の場合は離職前にAfter-tax 401(k)を外部のRoth IRAに変換(In-service rolloverと呼ばれる)、3)の場合は離職してからAfter-tax 401(k)を外部のRoth IRAに変換というパターンです。どれが可能かは、雇用主のプランの条件によります。401(k)プランの説明文書に明記されているはずですので、ご確認ください。
Roth IRAは、After-tax 401(k)と同じ、課税後のお金を積み立てるものという点では同じですが、Roth IRAは元本も利回りも非課税であるのに対し、After-tax 401(k)は元本は非課税ですが利回りは課税対象のまま残ります(これが、上のロールオーバーをする動機)。その意味ではRoth RIAを優先的に積み立てた方がよいでしょう。
ただ、Roth RIAには収入限度が設定されており、Married filing jointlyの場合は、AGIが$193,000から積立限度の制限が始まり、$203,000で完全に積み立て不可となります。この層の方には、After-tax 401(k)が心強い味方です。また積立限度がなかったとしても、IRAは年間$6,000(2019、50歳以上は$7,000)までしか積み立てられませんので、これを超えて積み立てたい方はAfter-tax 401(k)に頼ることになります
長期介護保険の新規契約数が大きく減少している一方で、ハイブリッド版と呼ばれる形での長期介護補償の契約が大きく上昇しています。これは、生命保険やアニュイティに、慢性症状介護(chronic care)特約など、特約(rider)を付加する形で長期介護に備えるものや、そもそも生命保険と長期介護を合体させて商品化しているものもあります。
長期介護のために得られる補償は、死亡保障額を限度とするのがふつうで、月々死亡保障の〇パーセントが支払限度というような形で限定がつきます。保険料に5~15%程度の特約料を付加してこの補償を提供するところや、追加の料金は取らないが、もしも長期介護を利用した場合には死亡保障が大きく減るというようなところがあるようです。
たとえば、$500,000の死亡補償に、1ヶ月に2%($10,000)を長期介護補償として4年を限度に支払うというようなものです。長期介護補償を使わずに死亡すれば$500,000の補償金が支払われ、長期介護が必要になれば$10,000/月で4年まで補償、その後死亡した時点では死亡補償金は受けた長期介護補償の分だけ減額されるというしくみです。
また別のタイプでは、たとえば65歳で$100,000を一括で払い込めば、長期介護補償として月に$4,723、トータル$226,000までカバーし、もしも長期介護を使わずに死亡した場合は$113,000を死亡保障として支払うというものもあります。一括で支払うので保険料の上昇を気にする必要はありません。一方で、補償上限の$226,000の長期介護がもしも必要であった場合でも、なんとか自己負担で支払う能力があるのなら、わざわざ$100,000を手放して、必要でもない生命保険も買う必要もないともいえます。それならば、$100,000を自己資金として投資に回すことができます。
ハイブリッド型は、そもそもは生命保険、あるいはアニュイティですから、長期介護の補償が欲しいから考慮するというものではありません。もともと生命保険やアニュイティが必要であるから入ること、あるいはすでに入っていることを前提に、そこに長期介護の要素を付け加えるというものです。
終身保険をすでにもっておりキャンセルするのもはばかられるので、1035エクスチャンジ(税制上で、1035Exchangeと呼ばれ、税金が発生しない形で切り替えすることができます)により、長期介護保険特約付の生命保険に乗り換えるというチョイスはいいかもしれません。
いずれにせよ、生命保険、アニュイティ、長期介護保険の契約は、一生ものです。自動車保険のような気軽さで加入してはいけません。迷いがあるときは、独立系のファイナンシャルプラナーに相談し、よく理解の上購入してください。
短期介護保険というのもあります。長期介護保険が$150~$200程度の補償を3年~4年程度まで提供するというのが多い一方で、短期介護保険は若干少なめの補償レベルで$100~$200程度を90日間~1年などのような形で補償します。
最近では長期介護保険の保険料がどんどん高額になっている背景があり、短期介護保険とまではいかなくとも、介護の補償期間を比較的短くする傾向があります。2000年には加入者平均の補償期間は5.5年であったのが、現在では2年まで短くなっています。
たしかに、あまりに慎重に厳重すぎる補償を買うのは、大きなコスト上昇を招くとともに過補償になりがちですから避けたい一方で、保険はそもそもは自分たちではカバーしきれない大きな損失やコストをカバーするというリスク対策が目的なので、あまりに短い期間、あまりに小さな額だけしか補償せず、せっかく入っていたけどあまり実効力がなかったとうことにならないように気をつけたいところです。
そもそも短期介護保険は、長期介護保険が始まるまでのWaiting Period (Elimination Period)をカバーするためのもので、短期介護保険だけ買ってそれでいいという使い方をするものではありませんでした。よって、本来は長期介護保険の代わりになる類ものではありません。
まだ40歳以下なら、契約から補償を受けるまでにより長期間が存在することになり、長期介護保険を購入するには不確定要素がさらに大きくなりがちです。それならば、保険料にあてるお金をリタイヤメント資金として自分で運用するほうが理にかなうでしょう。リタイヤメントまで時間がありますから、その分、高リスクもとれます。
35歳時に年間保険料$840($70/月)の長期介護保険に加入するかわりに、そのお金を投資に積み立てたとしましょう。月々$70は70歳まで積み立て続け、70歳以降は85歳まで手付かずのまま運用。通産して、年間8%の利回りで運用し続けたとすると、$528,000まで伸びます。85歳で長期介護が必要になった場合、2年間なら$723/日、3年間なら$482/日相当をカバーできます。50年後のことなので、インフレを考慮するとこの額が十分かは難しい判断ですが、現在の長期介護保険で平均的な一日あたりの補償額$150は、年間3%のインフレで50年後の相当額を計算すると、$658になりますので、なかなかいい線といえましょう。
50代から60代前半の方であれば、長期介護保険を考慮するのいいかもしれません。比較的若く、健康状態も良好であれば、低い保険料で大きな補償が期待できます。低い保険料といっても、年間数千ドルレベルになりますので、決して安い買い物えはありませんが、長期介護に加入するのにはタイミング的にはよいときです。
持ち家があり返済も順調で、老後にエクイティが貯まることが期待できる場合は、エクイティを必要経費の砦、つまり保険の代替として考えることができます。エクイティをできるだけ使わなくてよいように、リタイヤメント資金準備をしておき、いざというときはエクイティを使って介護費用をカバーするという考え方がよいでしょう。
エクイティの大きさが十分ではない場合や、老後資金で生活費は賄えるが、長期介護となると捻出が難しいという場合いは、長期介護保険を考慮します。
一方、60代半ばを過ぎると、保険料はかなり割高になることが予想され、そもそも入りたくても加入が難しくなる可能性も高いです。
家族の病歴や自分の健康状態からして、おそらく長生きが予想されるならアニュイティを購入するというのも選択肢でしょう。アニュイティは月々の生活費の確保などにも活用することができますが、長期介護を念頭において、80歳とか85歳からもらいはじめるアニュイティ(Deferred Annuityという)を追加で買うという方法です。たとえば60歳で$100,000を入れて、85歳から一生涯もらい続けるとすると、2019年4月現在で、年間$57,600(一日あたり$160相当)受け取ることができます。85歳の代わりに80歳から一生涯受給にすると、$30,000(一日あたり$83相当)。ただしこの額はインフレ対応はありません(インフレ対応版の購入も可能です)。しかしながら、今後市場の利率が向上していくと、同じ元金のアニュイティ契約でも受給できる額が増額していくはずので、タイミングが合えば、活用に足る選択肢です。また、介護要と認定されなければ一銭ももらえない長期介護保険に比べれば、アニュイティは生きているということだけが条件になるのも、心強い味方かもしれません。
あるいはハイブリッド版で、$100,000の生命保険に一括で払い込み、長期介護が必要な場合には、月$4,723、トータル$226,000までの補償を確保し、もし長期介護なしに死亡した場合は、$110,000程度の死亡保障というような利用も場合によってはいいかもしれません。アニュイティの場合は、ある年齢になれば死ぬまで、長期介護の必要不必要にかかわらず、一定額がもらえますが、生命保険ハイブリッド版の場合は長期介護が必要でなければ自分の懐にはお金は入らず、残された家族に死亡保障が残ります。
過去のこれらの値上げの大きな原因は、保険会社側のLapse率の甘い見積もりがあったようです。Lapseというのは、いったん保険を契約した人が、その後保険料が払えなくなったなどのなんらかの理由で保険をやめることをいいます。長期介護保険を契約した人のLapse率を、生命保険のLapse率並みに設定していたところ、長期介護保険の場合はそれよりはるかにやめる人が少なかったので、結果として支払う補償額が減らなかったということです。その見積もり誤りを補てんするために、年々保険料を上げざるを得なかったというわけです。
この経験を通して保険会社も学び、今後は、過去20年に見たような年々の大きな値上げはなくなるはずだ・・という予想ではありますが、それでも5~10年毎ぐらい20%程度の値上げは覚悟しておいた方がよい専門家の意見もあります。
では、現在長期介護保険を買おうとすると、いったいどのくらいかかるのか。American Association for Long-Term Care Insuranceという団体が、全米の長期介護保険の値段調査をしています。2019年版が発表になりましたので、今回はその結果をシェアさせていただきます。
この調査では、以下の条件の長期介護保険を55歳で購入した場合の各保険会社の値段を調査しています。保険会社名は明らかにされませんが、同じ条件での介護保険において、値段がどのくらい異なるか、最も高いケースと最も安いケースではどのくらい値段の開きがあるかなどを調べています。
保険料比較の保険内容
まずは、シングルで購入する場合から。下は、55歳の男性と、55歳の女性が、それぞれシングル(単独)で購入した場合の結果です。

男性の場合は、2018年は平均年間保険料が$1,870であったところ、2019年は$2,050と9.6%の上昇でした。2019年で、最も高い保険会社の保険料は、もっとも安い保険会社の保険料の123%、つまり1.23倍でした。おそらく数百ドルレベルの差だと思われます。
女性の場合は、2018年は平均年間保険料が$2,965であったところ、2019年は$2,700に値下がりしました。2019年で、最も高い保険会社の保険料は、もっとも安い保険会社の保険料の1.05倍ということで、ほとんど高低の差がなかったという結果です。2019年に保険料が下がったものの、女性はシングルで加入する(これは結婚していようがいなかろうが、単独で入るという意味です)と、同年男性に比較して1.3倍以上も保険料が高い保険料が必要ということです。
男性の上昇率、女性の値下がりなどを考慮すると、長期介護保険の保険料がまだ安定的に運用されていないような感を受けます。
次に、カップル(主に配偶者同士を差しますが、必ずしも婚姻関係になければならないという縛りがない場合もあります)の値段を見てみましょう。

二人とも55歳のカップルの場合は、2019年は$3,050でした。最も高い保険会社の保険料は、もっとも安い保険会社の保険料の243%、つまり2.43倍でした。こうなると、おそらく差は数千ドルレベルの差かと思われます。この差はあまりにも大きくショッキングでさえあります。
しかしながら、もし55歳の男女がそれぞれ個別に契約をすれば、$2,050+$2,700=$4,750となりますから、カップルで契約するのはひとつの大きなコスト削減策です。
またこの調査によると、男性、女性、カップルの場合において、値段が高い保険会社はいつも一定ではなく、また同時に値段が安い保険会社もいつも一定ではないという結果でした。つまり、“いつも安い保険会社”というのは存在せず、ケースごとでまちまちということです。こうなると、自分のケースで保険料を集めてみるまで、どの保険会社が高いのか安いのかはわからないということです。長期介護保険を購入する場合には、
できるだけたくさんの保険会社から保険料の見積もりを集めることが非常に大切
長期介護とは、慢性の病気や体の機能障害のため、自分で生活ができなくなった人のために、長期的に提供される医療および非医療ケアサービスのことです。長期介護が必要になった場合、一部はMedicareでカバーされることもありますが、ほとんどはMedicareの適用範囲外です。Medicareでは、病院に三日以上入院した後で看護施設に移った場合や、医師が医療上必要だと診断した在宅看護である場合などのみカバーするというように、厳しい制限つきでの適用になります。
通常、Activities of Daily Living (ADL)で規定された6つの基本アクティビティ(入浴、着替え、食事、歩行、身の回りの衛生、排泄)のうち少なくとも2つができなくなる場合、あるいは認知上の問題が起った場合を、長期介護の必要対象とみなします。
実際介護が必要になったときどのくらいのコストがかかるのか・・これは、だれもが知りたいことですが、答えは簡単ではありません。介護といってもさまざまなタイプがあるうえ、コストは地域差が大きく、また介護を必要とする期間がどのくらいかも大きな差を生みます。下記はGenworth調べの各種介護タイプ別の平均コストです。

· 65歳の人が生涯で長期介護が必要となる率は男性で46.7%、女性で57.5%
· 65歳以上で長期介護が必要になる場合の平均必要年数は2年
· ナーシングホーム滞在平均年数は、男性で0.88年、女性で1.44年
· 1年以上のナーシングホーム滞在が必要となる人は、男性で22%、女性で36%
· 5年以上のナーシングホーム滞在が必要となる人は、男性で2%、女性で7%
· Merrill Lynch社の調べによると、女性は平均で5年ほど男性ほど寿命が長いため、男性より$194,000余分にコストがかかる。
· U.S. Department of Health and Human Servicesによると、2015年から2019年に65歳になる人の48%は有料で提供される介護は必要としない一方で、25%以上の人は$100,000以上の有料介護を、さらに15%は$250,000以上の有料介護を必要とする。
· Morningstar社の調べによると、平均的な目安としては、認知症状なしでの最後の5年間の介護コストは$217,820、認知症状があった場合は$341,651。
一番多いと思われるケースは、家族・親戚のお世話になることです。同居、あるいは近くに住むことで、必要なケアをしてもらうというパターンです。
もうひとつは、払える分だけ払って、資産が十分少なくなった時点で、Medcaidの長期介護を申請する方法です。Medicaidの長期介護の資格を得るためは、収入面でも資産面でも一定以下であることが要求されます。人によっては、資産を子どもに分配し、所持資産を低くすることで資格を得ようとする人もいます。これは不可能ではありませんが簡単ではありません。
また反対に、長期介護に耐えうるだけ資金をためておくという方法もあります。生活費だけでなく長期介護も視野に入れたリタイヤメント資金づくりが必要になります。60歳でリタイヤするなら$数ミリオン、75歳になった時点なら$1ミリオン以上の蓄え(ソーシャルセキュリティ年金など固定収入も含める)があれば、長期介護にも備えられる可能性が高くなるといえましょう。
手持ちのリタイヤメント資金以外に、持ち家がある場合は、持ち家のリバースモーゲージなどの仕組みを使って、エクイティを使うという手もあります。
最後に、長期介護保険を購入するというオプションがあります。これは、上のように自己資金が潤沢ではなく、長期介護の費用を自分でまかないきれないが、かといってMedicaidの長期介護を受けられるほど収入・資産が低くない人にとって、考慮されるべきオプションです。介護が必要になったとき、定額の補償を得ることができます。とはいっても、長期介護保険の保険料も決して安くはないので、自分で資金づくりをしてできるだけを蓄えるか、長期介護保険を購入するかはよくよくの考慮が必要です。
長期介護保険は、Medicareやその他の健康保険ではカバーされない長期介護をカバーする保険です。在宅介護(Custodial care)、介助施設(Assisted-living facilities)での介護、ナーシングホームでの介護などが対象になります。上記ADLのうち少なくともふたつの機能が喪失されたとき、あるいは認知症と認定されたときに補償が始まります。
長期介護保険の保険料は安くはありません。保険料を決める要素は、年齢、健康状態、一日あたりの補償額、補償の期間、インフレ保護の有無と有りの場合はその内容です。少し前までは、性別は考慮されませんでしたが、最近では性別ごとの保険料設定をする会社も現れました。条件が同じであれば、女性のほうが男性より保険料が高めです。
年齢は若いほうがもちろん保険料が低いことになりますが、長期介護保険は完全な掛け捨て保険で、積み立ての要素はありませんから(Non forfeitureオプションがついていれば、少しは戻ってくる確率もありますが、このオプション自体が高額で、つけないほうがいい場合が多いです)、若年で始める人は多くはなく、50代を過ぎたところで考え始める人が多いでしょう。加入を伸ばしすぎ高齢になると、保険料が非常に高くなり、その割には受けられる補償は多くないという状態にもなりえます。また、いったん健康を害すると加入がかなり難しくなるということもあります。最近では保険会社も加入者の健康状態を厳しく吟味する傾向があり、高血圧だけで拒否される場合もあります。
一日の補償額は$150~$200が目安、補償の期間は2年から6年ほどまでです。インフレ保護については下記でも書きますが、非常に大切な要素であり、それゆえ十分な保護がある保険になるとコストが非常に高くなるという側面もあります。目安として、一日$200の補償額で、補償期間が4年、6年、一生涯の場合について、さらに5%複利でインフレ対応がある場合とインフレ対応なしの場合について、年齢ごとの年間保険料は下記のとおり。

1980年代には、全米で$30ビリオンだった長期介護コストが、2015年には$225ビリオンまで急激に成長し、ほとんどの長期介護保険を提供する保険会社にあっては、このようなレベルでのコスト上昇は想定以上のものでした。多くの保険会社が採算が合わなくなったため市場から撤退、あるいは大きく保険料を上げることを余儀なくされました。介護保険を提供する会社は100社レベルから、現在では12社ほどまで減少しています。
同時に、加入のための健康チェックの基準は厳しくなってきています。健康上の問題がある場合には加入を断られることもあり、1990年代には希望者の90%が加入できていたのが、会社によっては希望者の50~60%程度しか加入させないところもあります。基準は保険会社で大きく異なることもあります。
長期介護保険のニーズは依然として高いものの、これまであったオーソドックスな長期介護保険の契約は減少傾向にあります。長期介護保険の販売件数も減少しており、2002年には754,000だった新規販売が、2014には129,000に、2017年には70,000件以下にまで減少しました。それに伴い、最近多くなっているのが生命保険やアニュイティと、長期介護保険のハイブリッド型です。
ハイブリッド型は、そもそもは生命保険、あるいはアニュイティですから、長期介護の補償が欲しいから考慮するというものではありません。もともと生命保険やアニュイティが必要であるから入ること、あるいはすでに入っていることを前提に、そこに長期介護の要素を付け加えるというものです。
終身保険をすでにもっておりキャンセルするのも無駄が多いので、1035エクスチャンジ(税制上で、1035Exchangeと呼ばれ、税金が発生しない形で切り替えすることができます)により、長期介護保険特約付の生命保険に乗り換えるというチョイスはいいかもしれません。
次回以降、長期介護保険についてもう少し詳しく見ていきます。
401(k)に積み立てることができる上限額は$19,000(2019)であるのに対し、IRAは$6,000(2019)です。50歳以上であれば、401(k)ではさらに$6,000追加で積み立てが許されますが(合計$25,000)、IRAでは追加額は$1,000(合計$7,000)です。IRAだけの積み立てではリタイヤメント資金を十分に貯めることは困難な場合もあるかもしれません。ただし、ご夫婦で2口座開けば、$6,000x2=$12,000となります。どの程度の積み立てが必要か、どの程度の積み立てが可能かの両面から、どちらを使うか、両方使うかなどを考えていきます。
401(k)では、雇用主からのマッチング積み立てが受けられることがしばしばです。401(k)は法律の範囲内で、雇用主が運用ルールを決められるので、マッチングの額やルールは雇用主によりまちまちですが、典型例でいうと、雇用者がする積み立て額の50%を、給与の6%を限度としてマッチングするというようなケースが見受けられるようです。たとえば年収が$80,000の場合、本人が年に$9,600以上積み立てておれば$4,800($80,000×6% かつ $9,600×50%)を、雇用主が積み立ててくれるということです。これは、まさにフリーマネー、もらわない手はありません。一方IRAでは、このような雇用主からの援助はありません。
雇用主によって運用ルールは違いますが、一般的に401(k)からはローンを受けることが許されている場合が多いようです。これに対し、IRAからはローンを受けることはできません。Roth IRAの元金はいつでもペナルティなしに引き出すことができますが、これはあくまで資金の引き下ろしであってローンではありません。人生でちょっとお金がいるという局面で、ちょっと借り入れをしたいというような場合には便利です。ただし、あくまで計画的に。借りるわけですから、ちゃんと返す必要もあります。基本的にはローンは使わないのがベストです。
まったく同じミューチュアル・ファンドに401(k)を通して投資した場合と、IRAを通して投資した場合、手数料が違うことはよくあります。たとえば、大きな会社の401(k)プラン経由で購入すれば、個人がIRAなどを通して投資する場合に必要となるSales Loadなどの販売手数料が免除され、またファンド運営の手数料も団体割引で極安というケースもあります。購入するチャネル(誰から購入するか)によって、同じファンドを買うのでも、販売手数料が異なり、より大口の交渉力のある団体や会社を通して購入したほうが、手数料が安いというわけです。自分の401(k)プランにはどのような投資の選択肢があり、手数料はどのくらいか、それは個人的に投資する場合より有利なのか、そうでないのかを把握しておくといいでしょう。
401(k)は法律の範囲内で、雇用主が運用ルールを決めますので、比較的たくさんの投資媒体が提供されている場合もあれば、非常に限られた選択肢しかない場合もあります。いずれにせよ、あらかじめ用意されたファンドの中から投資先を決めねばならないわけですが、これに対し、IRAでは比較にならないほど多種多様な選択肢から選ぶことができます。401(k)で提供されている選択肢のうち、リスク許容度や利回り、手数料などの面において、自分のニーズに合うものが見つかれば問題ありませんが、そうでない場合は、IRAを通してもっとぴったりのものを見つけることが必要かもしれません。
ファンドAはどうも思うように利回りがないので他のファンドに乗り換えたい、あるいはちょっとアロケーションを変えたいなど、投資に変更を加えたいとき、IRAであれば大きな制限なくいつでも自由に行うことができます。これに対し、401(k)の場合は、1年に○回までとか、3ヶ月に1回までなどというように、ファンドの売り買いが制限されていることが少なくありません。ただし、よく計画された長期的な投資をしているのなら、そもそも頻繁に売り買いをする必要はないですし、すべきでもありません。その観点からすると、401(k)でも十分であるともいえます。
「401(k)のいいところ」の項目のひとつに、「Sales Loadなどの手数料が免除されることがある」というのがありましたが、場合によってはまったくその反対のケースもあります。とくに小さな会社の401(k)などでは、大きな401(k)プランなどに比べて、プランのアドミニストレーションやアドバイザリー手数料などが非常に高い場合も多くあるようで、かえってIRAを通して手数料の安いインデックス・ファンドなどに投資したほうがずっといい場合などもあります。繰り返しますが、401(k)は雇用主により条件がまちまちですから、自分の401(k)プランにはどのような投資の選択肢があり、手数料はどのくらいか、それは個人的に投資する場合より有利なのか、そうでないのかをちゃんと理解しておきましょう。
4.エステート・プラニング(相続対策)に有利(Roth IRAの場合)
問題となっている現象は、日本の年金のようなソーシャルセキュリティ以外の年金と、ソーシャルセキュリティ年金とを同時に受けると、ソーシャルセキュリティ年金が減額されるというものです。具体的には、ソーシャルセキュリティ税を徴収されていない勤労所得に基づいてソーシャルセキュリティ以外の年金を得ると同時に、それとは別にソーシャルセキュリティ税の徴収対象となる(別の)収入も得たためソーシャルセキュリティ年金も受給をする状態にある場合が該当し、別の年金額によって、ソーシャルセキュリティ受給額が減らされるというものです。「ソーシャルセキュリティ税の徴収対象でない」ことを“non-covered”といい、non-coveredの勤労所得に基づく年金のことを“non-covered pension”と言います。“non-covered pension”は、たとえばアメリカの場合なら学校の先生などのように、ソーシャルセキュリティとは別の公的年金などがそれで、この別年金加入のため給料がソーシャルセキュリティ税の対象となってない場合などは、この減額に該当することになります。また、外国の年金も該当し、たとえば日本の年金も減額の対象になることがあります。
この減額は、ソーシャルセキュリティ税の徴収対象となる勤労所得だけを得てソーシャルセキュリティ税を納めてきた年金受給者との公平をはかるためのものです。
たとえば、アメリカで働く高校の先生Aさんの例で考えて見ましょう。Aさんは、先生として働いている間は、州の先生用の年金制度に加入しており、本人と学校とがこの年金制度に払込をしました。この制度に加入している間は、給料はソーシャルセキュリティ税の徴収対象とはならず、Aさんは州の年金制度だけに払込をしました(Non-covered pension)。Aさんは、先生として働いていた間もパートタイムで他の仕事をしたり、あるいは何年かの休職中は学校とは全く別の仕事をしていたことがあります。これらの仕事で得る所得はソーシャルセキュリティ税の対象となり、雇用主もAさん自身もソーシャルセキュリティ税を納めていました。さて、Aさんが退職して年金生活に入った時、州の年金制度とソーシャルセキュリティ年金のどちらからも年金収入をもらえることになりました。
問題は、ソーシャルセキュリティの「収入の低い人にはより手厚く」年金を分配していくシステムです。ソーシャルセキュリティ側からだけ見ると、Aさんの州の年金の情報は簡単には見えず、ソーシャルセキュリティ対象の収入履歴だけ見ると非常に低収入に見えるため、「収入の低い人にはより手厚く」年金が分配されることになります。
ソーシャルセキュリティの年金額の計算式では、収入が高くたくさんソーシャルセキュリティ税を納めた人が年金として受け取る額の戻り率と、収入が低く少しだけソーシャルセキュリティ税を納めた人が年金として受け取る額の戻り率を比較すると、後者のほうが高くなるように設定されています。収入が高かったひとに比較して、収入が低かったひとは、より高い還元率で年金を受け取れるようになっています。これは社会保障システムの核ともいえる考え方かと思います。
ただ、前述のAさんは、先生としての収入履歴も合わせれば実はそれほど低収入であったわけではないのです。Aさんの先生としての収入とその他の収入を合わせたトータル収入と同額を、全額ソーシャルセキュリティ税の徴収対象として税を納めていた人(Bさんとする)に比べると、(収入も納めていた税金もほぼ同じなのに)Aさんのトータル年金(州の年金とソーシャルセキュリティ年金を合わせた額)のほうが、Bさんのソーシャルセキュリティ年金と比べて多くなってしまうという不公平さが存在することになります。
この不公平さを解消するために、AさんのNon-covered pensionである州の年金制度からの年金額を鑑みながら、ソーシャルセキュリティ年金を減額するというのがWindfall Elimination Provision(WEP)と呼ばれるものです。Windfallというのは棚からぼた餅の「棚ぼた」のことで、Aさんにとってみては、年金を二つにまたげただけでソーシャルセキュリティ年金が他の人より大きくなる・・というのがこの「棚ぼた」です。公平のため「棚ぼた」分を減額するのが、Windfall Elimination(棚ぼたの削除)です。
Aさんの場合は、アメリカの中のふたつの年金システムにまたがっていたわけですが、日本の年金に加入していた人もこのWEPの対象になってしまうことになります。
このWEPは1985年から制定されているルールなので何も新しいものではありませんが、多くの人が知っているというものでもなく、年金受給を開始してみて初めてわかったというケースも多く問題になりがちです。ソーシャルセキュリティ・オフィスに行って受給の手続きをすると、「日本で年金をもらっていますか」と聞かれ、「はい」と答えて金額を申告すると、後で減額の通知を受け取ることになり狼狽する方もいらっしゃるようです。
減額される額は、誕生年と受給額によって計算されることになりますが、目安としては月に数百ドルレベルになることが多いようです。ただし、減額には上限が設定してあって、ソーシャルセキュリティ以外の年金額(日本の年金額)の半額です。最大で、日本の年金の半額がソーシャルセキュリティ年金から減額されるということです。
日本からもらう年金すべてがWEPを引き起こすかというとそういうわけではなく、労働者あるいは雇用主がMandatory(強制的に)加入する年金システムが対象になります。よって厚生年金や共済年金は対象となりますが、個人が払い込んだ国民年金は対象外となります(が、残念ながら、誤った適用によって国民年金もWEP対象になるケースもでているそうです。https://www.sandiegoyuyu.com/index.php/news-2/286-town-news/14538-social-security190801-8)
また、受給資格を満たすのに日米社会保障協定を適用して加入期間を通算した場合も、通常の計算方式が適用されないという理由からWEP対象外となります。たとえば、日本の受給資格を満たすため、カラ期間やアメリカの労働期間を通算して10年の受給資格期間をクリアした場合や、反対にアメリカの受給資格を満たすため、日本の労働期間も加えて通算して10年の受給資格をクリアした場合などは、WEP対象外です。
さらに、ある一定以上の収入で30年以上ソーシャルセキュリティを納めていた場合は、対象外になります。ある一定以上という年収額は年々設定されていて異なる数字ですが、たとえば2018年の収入では$23,850ですので、それほど大きな額ではありません。たとえ収入は少なくとも30年以上ソーシャルセキュリティを払い込んでいればWEPは適用されません。また、30年に満たなくとも21年以上ならWEPが適用されるものの、減額が小さくなります。
WEPが適用になるかどうかについては、下のForeign Pensions Screening Toolで判断ができます。
https://www.ssa.gov/international/wep_disclaimer.html
確かに不公平を是正するための減額というのであればそれは仕方がない気もしますが、それならばそれで皆が理解できるように教育・説明の努力が必要かと思います。日本人からしてみれば、日本で一生懸命働いて納めたおかげでもらえる年金があるからといって、他国アメリカのソーシャルセキュリティが減らされるというのは理不尽に感じるところも多いでしょう。また、個人的に掛ける国民年金の受給はWEPを引き起こさないはずなのにもかかわらず、実際はWEP対象になってしまっているケースもあるそうです。
ソーシャルセキュリティのWebサイトでは自分の口座を作って、将来受けることができる年金額を調べることができますが、そこではWEP対象になること、なるならいくら減額されるかについては何の明示もないため、Webサイトに出てくる額がもらえると見積もっていたのに、ふたを開けたら減らされたというようなリタイヤメント・プラニング上の問題も引き起こしているようです。
WEPについての説明、WEBについての問題点については、下記のサイトに詳しく書かれていますので参考にするとともに、私たち自身、言われるままに減額に甘んじるのではなく、自分の権利は自分で守る、納得できるよう説明を求めるなどプロアクティブな姿勢を持つことが必要だと思わされました。
この問題への回答はズバリ、いくらリタイヤメント資金があるかによります。$5ミリオン貯まっているならば、たとえ全額1%金利のマネーマーケット口座に入れても、(もちろん生活費にもよりますが)かなりの確率で資金枯渇なく寿命を全うできるでしょう。$数ミリオン貯まっているなら、おそらく大丈夫、では$1ミリオンなら??
いくらあれば大丈夫かということはもちろん簡単には言えませんが、多くの家庭の場合、株式投資を避けて、資金枯渇を避けつつ生活費を確保していくことは難しいと思われます。
多くのターゲットリタイヤメントファンドではどのようにアロケーションを考えているかを参考にしてみると、リタイヤ年時点では株式ファンド比率は50%~55%あたり、その後少しずつ株式比率は低くなり、20%まで下げるものもあれば、40%どまりというものもあります。
リタイヤメント資金の賢い引き出し方(2) - 老後の資金運用ポートフォリオ
貯めるフェーズで株式投資が避けられないように、リタイヤメントの引き出しフェーズでも、株式投資は程度の差こそあれ必要ということを認識しつつ、
などを合わせつつ、アロケーションを決めていく必要があります。
また、定期的に、狙った利回りが出ているか、資金枯渇のリスクが高まっていないかなどをチェックし、リバランスやアロケーション調整をしていくことも必要です。
株式投資が必要かどうかは、いわばリタイヤメント資金の「増やす力」をどう維持するかという問題ですが、リタイヤメント後の生活費がいくら必要かは、「引く力」をどう制御するかという問題です。もちろん、増やす力は大きく、「引く力」は小さくしたほうがよいわけですが、ただ、せっかくの(たった一度しかない)リタイヤメント。資金を減らすことをを恐れるあまり、楽しみは一切ゼロ、堅実と節約だけで暮らすというのでは悲しいですね。
「引く力」は最小化するのが良いのではなく、うまくコントロールするのがよいのです。この「引く力」はいつも一定に保つのでもなく、必要に応じて調整できるフレキシビリティがあると、資金枯渇を防ぐ大きな助けになります。たとえば、株式市場の下落があった年には引き出し額を下げる、とくに必要ないお金は再投資でポートフォリオに戻す(たとえばRMDなどを生活費以上に受け取った場合など)がこのコントロールにあたります。
このフレキシブルな調整のためには、リタイヤメント後の生活での純生活費と変動生活費を把握しておくことがキーになります。レント、モーゲージ、食費、ガス代、保険費などの、生きていくために避けることのできない固定費と、旅行、エンターテイメント、社交費など余裕があれば出費する費用である変動生活費に分類をします。リタヤメント生活に入る前に、無駄な出費を削るための生活の見直しをして、月々絶対確保が必要な部分と、余裕があったら楽しむ部分に分けておきます。
リタイヤメント資金の賢い引き出し方(3) - 毎月の生活費の確保のしかた
これにより、なるべくお金を引き出さず資産を「引く力」を小さくする必要のあるときには、純生活費だけの確保に専念し、「引く力」を多少上げても問題のないときには、引き出し額をあげて思いっきり楽しむというメリハリをつけることができるようになります。
生活の費用をきちんと整理し、たとえば食費であっても、最低限きちんとした食事をするために必要な固定費としての食費と、少しグルメに楽しんだり外食をするための変動費としての食費などというように、整理しておくとよいでしょう。市場が悪化してあまりお金をおろしたくない時には、固定費だけで生活し、市場が回復してお金を出しても大丈夫になったら贅沢をするというフレキシビリティの度合いが大きくつけられるようになります。
生活費にいくら必要かが洗い出せたら、これをもとに投資ポートフォリオからいくら引き出すかを決めていきます。
まずは、純生活費のうち何パーセントが、ソーシャルセキュリティや企業年金などの固定収入でカバーできるかチェックします。月々固定でかかる純生活費のうち50%~60%くらいが固定収入でカバーされていると、やりくりが楽です。上のパーセンテージが少なければ(50%以上なければ)、質の良いアニュイティ(一括で支払って、年金化)などの購入を考慮してみます。
固定収入でカバーできない純生活費と、楽しみのために使う変動生活費を投資ポートフォリオから引き出すことになります。ここで、いくら必要かというニーズサイドの要素だけでなく、いくらなら引き出し続けても大丈夫かという資金維持サイドの要素を考え併せつつ、具体的な引き出し額を決めていくことになります。
また、同時にいくら引き出さねばならないか(RMD)も把握しておく必要があります。RMDは税遅延制度の乱用を防ぐためのもので、その年の寿命と投資残高によって決まる最低限の引き出し義務です。決められている額を引き出さなかった場合には手痛いペナルティがあります。引き出さねばならない額は引き出さねばならない口座からしっかりと引き出したうえで、必要に応じ他の口座からも引き出しを計画的にしていくことになります。
従来よく使われた考え方は4%ルールで、リタイヤメント時の投資残高の4%の額を割り出し、この絶対額を一生涯(インフレに応じて増額調整しながら)ずっと引き出し続けるというものでした。ただ、このあまりにもシンプルな考え方は実行が簡単でいいのですが、市場がよくても悪くてもただただ同じ額を出し続けるというもので、場合によっては資金の早期枯渇につながる可能性が高いものです。よって、現在では以下の3つのような代替案が提唱されています。
固定パーセンテージ:上の「従来の4%ルール」は絶対額を毎年引き出すことになりますが、その代わりに、投資残高の固定パーセンテージを常に引き出すという考え方です。4%固定の場合は、市場の状況が悪くてリタイヤメント資産の残高が下がった時もその4%を計算し、少ない額を引き出します。反対に市場が好調なら、大きくなった資産の4%で、絶対額にしてたくさんの額を引き出します。市場の騰落に沿って、自動的に引き出し額が調整され、枯渇確率を低くします。
RMD: 401(k)やTraditional IRAなどの税遅延口座に課されているRequired Minimum Distribution (RMD)の計算式を、すべてのリタイヤメント資産に当てはめて、引き出し額を計算するものです。RMDが課せられていない口座もひっるめて対象にしRMD額を計算し、その額を引き出します。RMDはその人の予想寿命の期間、まんべんなく押しなべて引き出しができるように設定されている計算式で、枯渇させない資産運用にも応用できます。
ダイナミック調整型: これは、毎年ポートフォリオの固定パーセンテージ(例えば5%など)を引き出すのを基本とするが、ただマーケットの状況が悪い(資産価値が下がっている)ときには下限(たとえば2.5%減の額)を引き出し、反対にマーケットの状態が良い(資産価値が上がっている)ときには上限(たとえば5%増しの額)を引き出すというように調整するもので)、市場の騰落に沿って、引き出し額を調整しますので、枯渇を防ぐ働きをします。
リタイヤメント資金の賢い引き出し方(3) - 毎月の生活費の確保のしかた
リタイヤメント後は、労働収入がなくなりますから、それまでよりもより現金のプール金をきちんと隠しておくことが必要になります。具体的には、純生活費から固定収入を差し引いた額の6か月から12か月分ぐらい、できれば18か月分くらいは銀行口座かあるいはリタイヤメント口座のなかでマネーマーケットなどの現金同等品の形で持っておくことがキーです。このお金は、市場の状況が悪いので少し投資ポートフォリオからの引き出し(低値での売却)を中止したい場合にも、問題のない生活費確保を可能にします。そして市場がよくなったら、投資ポートフォリオからお金を引き出し、この現金プールをまた戻のレベルまで戻してやります。
リタイヤメントに入る前に、401(k)や403、Traditional IRAなど複数のリタイヤメント口座はできる限り、ひとつの金融機関にまとめて、複数に分散された口座も合体させ、管理を単純化しておくとよいでしょう。401(k)や403、Traditional IRAなどの税遅延口座であれば、Rollover IRAに一本化することもできます。Rothや課税口座は、Rollover IRAでは一本化することはできませんが、金融機関はまとめておくとよいでしょう。
整理をしたうえで、年齢に応じとれるリスクと必要利回りを考え、最適のポートフォリオを組みなおします。
引き出し時には、まずはRMDの設定のあるある口座からRMD分を引き出すことを確実に行います。期限までに引き出し忘れるとペナルティがありますので、毎年計画的に引き出します。RMDを引き出した後でも、まだ引き出しニーズが残れば、課税口座から優先的に引き出します。税遅延や非課税などの税金面での優遇がある口座はできるだけ長く残しておいて、ベネフィットを享受し続けるのがよいでしょう。課税口座が底をついたら、非課税口座や税遅延口座から引き出すことになります。将来税率が同じか下がると予想されるなら、非課税口座を優先させます。反対に、将来税率が上がるなら、税遅延口座を優先させます。
リタイヤメント口座の数がたくさんある! - どの口座から引き出すか
どの口座から引き出すかを決めたら、今度はその口座の中で持っているどのファンドから引き出すかを考えねばなりません。たとえばTraditional IRAから引き出す場合でも、Traditional IRAで持っている株式ファンドを売るのか、それとも債券ファンドを売るのかを決めていくことになります。
実際は、株式ファンドといっても複数のファンドを持っている場合も多いでしょうし、債券ファンドについても同様です。具体的にどのファンドを売って換金するのか、これはなかなか一筋縄ではいかない決断です。たとえば株式市場が低迷しているときに株式ファンドを売ってしまうと、急激に投資資産を下げることになり、リタイヤメント資産の枯渇に拍車をかけてしまいがちです月々の生活費を確保するという目的と、元本をなるべく減らさないで資金を長持ちさせるというふたつの目的を、バランスをとりつつ市場の状態もかんがみながら実行していかねばなりません。今のところ、このエリアの研究はまだ限られています。
今のところ、CAPE(Cyclically Adjusted Price-Earnings Ratio)を使用した引き出し戦略が高い効力を発するというリサーチがあります。CAPEは、現在(引き出し時)のS&P500インデックス価格を過去10年の利回り値で割ったものです。CAPEで、過去10年の利回りに比して、現在の株価が割高か割安かを見ることができます。割高ならば株式ファンドから引き出し、それ以外は債券ファンドから引き出すというやり方だと、ポートフォリオの枯渇の確率を下げ、運用残高を上げることができるという結果が発表されています。
引き出し時のマーケットタイミング ー どのファンドから換金するか
インデックス投資では「何もしない」とか「ほったらかし」という言葉がよく唄われますが、実際、貯めている段階ではやらねばならないことは非常にシンプルです。ファイナンシャルプラナーの私が言うのもなんですが、基本さえ押さえればファイナンシャルプラナーなど使わなくても、資金準備が可能です。やらねばならないことを簡単にまとめますと:
リタイヤメント資金を貯めることができる口座には主に下記のようなものがあります。それぞれ、法的な運営ルールが設定されています。
一つ目のポイントはRMD(Required Minimum Distribution)のあるなしです。401(k)やTraditional IRAなどは、70歳半(2019年末SECURE ACTにて72歳に変更)になると、そこからお金を使う必要がなかったとしても、最低限の引き出し額(RMD)を引き出すことが義務付けられます。これは、リタイヤメント資金準備目的がゆえに税優遇のあるプログラムでお金を貯めながら、実はあまりリタイヤメントに使わず、税優遇を受けたまま次世代へ相続するなどの使われ方を防ぐ意味があります。年々最低限の額は引き出させ、課税するというのがRMDの存在意義です。
一般的に積み立てるとき所得税控除で積み立てることができる口座は、RMDが設定されています。RMDをおろし忘れると手痛いペナルティがありますから、RMDの必要な口座はどれなのか把握しておきましょう。
| カテゴリー名 | 口座種類 | RMD | 運用中の課税 | リバランスやアロケーション調整 | 引き出し額の課税 |
| 税遅延口座Tax-Deferred Account | 401(k)、403(b)、457(b)、Traditional IRA、SEP IRA、Simple IRA、Keogh | あり | なし | 売ってキャピタルゲインが出ても、課税なし。買うための入金は、収入がないとできない。 | 全額が所得税として課税 |
| 非課税口座Tax-Free Account | Roth IRA、Roth 401、HSA、Muni(地方債) | なし | 非課税(積み立て時に所得税課税) | ||
| 課税口座Taxable Account | 課税対象の投資口座 | 運用益に都度課税 | 売ってキャピタルゲインが出ると課税。買うための入金は自由 | 売却益があればキャピタルゲイン税として課税 |
つぎに、運用中の利回りが非課税か、あるいは税遅延措置があるかないかがポイントです。一般にリタイヤメント口座という名前で呼ばれるものはこの措置があります。最初のグループの401(k)などは税遅延で運用(引き出す時に課税)、2番目のグループのRothタイプは利回りは非課税で運用(引き出す時にも非課税)されます。また、どんな口座で持っていても、地方債は非課税(連邦税)で運用されます。HSA(Health Savings Account)は医療費に使えば非課税で運用・引き出し、医療費以外の用途に使っても65歳以上ならば、運用は非課税・引き出す時だけに課税となります。
最後のTaxable Accountと呼ばれる通常の課税対象口座は、運用利回りはすべて課税対象です。これは口座から実際に引き出すか引き出さないかによらず、たとえば持っている投資ファンドが配当金を受け取ったり、ファンドマネージャがファンドの中で売り買いをしたのでキャピタルゲインが発生した場合(投資者本人はそれらを引き出さず、再投資したとしても)、都度課税がされます。
これもキーポイントになりますので、運用が非課税なのかどうかについて、自分の持っている口座について把握しておきます。
リバランスやアロケーション調整
リスク分散という言葉は、最近では投資をする方のなかでもだんだんと根付いてきた言葉です。ひとつがダメになっても他が大丈夫なように、いくつかにばらけさせるという概念です。しかしながら、なんでもかんでも複数に分散したほうがいいかというとそうではありません。たとえば、以前にも以下の記事でご紹介しましたが、ファンド数は多いほうがリスク分散がされていいとは限りませんし、組み合わせを間違えると複数ファンドを持つことでかえってリスクが集中してしまうこともあります。
正しく投資を理解する – 投資ファンドの種類はいくつか適当?(2)
ファンドを置いておく金融会社も同じように、複数にばらしたからといって大したベネフィットはなく、かえってハンドリングが大変になるという欠点のほうが大きくなります。それどころか、思い切ってひとつにまとめたほうが管理と計画が格段に楽になるというベネフィットが大きいです。
リーマンブラザースの破たんの記憶は、なかなか消し去ることはできませんね。同じことが自分のIRAを置いている会社に起こったら、私のリタイヤメント資金はどうなるのか・・・誰もが不安に思って当然です。
しかしながら、金融機関に託しているミューチュアルファンドやETFは、あくまで投資家である顧客の持ち物です。Vanguardでファンドを持っていても、Charles SchwabでETFを持っていても、どちらもミューチュアルファンド会社やブローケージ会社の持ち物ではなくて、所有者はあくまで投資家です。もしも、それらの金融機関が経営破たんを起こし、返済できない負債が膨れ上がってしまっても、その負債を返済するために投資家の財産であるファンドやETFが使われることはりません。投資家が所有しているファンドと、そのファンドの運営・維持・管理を託している金融会社とは、法的に別々の存在なので、金融会社の経営難のためにファンドの資産があてられるということはないのです。
金融機関がもしも経営破たんを起こして存在がなくなったとしても、ファンドやETFは存在し続けます。ファンドやETFの中には実際の企業の株式や債券が入っており、それらの価値がなくなるわけではありません。ファンドやETFは存在し続け実質的な価値を持ち続けるのです。金融機関がビジネスを停止するような場合は、ファンドやETFはそのままの形で別の金融機関に移管することができます。
FDICやSIPCという金融資産保護のしくみについてご存知の方も多いでしょう。FDICは銀行破たんのときに預金を保護しますが、同じようにSIPCはブローケージ口座を保護します(金融機関が つぶれたら・・・?)。金融機関が経営難のためLiquidation(業務清算)が必要になった場合は、上で書いたように問題なくファンドやETFは投資家に戻されることが多いですが、もしも何か問題があった場合は、SIPCが関わります。SIPCはできる限り迅速に投資家のファンドやETFなどを金融機関から引き上げ投資家へ戻すことに努めます。これは現金での「保証」ではなくて、あくまで投資家が持っていた投資ポートフォリオの中身(ファンドやETFや株など)をそのままの形で戻すことを目標にします。もしも投資家の投資資産のうち、金融機関から引き上げることができず投資家に戻すことができないものがあった場合には、SIPCは一人$500,000(ただし現金はこのうち$250,000まで)を限度にSIPC自体の資産を使って、戻すことができない投資媒体を購入し、そのうえで投資家に戻します。
401(k)はトラストで守らています
マーケットタイミングがいかに危険であり、また成果の薄いものであるかについては、以下の記事をお読みください。
タイミングを計らない、機を見ない投資をするための具体的な方法に、ドルコスト平均法(Dollar Cost Averaging)があります。たとえば、毎月$500ずつを、その時の市場が良くても悪くてもコンスタントに積み立て続けていくというようなやり方です。定期的に買う、つまり価格が高くても低くても買うというこのしくみは、自然と市場がよいときには少ない株数(あるいはファンド・ユニット数)を買い、市場が悪いときには多い株数(あるいはファンド・ユニット数)を買うことになり、自動的に「高いときには少し買い、安いときにはたくさん買う」という作用をつくりだします。自分でタイミングを計ろうとするかわりに、この仕組みに頼るのが一番楽で間違いがないといえます。
たとえば、月々$500ずつ積み立てる場合のドルコスト平均法の効果を見てみましょう。株価の上下とともに、購入株数(積立額÷株価)も上下します。株価が高いときは同じ$500でも少ない株数しか買えませんが、株価が低くなると同じ$500でもたくさんの株数が買えます。これにより、自然と「安い時に買って、高い時には買わない」を実現することができます。

機を見すぎて、なかなか投資に回せないということになると、本来なら利回りを生むべきお金を眠らせておくことにもなります。機を見ないで、コンスタントな投資により、自然になるべく安い時にたくさん買い、高い時には買い控えることをしながらも、できるだけ早くお金を長期投資に回し利回りを生む状態を実現することができます。
誰にでもできる簡単な方法で、資金を積み立てるフェーズではとてもパワフルなやり方です。
では、この同じやり方が、資金から引き出すフェーズではどのような効果になるか見てみましょう。
たとえば、残高$100,000の口座から、月々$500ずつ引き出すことを考えてみます。
株価は上下しますが、毎月コンスタントに引き出します。この場合、同じ$500を引き出すのも、株価が高いときには少しの株数売らなくて済みますが(引出額÷株価)、反対に株価が低いときにはたくさんの株数を売らないと$500になりません。これは、「高い時には少ししか売らず、安い時にたくさん売ってしまう」という好ましくない状態をつくりだしてしまいます。

積み立てフェーズでは「安い時にたくさん買う」という好ましい力で働いていたのが、引き出しフェーズでは「安い時にたくさん売る」という好ましくない状況を生みます。
リタイヤメント資金の引き出しフェーズでは、これはのろいとして働きます。安い時に多くの株数を売ってしまうと、口座に残る累積株数を激減させます。その後たとえ株価が戻しても、株数は少なくなってしまっており、残高の激減をリカバーできません。リタイヤメント資金の早い時期での残高激減は、その後の運用にも暗い影を落とします。複利のパワーが激減し、その後の利回りも減ってしまうからです。
このように、積み立てフェーズでは「高い時は少し買って、安い時にたくさん買う」を実現できたドルコスト平均法ですが、引き出しフェーズでは「安い時にたくさん売って、高い時に少し売る」という反対の効果を生み出してしまうので、コンスタントに定額を引き出すやり方は危険です。また、積み立てフェーズでは、多少高く買ったとしても、それから何十年という長期の投資期間で複利のパワーが享受できるため、長期で投資すれば投資するほど初めの買値の差異は問題にならなくなっていきます。ところが、引き出しフェーズでは、引き出した時点で投資が終わるときです。終わり時点を安値で固定してしまうということは、あとあとリカバーする余地を消去し、リタイヤメント資金に大きなダメージを与えることになります。
よって、リタヤメント資金を不必要に減らすことなく維持しながら引き出しを続けていくためには、機を見るマーケットタイミングの姿勢が必要になります。「なるべく高い時に売り、安い時には少なくしか売らない」しくみを実現することが必要です。この実現には主に2つの考え方があります。
ひとつめは、市場価格が落ち込んでおり、ポートフォリオの額が減ってしまっている場合には、いっさい引き出さないという考え方です。市場全体が低迷しているときは、株式ファンドも債券ファンドも思わしくない状態のときもあるでしょう。そんな場合は、引き出すことを一時休止し、状態が戻るのを待つ方法です。
これを実現するためには、1)生活費の固定生活費と変動生活費の整理をしっかりしておき、状態の悪いときには固定生活費だけで生活していける(旅行やホビーなどは少し見送る)ように整えておく、2)生活費の6か月から12か月の現金プールをしっかり持って置き、引き出しをしない期間があっても現金に困らないようにしておく、3)ホームエクイティローンやリバースモーゲージなどを開いておいて、投資ポートフォリオから引き出さない時には、必要な現金を確保できるようにしておく などの体制づくりが賢明です。
市場が回復し値が戻ったら、計画的に売って、現金プールやローンで開いた「穴」を補てんするようにします。
もうひとつの方法は、持っているファンドのうち、比較的状態のよいもの(市場価値が下がっていないもの)から優先に引き出すやりかたです。株式市場が好調のときには、株式ファンドから、債権の方が好調のときには、債権ファンドからというように、その都度どのファンドから引き出すかを判断します。
ふたつの方法を組み合わせながら、ポートフォリオ維持をしていくことになります。
不動産投資の利益は、大きく二つの要素に分けることができます。ひとつは月々入ってくるレンタル収入で、もうひとつは物件の値段上昇によるキャピタルゲインです。
もちろんどちらも見込める物件がよい物件ではありますが、どちらに重点をおいて期待するかは投資する人によって異なるでしょう。不動産からの収入で老後の生活をサポートしたい人ならば、月々どのくらいの実入りがあるのかというレンタル収入の大きさに焦点を当てます。それとは両極端に位置するのがフリップ投資家で、レンタル収入には全く興味がなく、安く買い素早く手を入れすぐに売ることで大きなキャピタルゲインを狙います。
何にフォーカスを当てて収益性をみたいかで、使う指標も異なってくるわけですが、不動産投資の利益率を測るために使われる指標の代表的なもの三つについて見てみます。CAP、ROI、IRRです。
短くCAP rateと呼ばれるます。Capitalization rateの略で、以下の計算式で求められます。
CAP rate = 年のレンタル純利益(経費差引後) ÷ 物件価格
いくらの物件で、いくらくらいのレンタル純利益を生むか・・を測ります。
市場価格より安く買える穴場物件で、プロパティ税やメンテなどの経費も安く、その割には恒常的に高いレントで貸し出せそうな家はCAP rateが高くなります。
CAPは購入価格しか考慮に入れませんが、ROI(Return on Investment)というのもあって、こちらはいくらポケットから出したか(頭金)をもとに考えます。
ROI = 年のレンタル純利益(経費差引後) ÷ 頭金
CAPとの違いは、ROIは、モーゲージでローンを組みその利子率を上回る収益率を生むことで、利益を増強する場合の収益性を見るのに向いていることです。ローンを組んでの投資は一般にレバレッジとよばれます。手持ち現金は少なく出し、モーゲージをなるべく安く組んで投資します。いくら手持ち現金をだし、いくらくらいのレンタル純利益を生むか・・・を測ります。
もうひとつ、IRR(Internal Rate of Return)というのもご紹介しましょう。こちらは、たとえば10年なり20年なりの期間で、物件を買ってレンタル収入を得つつ、最終的には売却しキャピタルゲインを得るまでのすべての利益を考慮します。いくら現金を投資し、いくらのレンタル収入をもらい、最終的にどれだけのキャピタルゲインを得たかのすべてを含んで、年平均の複利利益率を計算します。株式や債券などとの利回りと比較することができる指標です。
IRR = 簡単な計算式では表せず、すべてのお金の出入りを含めて年利を計算
この3つのどれかの数字は優れていても、どれかは全く優れていないということは大いにあり得ることで、不動産投資をするなら自分はどの指標に重点を置いて考えたいのか、あるいは不動産とミューチュアルファンドなどの比較をしたいのかなど、自分のニーズをはっきりし使うことが必要です。
実際に3つのケースで応用してみましょう。
物件AとBとCがあります。購入価格や、レント(月)、費用(年)の各項目は上記のとおり。
Aは、地方都市の郊外にあるコンドで、若いプロフェッショナル層が好んで住むエリアにあります。物件価格が低い割には、かなりのレントが見込めます。コンドのためHOAなどがありますが、物件価格が低く現金で購入したためモーゲージの支払いなどもありません。
Bは、中都市の一軒家です。そこそこのレントが入り、費用もそれなりの範囲に収まっています。モーゲージを組んで購入したので月々の支払があります。
Cは、メトロエリアのコンドです。それなりのレントをとることができますが、プロパティ税や保険費も物件価格上昇にともないかさみ、HOAやメンテナンスにも費用がかかります。モーゲージを組んで購入したので月々の支払があります。また、この大家さんは忙しい日々のなか自分でレンター管理をするのが大変なので、物件管理会社に委託しています。その費用は雑費に含まれて計上されています。

このような状況にある3つの物件のCAP、ROI、IRRを計算してみましょう。
物件の保持期間はここでは10年としました。

Aは、CAPもROIもIRRもそこそこの数字が出ています。物件価格の割にレントが高いこと、費用がかかりすぎないことで、CAPは6.29%が出ています。また、モーゲージを組まず、100%現金で買っています(レバレッジなし)ので、ここではCAPとROIが同じ数字になっています。物件価格は年平均2%ぐらいずつの割合で伸び、最終的には$170,000強で売却、IRRを計算すると8.29%という数字でした。これは投資した$140,000に対し、レントの純利益とキャピタルゲインまで含めると年平均8.29%の利回りが出たことを意味しています。
この8.29%という数字をどう見るか、比較できる対象として、株式60%・債券40%のポートフォリオの過去成績が下記の通りです。

株式を含むミューチュアルファンド投資で、いい時もあれば悪い時もありますが、1926年から2016年の間の年平均をとると8.70%という数字です。上の不動産投資ではこれとコンパラブルな利回りが出たことになります(もちろん投資時期が異なりますので、対等比較はできません。あくまで目安ということで)。
Bは、レバレッジ(モーゲージローン)を上げて、自己投資額は$30,000で投資した例です。レントもそこそこ、プロパティ税やメンテナンスなどの費用もそこそこですが、ただモーゲージ支払いがあるため、全体的な費用は大きくなり、そのせいでCAPはわずか1.66%です。その代わり、自己投資$30,000に対しては、13.83%のROIとなっています。レバレッジを上げると、月々の収益率は衰えるが、その分投資に対する利回りが上がるという典型的な例です。この物件は、10年間の間、年々3%推移で物件価格も上昇し、最終的なキャピタルゲインを含んでのIRRは27.83%でした。物件選択の目利きがあったこととレバレッジの威力との相乗効果で、上の株式60%・債券40%の利回りとは比較にならない大きな利回りが実現できています。
Cは、メトロエリアの物件価格が非常に高い物件です。レントも$2,500とそれなりに高いのですが、AやBと比較すると、物件価格の割にレントがそれほど伸びないという痛い特徴があります。物件価格は大きいので、プロパティ税も高く、コンドでHOAもあります。自己資金も$160,000投じたものの、モーゲージも$250,000組んでいるのでモーゲージ支払いが発生し、さらに自分で管理することが難しいため管理会社を使っており、その費用もあるので最終的にはCAPはわずか0.57%という寂しい数字です。自己資金をそれなりに出しているものの、純利益はなかなか上がらないので、ROIも1.45%です。年々のレンタル純収入はそれほど期待できなくとも、メトロエリアならではの物件上昇が見込めると思いきや、近くで山火事の影響があり、エリア全体的に物件価格が頭打ちになりました。最終的にキャピタルゲインは出たものの、IRRは6.93%となりました。このケースは、山火事の影響という不動産ならではのリスクに影響された例でもあり、これならミューチュアルファンド投資のほうがよっぽどよかったと後で後悔するタイプのケースです。
このように、不動産投資の収益性は物件によってまちまちですし、どの指標でみるかでも評価が異なってきます。どの物件にするかという判断も大切ですが、不動産にするかそれ以外の投資にするかという判断も大切です。
これで不動産シリーズは終わりです。不動産は大きく儲けられる可能性を秘めています。スキルのある人、単に運が良かった人は大きく資産を伸ばすことができます。反対に、スキルのない人はインデックスファンドやREITのほうがよっぽどよかった・・ということにもなる危険性をはらんでいます。自分のスキルとタイプ、何を目指すかを吟味したうえで判断をされるとよいでしょう。
今回は、不動産収入でリタイヤメントをサポートすることについて考えます。
レンタル収入で年々6%を得る、不動産は値が下がることはない、年々着実に物件価格は上がっていく・・・というのはよく聞く不動産投資の魅力ポイントです。401(k)にためたミューチュアルファンドなどの投資なら、利回りだけでなく少しずつ元金も崩しながらリタイヤメントの生活をしていくことになりますから、年々残高は減っていくことになります。これに比べ、不動産収入ならば、年々家賃で6%を手にしながらも、物件に投資された元金は手付かずのまま物件価格は年々上がっていく・・としたら、こんなにいい話はありません。
ただもう少し踏み込んで考えると、この6%という数字は家賃収入のことを言っているのか、それともメンテ費用やプロパティ税などを差し引いた純粋なキャッシュインフローなのかを明らかにすることがまず必要です。物件によっては費用を差し引いた後、6%のキャッシュインフローがある場合もあるでしょうし、また他の物件では費用を差し引くと3%ということもあるでしょう。また、6%といっても、それが老後の生活をサポートするための十分な収入かという問題もあります。$1ミリオンの物件の6%は月々$5,000の収入となります。ソーシャルセキュリティなどと合わせれば、この物件だけで生活が成り立っていくかもしれません。一方で、$300,000の物件の6%だと月々$1,500ですから、これでは生活費がカバーできないことにもなるでしょう。
ミューチュアルファンドならば、$1,500以上必要な場合に、計画的に元金部分にも手をつけつつ、他の資産と合わせながら、なるべく資金枯渇をしないように配慮して、必要なお金を確保するということができますが、不動産物件の場合には、物件を売るまで元金部分には手が付けられません(エクイティーローンなど負債を負わない限り)。つまり換金性の高い投資で、少しずつ元金をおろせるタイプの投資は、元金もリタイヤメント資金に含めてプラニングができますが、不動産投資の場合は、不動産のエクイティはとりあえず手を付けない資金=リタイヤメント資金ではない・・という前提でプラニングをしていくことになります。元金が不動産という物件にタイアップされ、手をつけることができないというのが、リタヤメントフェーズにおける問題です。
不動産以外に現金化が簡単な資産(401(k)やIRAや課税口座での投資)を十分に持っている場合には問題にはなりませんが、反対に資産が不動産に大きく偏っていると、大きな資産を持っているのにも関わらず、生活のための現金の確保が難しいということもあり得ます。不動産への物件投資は、401(k)やIRAなどの税優遇措置でのリタイヤメント積み立て投資を最大限に使い、それでも余裕がある場合にするというのが一つの基本的目安になるかと思います。
リタイヤメントフェーズで不動産を持つ強みは、自分のリタイヤメントには必要のないお金があり、それは手付かずのまま次世代に相続したい場合にあります。不動産に貯まっているお金には手を付ける必要はなく、そのまま相続すると、キャピタルゲインが消滅した形で受け継ぐことができるので大きな節税効果があります。自分のリタヤメントで必要となる生活費を補って余るお金がある場合には、不動産投資という形で次世代にお金を相続するのは大きな利点です。
株でも不動産でも投資をするなら、リスクコントロールの基本は分散(ダイバーシフィケーション)です。Amazon株にだけに賭ければ、好調な時は大当たりでたくさん儲かりますが、不調な時は激減する可能性もあります。大当たりはしなくてもいいから大外れもしない状態にするためには、分散投資しかありません。
株をはじめ債券などの投資媒体では、正しいポートフォリオを持つことで、最適なリスクレベルを維持することができます。さまざまな投資媒体をうまく組み合わせ、投資額をうまくバラつかせることで、ひとつの株やひとつの債券にリスクが集中することを避け、ひとつが赤字でも他では黒字、差し引き適度に黒字という状態を作り出すことができます。分散を市場全体(インデックス)の範囲まで追求したのがインデックスファンドで、市場に含まれるすべての株式(なり債券なり)に分散投資しているため、個別株(個別債券)の持つリスクはほぼ消滅している状態となります。
これに比べ不動産投資は、非常に大きな投資額がひとつの物件につぎ込まれ、結果的にリスクが極度に集中することになります。たとえ何件かの物件を持っていたとしても、不動産市場が低迷しているときは、どれも低迷という状況になりかねません。また、不動産というものは多くの不確定要素を含んでおり、計り知れないリスクも抱えることになりかねません。天災、雨漏り、水道管の破裂、カビ問題、問題のある隣人、事件や事故、ローカル経済の不調、訴訟問題など、これらはファンド投資ではまったくする心配のないリスクであり、不動産という不動の現物があるからこそ存在するリスクです。「紙切れではない、現物がある」ことが、裏目に出る可能性です。
都市部などでは持ち家が高額で、持ち家をもっているというだけでかなりの不動産資産を持つことになります。その上、リタイヤメントのための投資にも不動産を持つとなると、個人の総資産の非常に多くのパーセンテージが不動産投資に集中することになります。
たとえリスクがそれなりにあっても、良い物件を見極めることができ、キャッシュフローなりキャピタルゲインなりの利回りが出る確率が高いと判断する能力がある人には、不動産投資もよいと思います。ただし、不動産価格が下がったり、メンテや災害対策にお金がかかったとしても、リタイヤメント後の生活費を含め困らないで対応していけるだけの、十分な現金、あるいはすぐに現金化ができる資産(ミューチュアルファンドなど)を持っていることが条件になるでしょう。それほどのスキルがない人、あるいはリスク集中による「もしもの損失」に憂慮があるひとは、インデックスファンドによる分散投資の方が向いているでしょう。
レンタル収入でリタイヤ・・と聞こえはいいですが、リタイヤしたからといって何もしなくていいかというとそうではありません。会社勤めや自営業などの労働はリタイヤするとともに、完全に手を引くことができますが、レンタル物件は、前回までで見たように、レンターの募集、選択、コミュニケーション、メンテナンス、修理、ビジネス情報管理などの労働をともない、これは物件を持つ限り消えてなくなりません。バケーションに出かけても、レンターからの苦情対応を余儀なくされることもあるかもしれません。
年をとれば自分の家まわりやお金の管理だけでも面倒になるかもしれないのに、レンタル物件についてまで・・というのは、人によっては負担に思う人もいるでしょう。前回見たように、自分のスキルや適性とも相談しながら、大家業を続けながらリタイヤすることについて吟味するのがよいでしょう。レンタル物件について迫られる様々なビジネス判断(たとえばレントをいくらにするか、レントをあげるかあげないか、どのレンターを選ぶべきか、改修のプライオリティや時期はどうするかなどなど)は、夫婦間での意見の食い違いにも及ぶことがあり、リタイヤメント後の生活の質にネガティブな影響を与える可能性もあります。
物件管理会社を使うのならかなりそのあたりのビジネス作業からは解放されるかもしれませんが、その場合はレンタル収入から年間4%から多いと12%もの管理料が差し引かれることになります。不動産投資はしたいが、自分で細かな管理がしたくないというのなら、REITを購入するほうが、理に適うかもしれません。
リタイヤメントでの不動産投資はこのあたりの「数字ではない部分」についても、よく考えて進める必要があるかと思います。
典型的なアメリカのリタイヤメントを迎える夫婦のケース(Federal ReserveのSurveyに基づいて)を使っています。詳細は次のとおり・
401(k)やTraditional IRAなどは、70歳半(2019年末SECURE ACTにて72歳に変更)になると、そこからお金を使う必要がなかったとしても、最低限の引き出し額(Required Minimum Distribution :RMD)を引き出すことが義務付けられます。これは、リタイヤメント資金準備目的がゆえに税優遇のあるプログラムでお金を貯めながら、実はあまりリタイヤメントに使わず、税優遇を受けたまま次世代へ相続するなどの使われ方を防ぐ意味があります。年々最低限の額は引き出させ、課税するというのがRMDの存在意義です。
RMDは年齢と残高によって毎年計算されます。この残高は401(k)やTraditional IRAなどの総額(Roth IRAはRMD不要で、これに含まれず)が使われ、RMDを具体的にどの口座から引き出すかについては自由があります。これを怠ると高額のペナルティがありますので気をつけます。
・・・というわけで、RMDはどちらかというと、「(引き出したくなくても)引き出さないといけないもの」、「引き出し忘れるとペナルティがあるもの」というネガティブなイメージだけがつきまといがちだったのですが、このRMDをリタイヤメント資金引き出しの指標として使ってみたところ、うまいぐあいに引き出しが調整されて、しかもリタイヤメント資金が枯渇することなく最後まで保たれた・・というシュミレーションを、今回、見つけたわけです。
まず、RMDのシュミレーションの話に入るまでに、リタイヤメント資金を使うフェーズで、キーとなるポイントをまとめてみます。詳しくは、下のシリーズをお読みください。
リタイヤメント資金の賢い引き出し方(1) - 相続と複数口座
リタイヤメント資金の賢い引き出し方(2) - 老後の資金運用ポートフォリオ
リタイヤメント資金の賢い引き出し方(3) - 毎月の生活費の確保のしかた
リタヤメント生活に入る前に、無駄な出費を削るための生活の見直しをする。
2008年の3月に、10歳の息子と6歳の娘のために、深い考えもなく限度額の$2,000ずつをそれぞれを入れました。深い考えもなく適当にミューチュアルファンドを選び、その後追加で積み立てることもなく、メインの教育資金は529で貯めていたので、ほとんど忘れていた口座でした。残高はほとんどチェックもせず、$2,000入れただけだからどうせカレッジ費用の大きな足しにはならないと気にかけてもいませんでした。
529はBeneficiary変更も簡単で、高等教育に使わねばならないという縛りはありますが、そのまま置いておいて子どもの子ども(つまり孫)や親せきなど名義変更がフレキシブルなのに対し、CoverdellはBeneficiaryが30歳になるまでの教育に使わねばならないというルールがあります。存在を忘れてしまって使い忘れないようにと、一応記憶のどこかにはおいていたような、そんな口座でした。
Coverdellについてはこちらの記事を:カレッジ費用を貯める(2) - beyond Roth-IRA and 529
ところが解約してみたら、思ったよりもお金が増えていました。残高は$7,000以上。解約するときカスタマーサービスの人に聞いたら、2008年3月に口座を開設したとのことなので、10年足らずで$2,000が3.5倍以上になったということです。

Morningstarで調べてみるとここ10年の動きは下記の通り。当時の主人の雇用主のリタイヤメント口座にくっつけて開設したので、雇用主指定のTIAA-CREFファンドを使いました。「ファンドのExpense Ratio(手数料)には気をつけましょう! 低手数料ファンドを使いましょう!」と言っている私なのに、このファンドのExpense Ratio 0.71%はちょっと手数料が高いです。。よく見ずに入れて、その後もチェックを怠っていた証拠で、反省・・・。

しかもこのMid-Cap Value Fund、何の考えもなく適当に選んだのを覚えています。$2,000だし、とりあえずこれでいいか・・というようないい加減な選び方なので、何の参考にもしないでください(今ならば、Mid-CapやValue株ではなく、Total Stock Fundでまんべんなく投資をするほうを選んだと思います)。
投資を開始した2008年の3月は上の図の赤矢印の時点です。ちょうど、これからサブプライムバブルがはじける直前、金融恐慌目前の、後で考えれば一番残念な時点で投資をスタートしたことになります。
まとめると・・・
というかなり気の入らないいい加減投資でしたが、でも投資期間10年に満たない今、元金の3.5倍になりました。決して失敗ではなく、成功例ですね。この成功の要因は、このブログでもいつもご紹介していることですが、それを今一度振り返りたいと思います。
成功要因は・・
Diversification(多様化):このファンドは、Total Marketなどの市場全体に投資するものに比較すると、ずっと限られたMid-CapのしかもValue株と投資対象が限定されていますが、それでも229種の株に投資しており(2018年1月現在)、Diversificationが確保されていた。
何ももしなかった:金融恐慌時には、元値の半分以下まで値が下がったものの、そのまま持ち続けた。一番上の図を見ると、Quantityは302.01となっています。つまり当初の$2,000で、このファンドの302.01シェアを購入したわけです。1シェアあたりの値段はその後の恐慌で大きく値を下げましたが、売りも買いもしないので、この302.01シェアというシェア数はこの10年間変わりませんでした。その後値戻しの時期も、この302.01のシェアのまま値戻しの上向きの波に乗れたわけです。もしも売ってしまっていたら、シェア数が少なくなりますから、上向きの波には乗れず損だけが残ったでしょう。
10年間経った:これは時間が経っただけ。でも投資においてはこのまとまった時間が大きな味方です。1年、2年では金融恐慌などのように何があるかはわかりません。大きく下がることもあります。3年、4年だと下がった値段が十分戻って上向きになるのにちょっと時間が足りないかもしれません。でも10年あれば、かなりの確率で勝てることになります。思い立ったら投資する・・これが投資で成功する大きな秘訣です。
これがよくDiversifyされた株投資の力です。適当に選んだExpenseも決して最低レベルではないファンドですが、されどUS株式市場の229株式に投資したファンドでした。大きく値が下がった時期もありますが、10年を通算して平均すれば、13.5%/年の利回りです。
ちなみに、同じ2008年の3月に娘にも同額の$2,000をかけていました。こちらも適当に決めたTIAA-CREF Small-Cap Equityで、こちらは現在$8,176です。4倍以上に増えました。この結果で、Small-CapのほうがMid-Capの方がよかった・・ということが言いたいのではありません。これはたまたまの結果とも言えます。ポイントは、よくDiversificationが図られた株式に長期投資することのパワーです。巷では、今はこの株がいい、このファンドがいい・・などといろいろなアドバイスが飛び交いますが、実際どの株、どのファンドと迷うより、とりあえずDiversificationが確保されたファンド(手っ取り早いのはインデックスファンド)に投資しておけば、すでに大きな一歩を踏み出したことになるということです。
ちなみに、たとえば株式投資のパワーを不動産投資と比較してみましょう。2006年から2016年の表になりますので、2018年の傾向はそれぞれの線をなんとなく右に伸ばして予測するしかありませんが、グリーンの全米市場でも黄色のニューヨークでも2008年3月時に比べて、完全に値が戻っていないように見受けられます。サンフランシスコでは2008年に$700,000くらいだったのが、2018年に$900,000くらいには戻っていると予測したとしても、これは1年あたり3%弱の利回りです。

不動産投資の場合、このキャピタルゲインに加えて、年々のレンタル収入が見込めますが、これが10%($700,000の家であれば、すべての費用を差し引いた純レンタル利益が$70,000)あれば、3%+10%で上のミューチュアルファンドの13%ととんとんのパフォーマンスとなります。しかしながらこれは決して簡単に出せないパフォーマンスではないかと想像します。
不動産投資がよくないと言っているのではありません。不動産投資の目の効く人は年間13%より大きな利益が出せる可能性もありますから、どんどんすればいいと思います。ただ、投資などよくわからず、面倒なこともしたくない人には、Diversificationされた株式長期投資はかなり魅力的な選択肢であるということです。もちろん過去にうまくいったことは将来に絶対うまくいくとは限りませんが、アメリカ経済が成長する限り・・いやアメリカだけに限るのはちょと危ないと思えばグローバルに投資しましょう!・・世界経済が成長する限り世界株式市場にDiversificationされた長期株式投資は・・かなりの確率でそこそこの利回りを出すのではないかと予想できます。
前回、2ファンド、3ファンド、4ファンド、6ファンド型のポートフォリオを紹介させていただきましたが、これらの代わりに1本のファンドで投資してしまう方法もあります。ふたつのタイプがありますが、ひとつはライフサイクルファンドと呼ばれるタイプのファンドで、Vanguardの場合ですとVanguard LifeStrategyという名前で出ています。ライフサイクルファンドは、たとえば株20%:債券80%というアロケーションを決めれば、その割合ですでに適切なファンドが組み合わされて投資されているファンドです。VanguardのLifeStrategyは以下の4つのアロケーションタイプがあり、自分のニーズに合わせて選ぶことができます。

実際に投資しているファンドは、先にご紹介したVanguard4ファンド型の4つの基本ファンドで、それぞれのアロケーションで投資されています。たとえば三つ目のModerate Growthの場合なら下記のような組み合わせで投資されています。

4つのファンドを組み合わせたライフサイクルファンドLifeStrategyは、必要に応じ4つのアロケーション比率から適切なものを選びますが、この選んだアロケーションは、時間が経っても固定です。Moderate Growthタイプを選んだなら、何年たっても株式60%:債券40%の比率は変わることがありません。もしリスクを低下させたいと思うなら、Conservative Growth へ乗り換える手続きが必要です。
このアロケーションの比率を固定ではなくて、時間の経過とともに(投資期間が短くなるにつれて)自動的にリスク低下させる、つまり株式比率を下げて債券比率を上げる調整をしてくれるのがターゲットデイトファンドと呼ばれるものです。

Vanguardの場合、どちらも4つの基本ファンドを使っていることでは同じですが、ライフサイクルファンドは比率が固定、ターゲットデイトファンドでは時間経過とともにリスク低下するように比率調整がされます。VanguardのターゲットデイトファンドはTarget Retirement Fundという名前で出ています。ターゲットデイトファンドには、たとえばVanguard Target Retirement 2040などのように、名前の一部として年号が入っています。Vanguard Target Retirement Fundの年齢の変化につれてのリスク低下調整のスケジュールは下記のようになります。

ターゲットデイトは5年おきの設定になっていますので、たとえば2037年にリタイヤする予定であれば、2035年ファンドと2040年ファンドのどちらかを選ぶか、ふたつを組み合わせることで、ちょうどよいミックスをつくりだします。
以前は401(K)などでは、いくつものファンドを組み合わせて自分でポートフォリオを組む必要がありましたが、最近ではこのターゲットデイトファンドの登場により、自分のリタイヤする年号を選ぶだけで投資は終わりというケースが多くなっています。2006年にPension Protection Actが制定されて以降は、401(k)などのプランに加入した場合のデフォルトの投資オプションとして、このターゲットデイトファンドが使われることがますます多くなりました。2016年末にはターゲットデイトファンドに投資されている投資高が$880ビリオンに達しました。競争の激しいターゲットデイトファンドですが、マーケットシェアは一位がVanguardで30%強、二位がFidelityで20%強、三位がT. Rowe Priceで17%弱で3社で70%を占めています。
ターゲットデイトファンドの手数料は2016年の業界平均で0.71%(Asset-weighted Average)でした。Fidelityは最安で0.12%で、Vanguardが次いで0.13%となっています。最近のMorningstar社のレポートでは、手数料の高さとファンドのパフォーマンスには直接的な関連はないと報告されています。パフォーマンスの差は、手数料の高さではなくて、アロケーションの差による(株比率が高いほうがパフォーマンスがよい)という結果でした。自分が許す範囲のリスクをとりつつも、なるべく低手数料のターゲットデイトファンドを選ぶのが得策だと思われます。
先にもファンドは混ぜすぎない、重複のないファンドをシンプルに持つことの大切さを書きましたが、この考え方はターゲットデイトファンドにもあてはまります。ターゲットデイトファンドはすでに投資のアロケーションが最適化されています。いろいろなファンドを自分で選んで組み合わせる必要がないように、すでにいろいろなファンドを混ぜてつくられた総合ファンドです。つまり、その時々でのダイバーシフィケーションが最適な状態になっているということです。これに、他のファンドを追加で選んで加えるということは、最適な状態をくずすことになりますので、好ましいことではありません。一般的な使い方においては、ターゲットデイトファンドは基本的には混ぜないというのがおすすめです。
ただひとつ混ぜてもOKの場合があるとすれば、たとえば先にも書きましたが、2037年にリタイヤしたいが、2035年か2040年かどちらかのファンドに決めなければならないのでどうするか・・・というような場合は、2035ファンドに50%、2040ファンドに50%という選択をすることはOKです。そもそも年号が違っても中に入っている投資媒体は同じものであり、比率が違うだけですから、この二つのファンドを混ぜることはアロケーションをいびつにすることはありません。単にアローケーション比率がふたつのファンドの中間になるイメージです。このような調整はOKです。
おつかれさまでした、これでこのシリーズ わかる長期投資 はおしまいです。
投資期間に従って許す限りのリスクは、リタイヤメント資金などの場合であれば、年齢によって提案されることが多いです。よく使われるやり方は、100から年齢を引いたものを株式比率とするというやり方です。下の一番左の表になります。これだとかなり保守的なアロケーションになりがちなので、110や120から年齢を差し引くというのも使われます。真ん中と右の表です。この表のうちどれかひとつを選ばねばならにというわけでもなく、最初は一番右の比較的アグレッシブなやり方ではじめ、年齢が上がるにつれて真ん中や左の表にシフトしていくというやり方もあります。

大切なのはあまり考えすぎないことです。多少比率の数字が違っても大きな問題になることは、長期的に見ればあまりありません。株式比率が10%違ったところで、天と地が分かれるような差が出ることはありません。長期的に見れば、もし問題があっても次第に調整していき、最終的に問題がないように持っていくことは十分できます。どのアロケーションでなければ絶対にいけないというように考えず、だいたいこのくらいなら大丈夫だろうと始めることのほうが大切です。
なお、ここで株式比率を上げるとリスクが上がりますが、第一回目でご紹介した分散投資において、分散が少ないとリスクが高かったのを覚えておられますか?分散を上げていきひいてはインデックスファンドでの市場指標全体への分散投資で、リスクを下げました。ここで下げたリスクと、上の図で株式:債券の比率を変えることで上げ下げしているリスクは少し性質が違います。第一回目でご紹介した分散投資で調整できるリスクは、Diversifiable Risk(ダイバーシフィケーション可能なリスク)と呼ばれ、このリスクをとることは意味がない、つまり必ずしもハイリスクをとってもハイリターンになると限らないものとされています。別な言い方をすればダイバーシフィケーションすればなくすることができるリスクであり、なくすことができるリスクをわざわざとる必要はないということです。
反対に、ここでご紹介しているアセットアロケーションを変えることで調節するリスクはUndiversifiable Risk(ダイバーシフィケーション不可能なリスク)と呼ばれ、このリスクをとる意味はあります。ダイバーシフィケーションではなくすことのできない、真の市場にあるリスクとでもいいましょうか、とる価値のあるリスクです。これゆえ、まずは1)インデックスファンドで分散を最大化して市場にある真のリスクだけを残してあとはなくすることができるリスクは分散し、2)次にそのインデックスファンドをつかってアセットアロケショーンをして必要なリスクレベルをという順番になるわけです。
株式と債券のアロケーションが決まりましたので、次はこの株式カテゴリーの中と債券カテゴリーの中で、それぞれさらにダイバーシフィケーションを確保していきます。
株式(Stock)と債券(Bond)が大カテゴリーとすると、その大カテゴリーをさらにブレイクダウンしたのが中カテゴリーで、株の場合ですと、US国内株式、先進国株式、新興国株式などに分かれ、またその中カテゴリーがさらに細かく分かれます。US国内株式の場合なら、資本サイズごとにLarge-cap, Mid-cap, Small-capに分けたり、あるいはセクター(業種)ごとにIT株、ヘルスケア株などに分けたりします。

よく使われるお薦めのダイバーシフィケーションの確保のしかたは、中カテゴリーレベルで行う方法です。US国内株式であれば、Total Market Indexを追随するインデックスファンドを選ぶことで、国内株4,000株にダイバーシフィケーションすることができます。中カテゴリーのこのインデックスを選ぶことで、小カテゴリのLarge-cap, Mid-cap, Small-capのどのレベルも、またIT株やエネルギー株などどのセクターもカバーしており、小カテゴリーレベルで組み合わせをするより簡単です。この考え方は先進国株や新興国株にもあてはまり、それぞれDeveloped Market Stock Indexや Emerging Market Indexをフォローするインデックスファンドを購入することで、小カテゴリーのレベルで組み合わせを行わなくとも、すべて含んでダイバーシフィケーションを行ったファンドに投資をすることができます。同様に、この考え方はBond(債券)にも適用することができます。
すべてを上記の中カテゴリーのインデックスファンドを使ってポートフォリオを組む場合を考えてみましょう。業界でも低手数料で知られるVanguard社のインデックスファンドを使うとすると、投資するファンドは下のようになります。Vanguardでは先進国と新興国を「外国(International=US以外)」としてまとめていますので、6カテゴリーではなく4カテゴリーになっています。

Total International Stock Index Fundは先進国株式(US以外)が約8割で新興国株式が約2割でミックスされています。Total International Bond Index Fundは4%ほどが新興国に割り振られています。債券の場合は、株式より新興国に割り振る比率が少なくてよい(新興国の強みはあくまで株式市場の特殊な成長機会にある)という考え方です。
投資期間に従って許す限りのリスクをとりつつ、具体的なファンドを選んで投資するまでのステップは
さてカテゴリーの中でのダイバーシフィケーションは、カテゴリーごとのインデックスファンドを購入することで実現できることがわかりました。次は、カテゴリーを超えたダイバーシフィケーションを行います。カテゴリーごとのインデックスファンドを組み合わせて、さらなるダイバーシフィケーションを行います。これが2段階目のダイバーシフィケーションです。
まず、二段階目のダイバーショフィケーションを行うにあたって、決めなければならない第一関門が、株と債券の比率です。先に、投資の対象は大きく、1)株、2)債券、3)それ以外に分かれると書きましたが、このうち投資の2大柱は1)の株と2)の債券です。株と債券の比率を決めダイバーシフィケーションを行うこの作業は、アセットアロケーション(資産配分)という名前で呼ばれたりもします。
今まで株式を使って説明を進めてきました。株式は会社の一部を所有する権利であり、株に投資するということはその会社に出資し資本参加をするということです。会社が業績を上げれば配当金あるいは株価の上昇という見返りが期待できる反面、会社がつぶれれば株式はなんの価値もなくなる可能性もあります。会社の将来への賭けであり、ハイリスク・ハイリターンといえます。
一方で、債券は、「いついつが満期でいつまでにいくらお返しします」と約束に基づき有価証券という形で発行されるものです。債券の場合は、その約束が約束通りに遂行されない、つまり利息や償還金が払われなかったり、あるいは財務状況の悪化のせいで債券自体の価格が下落するリスクとがあります。債券は債券なりのリスクがありますが一応「約束」がベースになっているので、経済のさまざまな不確定要素や企業の経営成績次第で価格も配当金も大きく変わる株式に比べると、リスクが低いものです。概して集合として考えるとき、株式は比較的ハイリスク・ハイリターン、債券は比較的ローリスク・ローリターンということになります。よって高リスクが取れる場合は株式の比率を上げ、反対にリスクがあまりとれない場合には、債券の比率を上げるということになります。
実際株式と債券の比率を変えると、どのくらいリスクとリターンが変化するのかを見てみましょう。下の表は、Vanguard社調べのデータに基づいたもので、1926年から2015年までの90年間のS&Pなどのアメリカ国内インデックス指標の過去データをもとに、それぞれの比率で投資を行った場合、年間平均でどのくらいの利回り(リターン)を記録することができたかと、90年間中前年比損失が出た年は何年あったか(ある意味でのリスクの指標)を並べたものです。これはあくまで過去データでの実績なので、今後もこのようなアロケーションをした場合、この利回りが出るというように短絡的にとらえることは危険です。あくまで、ハイリスク・ハイリターンの株とローリスク・ローリターンの債券の比率を変えていくと、どのように期待されるリスク・リターンが変化するかを感覚的にとらえるためにご覧ください。

株式:債券が80%:20%のアロケーションでは、90年間の平均利回りは9.50%と高利回りですが、90年間中23年も損失が出た年がありました。株式比率が下がり債券比率が上がっていくと、平均利回りは下がっていきますが、同時に損失が出た年の数も下がっていきます。より騰落の激しさが少なくなり、リスクがさがっていくのを意味しています。株式:債券が30%:70%になると、利回りは7.20%、損失が出た年数は14年にまでなります。
さて、ではどのレベルのアロケーションの比率を自分は取ればいいのか?これが多くの場合、ポートフォリオ組むにあたっての、一番大きな決断でもあります。
以下にどのレベルのリスク・リターンを狙うべきなのかを決めるにあたっての要素についてご紹介します。
たとえ一時的に値下がりしても、長期の投資であればあるほど、値がもとに戻りさらには値上がりするまで待てることになりますから、結果的にリスクをより許容できることになります。市場にはアップ・アンド・ダウンはつきものですから、この長期的投資スパンというのは、許容リスク・レベルに最も影響をあたえる要素のひとつです。
よって、リタイヤメント資金を貯める場合50歳の人より20代の人はより大きなリスクをとれることになります。20代で投資を始めて、株式比率を上げてアグレッシブに投資をはじめ、たとえ30代で大きな金融ショックで株式が暴落したとしても、まだリタイヤメント資金を使い始めるまでには30年以上ありますから、まったく気にすることなくそのまま持ち続け、そのうち株価が戻りさらに上昇をしていくまで待つことができます。反対に50歳の人はあと十数年で資金を現金化する必要があるでしょうから、ある程度は待てますが、20代の人ほど楽観的に待つことができません。よって、リスクを下げた運用が好ましくなります。
長期的に投資できると思ったものの、途中、家の修理が入って引き出すことが必要になったり、雇用が不安定になって投資アカウントに手をつけざるを得なくなるなど、長期的投資を阻害するようなことが起こらないか、万が一の場合の余剰資金が別に確保してあるかというようなことも考慮に入れます。長期スパンで比較的リスクを高めに投資していたら、前述のような不慮の事態となり、投資が値下がりしているのにもかかわらず、引き出したりあるいは解約したりを迫られることになれば、当初の投資の目的を達成できないばかりか、低い値段で売らざるを得ず予期せぬ損失をこうむることにもなります。このような場合は大きなリスクがとれません。
急な家や車の修理、予期せぬけがなどに対応するためには、すぐに引き出せるお金として生活費の3から6か月を非常時の蓄えとして現金でためておくことが下準備になります。また、車の買い替えや予期できる家の修理など、あらかじめ予定がたてられるものは、お金が必要になる時期を見越して別ファンドとして貯めておくことも必要です。このふたつの準備が整ったうえで、残ったお金を長期投資に回すという考え方をすれば、投資資金への不確定要素や阻害要素はかなり低くできるはずです。
わからないもの、理解できないものほど、人を不安にさせます。不安になると人は最善でない決断をしてしまうことがあります。たとえば、市場暴落の際、これは大変だとあわてて売りにでてしまうなどというのがこの例です。ここでポイントとなるのは、市場の読み方や売り買いの見極め方などのテクニック的なことは必要なく、長期投資とは何なのかについての理解のほうが重要です。適切にダイバーシフィケーションを行って運用している投資であれば、たとえ市場暴落の場合もゆったりと構えていられる姿勢をとり続けられるだけの知識と自信が必要になります。これは決して難しいものではありません。ただ、正しい「心構え」が必要です。「市場が暴落して投資資産が三分の二になっても、うろたえません」と言えることが必要です。逆にこの覚悟ができない場合は、リスクをあらかじめ低くして運用する必要があります。以下の記事をお読みください。
たとえば、「××ドルの元手で○○年までに△△ドル貯めたい」という目標がある場合、では逆算するとどのくらいのリターンが必要になるかを割り出すことができます。このアプローチは、「許容リスクをまず決めて、それに伴ったリターンを得る」の姿勢の逆をいくもので、「必要なリターンがこれこれだから、そのくらいのリスクを許容する」という姿勢です。ただこのやり方は、実際にはあまり使われていません。
実際アメリカでリタイヤメントをする場合、すでに大きな資産が貯まっているとか、不動産収入などのようにリタイヤメント以降も定期収入が見込めるというような場合でない限り、毎年できるだけ多くの積み立てを行い、できるだけリスクをとりつつ運用することなしには、十分なリタイヤメント資金を準備することができない場合がほとんどです。長いリタイヤメント生活を金銭的にサポートし、医療費や介護費などのためにもある程度余裕のある資金準備をするとなると、ローリスク・ローリターンではなかなか資金準備が進みません。よって、必要なリターンの計算をするという考え方より、通常はその時点で許す限りのリスクをとりつつリターンを上げていくという方法がとられます。
上の1~4を総合的に考えてまとめると、結局、長期資金準備をするにあたっては
ひとことでダイバーシフィケーションと言っても、投資する対象にはいろいろなものがありますから、いったいどこから始めればよいのか戸惑います。投資できるものには、アメリカITの花アップル株、日本の手堅い新日鐵住金株、インドの新興テック企業の株もあれば、カリフォルニア州債、フランスの国債もあれば、ロシアの不動産、スイスの電力会社債、金もあれば、穀物の先物まで、いろいろです。こんなにたくさんある投資の対象物を前に、うまい具合にダイバーシフィケーションを実現するというのはなかなか大変なことです。
たとえばさまざまな食品を前に、バランスの取れた食事をしましょう・・・と言われても、何をどれだけ食べればよいのか戸惑うのと一緒です。食品はカテゴリごとに分類されていますね。炭水化物類、たんぱく質類、野菜類、フルーツ類・・などというようにグループ分けされたものからそれぞれをバランスよく摂取します。それと同じで、投資媒体もグループ分けで考えると始めやすいです。
投資の場合は、大きく分けて、株式グループ、債券グループ、その他に分かれます(もっといろいろなグループがありますが、ここでは3つに簡略化します)。株式グループもさらに、グループに分かれますが、グループ化のしかたは様々な方法があります。たとえば、大型株、中型株、小型株と資本総額の大きさで株式を分ける方法や、アメリカ株、日本株などというように国で分けたり、先進国株、新興国株などというように国の経済発展度によって分けたり、分け方はいろいろです。債券についても同様です。
いきなりすべての投資対象を前に、ダイバーシフィケーションを試みるのではなく、まずは 1)カテゴリーごとに分けたそのカテゴリー内でダイバーシフィケーションを行い、今度は 2)そのカテゴリーを組み合わせてさらにダイバーシフィケーションを行うというように2段階の考えをすると、少しマネージがしやすくなるのをイメージしてください。
では、株を例にとって、株グループの中でのダイバーシフィケーションを考えてみましょう。前回、株式は増やせば増やすほどリスク分散効果は高まり、ダイバーシフィケーションの効能が得られることを書きましたが、この「増やせば増やす」を自分でやるのは非常に大変です。
たとえば、とりあえず100銘柄を目指したとしてみましょう。自分で100銘柄を買うとなれば、一株何百ドルという株もあるでしょうから、まとまった資金が要ります。そのうえ、いくらずつ買ってミックスするかも計算して割り出さねばなりません。これはなかなか骨の折れる作業です。だいたい100銘柄というのは、実際どの銘柄を選んだらよいかを決めるのもたいへんな作業です。
一番手っ取り早くこれを実現する方法は、インデックスファンドを選ぶことです。インデックスファンドは、ベンチマークとする株式指数(たとえばS&P500など)を選んで、その指標で採用されている株銘柄に投資するファンドで、その意味では適正な(株式市場と同じ構成状態で)ダイバーシフィケーションがなされているファンドといえます。S&P500インデックスファンドなら500銘柄をカバーしているわけで、S&P市場全体にまんべんなく投資しているというわけですから、リスク分散という意味では二重丸です。
S&P500はアメリカ市場のうちでも大企業の500社の値動きに連動したインデックスですが、なにもそれがアメリカ市場のすべてではありません。US Total Market Indexというインデックスがあり、これはアメリカ市場の大も小も、株式が取引されている会社の株はほぼ全部を含んでおり、合計4,000社に投資しています。このインデックスに基づいているインデックスファンドはVanguard社のTotal Stock Market Index Fundが有名ですが、このファンドは$3,000から投資でき、$3,000さえあればこのファンド一本でアメリカ市場の4,000社に分散投資できることになります。
ちなみに、自社株やその他の会社の株を集中して持つタイプの投資をする方がいらっしゃいます。これは何も間違ったことではありませんが、ただ限られた株式に集中投資することは、分散投資とはまるで反対のハイリスク・ハイリターンであることは覚悟される必要があります。
分散投資に戻しますが、自力で4,000社の株式へ分散投資をしようとしたらかなりの資金だけでなく、かなりの手間も伴いますが、Total Stock Market Index Fundを買えば、オンラインでの手続き1クリックで済みます。これがインデックスファンドの威力です。インデックスファンドにはファンドマネージャーがいて、ファンド内の株式が目標とするインデックスの株式に合致するように維持しています。S&P500にせよ、Total Marketにせよ、時折含まれる株式が変更になる(指標の条件に新たに合致する会社ができて新しく追加されたり、反対に条件に満たなくなってはずされたりする)ことがあります。このときには、そのインデックスを追随するインデックスファンドも自分のファンドの中の株式を変更しますが、それ以外は、ファンドマネージャーは基本的に売り買いはしません。つまりインデックスファンドはファンドマネージャーにとっても、多くの労力が必要なものではなく、それゆえ手数料が低い場合がほとんどです。
インデックスをただ追随するだけというこのやり方はパッシブ投資と呼ばれますが、反対に儲かりそうな銘柄を見極めて選んで投資するやり方をアクティブ投資と呼びます。パッシブで低手数料のインデックスファンドは、アクティブでそれゆえ手数料が高くなるファンドに比べると、長期間で見た場合より優秀な成績を収めるということは過去の数多くのリサーチで明らかになっています。儲かりそうな銘柄を見極めるタイプのアクティブファンドは、短期的には大きく当たり高い利回りを記録することはありますが、恒常的にそれを維持することは不可能であることと、手数料が高いことで、長期的におしなべるとインデックスファンドを上回る成績を出すことは非常に困難であることが報告されています。
まとめますと、カテゴリー内のダイバーシフィケーションは、インデックスファンドでするというのが王道になります。インデックスファンドは、株式バージョンも債券バージョンも存在します。そしてそれらは、国ごとのインデックス、インターナショナルインデックス(自分の国以外)、グローバルインデックス(自分の国含む全世界)などのように地域で分かれたり、先進国インデックス、新興国(エマージング国)インデックス、途上国インデックスなどのように国のタイプでくくったりします。
まずはくくったこのカテゴリーの中で、できるだけ多くの種類の対象に投資する、具体的には市場インデックスに投資して、それぞれの市場に存在するすべての株なり債券なりに投資するというのが、ひとつめのダイバーシフィケーションになります。
ダイバーシフィケーション(多様化)とは、一言でいうと、投資する対象を多様化して、数多くの投資対象にお金をばらけさせることで、大外れをするリスクを下げることです。「数打てば当たる」といいますが、ルーレットでひとつの色の一つの数字に全額掛けるのでなくて、10個くらいの数字にお金を分けて賭けをすれば、完全に外れる可能性が下げられるのと似ています。アメリカでよく使われる表現は、「卵は、ひとつのバスケットに全部いれない」という表現で、全部同じバスケットに入れていれば、そのバスケットが落ちたりしたら卵はほぼ全滅ですが、いくつかのバスケットに入れて搬送すれば、ひとつのバスケットに事故があっても、他は大丈夫・・というという考え方です。
ダイバーシフィケーションは、大外れを免れますが、反対にいえば大当たりもなくなります。ルーレットで赤の1に全額掛けていて、もしそれが当たったら大当たり、外れたら大外れですが、10個くらいの数字に分散していれば、もし当たっても小当たり、外れたら小外れです。
リスクと見返りは比例しているというのはご存知ですね。「虎穴に入らずんば虎子を得ず」と言いますが、リスクはとらねば、見返りもありません。そして大きなリスクりをとれば、それなりに大きな見返りが期待できるというように、通常はリスクの大きさに見返りが比例しているものです。そうでなければ、だれも多くのリスクはとらなくなります。それゆえ投資でも、「ハイリスク・ハイリターン」というような言葉が使われるわけです。
ダイバーシフィケーションは、限られたものに賭ける「ハイリスク・ハイリターン」を、分散させていろいろなものに賭ける「ミドルリスク・ミドルリターン」へとシフトすることを意味しています。この「ミドル」という言葉ですが、これはここでは便宜上使っただけで、実は適切な調整をすることによって、自分にぴったりのリスク・リターンレベルを実現することになりますが、これは後への課題として残しておきましょう。ここでは、ダイバーシフィケーションは、投資金額を複数の対象に分散させて、リスクを下げること、大当たりはなくなるが、大外れもなくなる状態を実現することと頭にとめてください。
ダイバーシフィケーションの考え方は様々な投資対象に対して適応できますが、ここではてっとりばやく株を使って説明します。二つの株を考えましょう。A会社とB会社です。A会社だけ、B会社だけ、どちらか一つだけに投資している状態は、ダイバーシフィケーションがまったくない状態です。一社の株に全額投じそれが上がれば大きく儲かりますが、下がれば大きく損をします。そこでこの二つ株に同時に投資することにします。A社とB社は扱うビジネスの内容も競合環境もまったく異なるので、値動きがシンクロナイズしない、つまり値動きが同じパターンではないとします。そうすると、たとえば・・・
A会社の株が$5値下がったとき
B会社の株は$10値上がった
といような、動きがみられることになります。大体の場合において、A社とB社の値動きはこのように相反するパターンだったとすると、A社とB社は一緒に持つと効果が相殺されてそこそこの利回り(この場合は相殺して$5)で安定させることができるという結果になります。リターンも下がったがリスクも下がった、ミドルリスク・ミドルリターン状態になりました。ここで難しい計算式なしに大切な事実をお伝えすると、このとき、リスクもリターンも下がったものの、リターンが下がった効果以上にリスクが下がるということです。リスクもリターンも同様なペースで下がったのなら、それほど喜ぶことでもないかもしれませんが、リターンを同じくらい犠牲にせずにリスクだけをより下げることができたということです。
一つの会社より二つの会社のほうがリスクが低くでき、ダイバーシフィケーションのはじめの一歩が踏み出せたわけですですが、これを二つだけでなくより多くの株へと増やしていくと、さらにダイバーシフィケーションが進んでいくことになります。
しかしながら、このダイバーシフィケーションはどの程度まで必要なのでしょう。たとえば株式をとった場合、いくつあればいいのでしょう。ひとつの株から始まり、ふたつの株、みっつの株と数を増やしていき、ポートフォリオ全体のリスクを計るというスタディーがあります。最初は株ひとつのポートフォリオだったのが、だんだんと5種類の株で構成するポートフォリオ、10種類の株で構成するポートフォリオという具合に株の数を増やしていくわけです。もちろんここで選ぶ株はできるだけ値動きのパターンが同じでないもの、つまり相殺効果が高いものを選んで加えてやります。
結果は、株ひとつのポートフォリオにもうひとつ株を加えて株ふたつのポートフォリオにするとリスクは激減しました。これは上述のA会社とB会社の例に現れています。AとBは相反する値動きをするので、ポートフォリオ全体としてはリスクが相殺され安定しました。そこにもうひとつ株を加え、株3つのポートフォリオにすると2つめの時ほどではないですが、リスクが軽減されました。さらに、株4つのポートフォリオにするとやはり3つめの時ほどではないですが、リスクが軽減されました。
こうして株の数を増やしていくと、ポートフォリオのリスクはだんだんと減っていきますが、ただそのリスク減少度は徐々に低下していきました。下はイメージ図です。

以前このブログでは、20株もあればかなりの効果が得られ、それ以上増やしても軽減できるリスクには限りがあるというような結果をご紹介しました。また、このようなリサーチはこののちもいくつも行われ、ある時は30株、ある時は50株あればよいという結果もでています。ただ、このような研究結果は、そのまま「20株持てば大丈夫」とか「30株あればOK」というように短絡的にとらえてはならないことが後になって指摘されています。なぜなら、ある株式がすでにポートフォリオに含まれている他の株式と全く同じ動きをしない、つまり少しでも動きが違い「相殺効果」がある分においては、その株式をポートフォフォリオに加えると、たとえ小さくともリスク減少の効果はあり続けるからです。分散をするほどリスクが下がっていき、ある程度分散すればだんだんとその下がりは減速するものの、リスク減少は下がり続けるわけです。
実際、完全に全く同じ動きをし続けるふたつの株銘柄というのはありえませんから、つまり株はいくつでも増やせば増やすほど、リスク分散という意味では好ましいということになります。問題は、どう増やし続けるかです。 第2回では、具体的に投資対象を増やしていき、リスクを分散させるダイバーシフィケーションを実際にどうやって実現していくかについて見ていきます。
会社が出す自社株関連のインセンティブには、下記のようなものがあります。
ストックオプション: 将来、一定の値段で自社株を購入する権利を付与するもの。将来的に株価が上がって、その値段より高くなった場合は、低い値段で買って高く売れる権利があるわけで、差額は懐に入るというしくみ。
RSU(Restricted Stock Unit): 将来的に企業により定められたベスティング・スケジュール(権利発生のタイミングが決められているスケジュール)に従って、時間経過とともに次第に自社株を取得するもの。たとえば3年ベスティングなら、RSUとして得た株数のうちの33%ずつを1年ごとに獲得し3年で100%獲得する、あるいは4年ベスティングなら、1年ごとに25%ずつ獲得し4年で100%獲得するという具合。
持株会: 自社株を購入する機会を与えられるもので、通常時価に対して10%とか15%とかのディスカウントがある。
投資を考えるとき、ダイバーシフィケーション(多様化)は基本です。カジノでルーレットをするとき、持ち金全部をひとつの色のひとつの数字に賭けないのと同じで、いくつもの株式に分散させて持つのです。どうしても全額賭けたい、あるいは数社に賭けたい・・とリスク覚悟のうえでするのならそれは個人の自由ですが、あくまで長期投資で確実に増やしていくことを考えるのならダイバーショフィケーションが基本の基本になります。ミューチュアルファンド、その中でも市場全体をまんべんなく持つインデックスファンドに投資することは、もっとも手っ取り早く安価にダイバーシフィケーションする方法です。
自社株を持つことは業績を上げるモティベーションを上げ、また会社に対するロイヤルティ意識も上げるため、決して悪いものではありませんが、ただ持つ額によっては一社へのリスク集中、つまりダイバーシフィケーションの真逆の効果を生みます。
自分の会社が、勢いのよい業界のトップレベルの会社であり、しかも過去ぐんぐんと株価を上げてきた会社ならば、当分このトレンドは続くだろうと予想して当然でしょう。本当にそうなる可能性は高いかもしれません。ただ先のことは誰にもわからず、予期しない事態が起こった時、株価が激減するということは、案外あることでもあります。この場合、この暴落した株が他のたくさんの株のひとつならいいのですが、多額が投資されていると全体の個人資産に対する影響があまりに大きいことになります。
最近の例でいえば、例えばEquifax。3大クレジット管理会社のひとつであり、これからの情報社会での位置づけからしてもある程度安定した会社であったはずです。ところが7月頭に起こったハッキングによりデータ流出が起こりました。すぐにトップ経営層は自社株を売りましたが、このことは一般の人々には見えないことでした。もしもあなたがEquifaxの自社株を$300,000分持っていたとしたら、データ流出の後は、この価値が$232,000ほどになります。これがそのまま持ち続けていればもとの値に戻り、さらにまた上がっていくのならいいのです。市場全体に多様化されたミューチュアルファンドなら、そうなる確率が大です。しかしながら、この特定の一社の運命がどうなるかは、誰にもわかりません。

過去の例でいえば、エンロンや、アーサー・アンダーセン、リーマン・ブラザースなど、安定企業の転落は、なかなかないけど、あり得ない話ではありません。企業に働く場合、インカムに加え健康保険などのベネフィットもその会社に依存しているわけで、もしも会社に万が一のことがあった場合は、それらの収入源を失うとともに、そのうえ持ち株の投資も失うという、ダブルパンチとなります。この意味でも、持ち株によるリスク集中には慎重な考慮とそれなりの覚悟が必要です。

ただ、自社株をディスカウントで買えるプログラムが提供されている場合には、利用しない手はないかもしれません。15%オフで購入できたものをすぐに時価で売るなら、この15%(マイナス取引手数料)が短期キャピタルゲインとなり、ご自分のタックスブラケット(最高税率)で課税されることにはなりますが、それでもプラスが残るはずです。すぐに売れること、売る時期について制限がないことは確認する必要があります。
ここ数十年で、インデックスファンドを使っての長期投資は人々から支持を集めるようになりましたが、同時に持株会などで自社株に投資するという傾向はだんだんと少なくなってきました。以前は401(k)の中でも、自社株に多額を投資しているという人もいたものですが、Employee Benefits Research Instituteによると、、401(k)での自社株投資は1999年時と比較すると現在では半分のレベルまで減ってきているとのことです。
通常、よく多様化されたインデックスファンドの場合ですと、“Buy and Hold”といって、いったん買ったら、市場が上がろうが下がろうがただただ持ち続ける(Hold)というやり方が王道です。上がった、下がったに一喜一憂せず、長~く持ち続けることで、長期的な全市場経済の成長から利回りを確保していくやり方です。
自社株の場合はリスク集中で、インデックスファンドの正反対の状態ですので、“Buy and Sell”が王道になります。買ったらすぐさま売り、会社が提供しているディスカウント分だけをすぐに現金として獲得する方法です。手にした現金はインデックスファンドに投資するとよいでしょう。
このFiduciary Ruleは、米国労働省が発表したもので、オバマ政権下でつくられたものです。当初は2017年の4月にルール施行が予定されていましたが、2017年1月にトランプ政権にかわり、4月施行を60日遅らせて2017年6月施行が暫定的にターゲットとされていました。トランプ政権がFiduciary Ruleの内容見直しや施行自体に物言いをつけ、施行がさらに遅れたりあるいは大幅に内容が緩和されるのではないかという予想もありましたが、あれからいろいろあったトランプ政権、Fiduciary Ruleどころではなくなったのでしょう、すんなりと6月に施行の運びとなりました。
*その後、部分的な導入はみたものの、完全な施行は、度重なる遅延で2019年7月1日まで延期。完全施行を前に、2018年6月21日には U.S. 5th Circuit Court of Appeals がこのルールを取り消しとしています。
このルールに対しては、トランプ政権をはじめ共和党からの批判があり、批判の主要ポイントは、このルールの施行により、ファインンシャルアドバイザーが法律に準拠するために文書管理やトレーニングなどのコストがかかり、全体的なファインシャルアドバイス提供コストが上がるため、それほど投資資産のない中口顧客以下の層がファイナンシャルアドバイスを受けようとしても受けられなくなる可能性が高くなる・・という論点でした。いかにも顧客のことを考えての問題指摘というようにも聞こえますが、考えてみればこれはとても妙でへんちくりんな議論です。言い換えてみるとこんな感じ・・・
健康アドバイザーが体によいといううたい文句でビタミン剤を売っていました。ビタミン剤はよい成分も入っているけど、利益率を高く保つためにあまりよくない成分も入っており、売りさえすれば儲かるのでガンガン売っていました。でもこんど法律で、消費者が損をせずしかも消費者の体によいものでないと売ってはならない、つまり健康アドバイザーは自分がお金を儲けるためだけに売ってはならないことになりました。販売時、本当にそれが消費者にとって体に良いこと、あるいは損でないものであることをきちんと確認したり、記録したりすることも必要で、そのため勉強をする時間も必要です。その分のコスト増加分をどこからか確保する必要があり、たくさんビタミンを買ってくれるお客さんからは、なんらかの形で利益を確保することができるので何とかなるが、あまり数を買ってくれないお客さんからはまとまった利益が期待できないので、健康アドバイザーはこのような小口お客さんにはビタミンは売らなくなりました。
そもそもよくないビタミン剤ならだれも買わなくても問題はないわけですし、消費者にとって体に良いこと確認したり、記録したり、勉強したりしないで売っていたのだったらそれこそが問題だったわけですし、そもそも悪いものを売って儲けていた利益がなくなるからそれを補てんするためどう利益を確保するかに頭を痛めることこそ道義的に間違っている気がします。
2016年変額アニュイティの売り上げは大きく打撃を受けました。業界全体で売り上げは激減しましたが、減少率が大きいところから上げると、Transamerica Life Insurance Co.(45%減)、Lincoln Financial Group(42%減)、 MetLife Inc.(39%減)、American International Group(31%減)、Pacific Life Insurance Co(30%減)、Jackson National Life Insurance Co.(26%減)という具合です。 そもそも、変額アニュイティは問題の多い商品で、高額の手数料やサレンダー手数料などが問題になり、多くの訴訟も起こされています。突き詰めれば、今回のFiduciary Ruleがつくられた理由は、これらの問題に起因するとも言えますが、そういうわけでFiduciary Ruleが制定されなかったとしても、変額アニュイティの売り上げは下がり調子でした。ところがFiduciary Ruleのせいで、アドバイザーやブローカーが変額アニュイティを売るにあたっての「危険性」(つまり、顧客の利益を優先せず売ったと言われる)が高まり、売り控えたため一気に売り上げ減少が加速したという状況です。
同じトレンドがロールオーバーIRAにも出ています。401(k)などの雇用主が提供するリタイヤメントプログラムに参加していた雇用者が、転職やリタイヤメントのため雇用主を離れるとき、401(k)内の残高を、第三者のIRAアカウントに移し(ロールオーバー)するビジネスは、アドバイザーにはとてもおいしいビジネスでした。まとまったお金が一度に動くため、投資金額の一定パーセンテージで計算されるセールスコミッションが大きく稼げるからです。
401(k)は、雇用主のポリシーにもよりますが、そのまま雇用主提供の401(k)プログラムにお金を残し運用し続けても問題ない場合も多いです。残しておくか動かした(トランスファーした)方がいいかは、401(k)内で提供されている投資ファンドの選択肢や手数料などの大きさによりますが、大きな企業の401(k)などは大口顧客であるがゆえに手数料が極安であったり、投資ファンドの質も高い場合が多く、無理に外にお金を動かす必要はありません。また、アドバイザーがセールスコミッションを課す場合には、それだけで全体額の数パーセントがとられてしまうわけで、お金を動かすベネフィットが相当ないと元が取れないことも多いです。
しかしながら、このようなことはあまり考えたことのない人も多く、ロールオーバーを決断するときの大きな要因はアドバイザーからの勧めである(約30%)というレポート結果もあがっています。いろいろいい面を並べ立てられると全体像を見渡さないままロールオーバーする人も後を絶ちませんでした。そこで今回のFiduciary Ruleの登場となりました。ロールオーバーIRAの対象となる投資額は、これまでの半分の水準に減少することが予想されています。裏返せば、これまでロールオーバーされIRAに移された金額のうち半分は、顧客にとっての利益が最優先ではなかったということです。
とある業界紙(ファイナンシャルアドバイザー向けの雑誌)からの一節;
“The rule will make an advisor stop and think: is this the right move for my client or prospective client?” (このルールは、アドバイザーに立ち止まらせ、「こうすることはクライアントにとって最適な選択か」と考えさせる機会となる。)
この最も基本的でファイナンシャルアドバイスの出発点ともいえる問いを、今まで考えたこともなかったアドバイザーが一握りならず案外多くいる(いた)ということは、あきれることでもあります。
投資大国と言われるアメリカ。有価証券への投資に消極的な日本に比べ、アメリカ人は株や債券を持つことに抵抗がなく、積極的に投資をしているようなイメージがあります。日本では確定拠出制度やNISAが導入されて間もない状態ですが、アメリカでは401(k)やIRAも広く一般的に知られるようになり、ミューチュアルファンドやETFなどを通して投資に参加している人口も多いだろうと想像できます。ところが、よくその内容を見ていると、投資に積極的で市場の成長を通して資産増加を享受している層というのは、実はそれほど幅広くなく、富裕層にその恩恵は偏っているというリサーチがあります。所得が高く投資できる元本が多ければ多いほど、より裕福になり、所得が少なかったり姿勢が中途半端だったりで、投資を避けたりドロップアウトすると、ちっとも資産が増えないという、厳しいコントラストがあるようです。
4回にわたってお届けしてきましたアニュイティについてのシリーズ、今回が最後です。ここまで、私たちの持つニーズのなかで、アニュイティで必ずしも満たさなくてもいい、あるいは、アニュイティでは満たせないものについてひとつずつ見てきました。今回は、アニュイティでなくてはならないニーズを見ていきましょう。ここまでアニュイティの欠点、注意点ばかり羅列しましたが、アニュイティはニーズに合った使い方をすればとても力強い味方です。以下ではアニュイティ本来の存在意義がカバーする、アニュイティが満たすべきニーズを見ていきます。
アニュイティのセールストークに心を動かされ、不適切なアニュイティ購入をすることを防ぐためのポイントを見てきています。すでに、老後資金の準備という目的や、市場が値下がりしても減らない投資のためにという目的で、アニュイティを購入することは不適切である場合が多いことを見てきました。今回は、その他よく引き合いに出される、アニュイティの節税効果、カレッジのファイナンシャルエイド獲得、生命保険という安心要素というアニュイティのセールスポイントについても見ていきます。
過去2回で、アニュイティの存在意義は生涯年金の確保であり、このニーズがはっきりしているときこそ、アニュイティの購入を考えるべきであること、副次的ニーズと金融商品のおまけ的役割にまどわされてアニュイティの検討をしないほうが賢明であること、老後の資金準備の運用はアニュイティの中でなく、低手数料のインデックスファンドなどで効率よく行ったほうがよい場合が多いことを書きました。今回は、アニュイティの特典としてよく語られる、市場が値下がりしないでも減らない、着実に伸びていく投資という要素について考えてみます。
前回は、金融商品の購入にあたっては、1)自分のまず満たすべき第一ニーズが何なのかをはっきりさせ、それが金融商品本来の存在意義とぴったりあうときに、はじめて購入を検討すべきであること、2)アニュイティの存在意義は生涯年金の確保であり、このニーズがはっきりしているときこそ、アニュイティの購入を考えるべきであること、3)副次的ニーズと金融商品のおまけ的役割にまどわされてアニュイティの検討をしないほうが賢明であること について書きました。では、アニュイティについてくるおまけ的な魅力や、それらで満たそうとしがちな副次的ニーズは、アニュイティでなくとも他の形で満たせるものなのか、それを考えていきましょう。
このところアニュイティの契約を考えているという方からご連絡をいただくことが多くなっています。「手数料は高いのは知っているが、一生涯資金が続くというのはとても魅力」、「エージェントに聞いてみたら手数料はかからないと言われた」、「増えはしても減らないと聞いたので安心」という声をお聞きします。アニュイティは、投資商品ではなく保険商品です。アニュイティは、終身保険と同じく長期的に契約するもので、よく考え通さないで契約し途中で解約することは、好ましくなく大きな損失を招くことがあります。今回は、アニュイティの契約を考えているとき、長期的に健全な契約をするためにどのような注意をはらったらよいのかを、5回連続で考えてみます。
401(k)やIRAでターゲットデイトファンドをお使いの人も多いでしょう。2006年のPension Protection Actという法律の導入で、401(k)積み立てのデフォルトファンドがターゲットデイトファンドに設定されている会社も増えています。Morningstar社によれば過去10年の間に、ターゲットデイトファンドに投資されている額は7倍にも増加しました。Smart & Responsibleでもターゲットデイトファンドをお勧めすることはよくあります。ただ気がかりなことが最近起きています。ターゲットデイトファンドの誤った使い方をしている人があまりに多いということです。
大切に貯めたリタイヤメント資金の使い方、引き出し方について考えるシリーズです。前回は、リタイヤメント資金をお子さんに相続させるニーズがあるのかどうか、複数のタイプのリタイヤメント口座がある場合、どの口座からどういう順番で引き出すのがよいかについて考えてみました。今回は、リスクをコントロールしながらも運用を続け利回りを出しながら、寿命を全うするまで枯渇させないで維持したい老後の投資ポートフォリオがどうあるべきかについて考えます。
今、リタイヤメント資金をがんばって貯めている方もいらっしゃるでしょう。また、長年、一生懸命働いて、もう少ししたらリタイヤしたいと準備段階に移ろうとしている方もいらっしゃるでしょう。大事に大事に貯めたリタヤメント資金ですから、大事に使いなるべく長持ちさせたいですね。自分がいつまで生きるかわからないけれど、それまで資金が尽きないできちんとあることが大切である一方で、せっかくのリタイヤメントの時期、楽しいこともたくさんして大切な人との思い出もつくって有意義に暮らすために十分な生活費も確保したいものです。今まで、アメリカのファイナンシャルプラニング業界では、リタイヤメント資金を貯めるというトピックに関してはたくさんの情報がありました。ここ何年かで、401(K)など確定拠出プランでの自己責任時代に生きてきたベビーブーマーがリタイヤメントに入りつつあり、リタイヤメント資金の引き出し方、使い方ということにも焦点が当たるようになってきました。今回は、貯める方ではなくて使う方、ここに焦点を当てたいと思います。
給与所得者(俗にいうサラリーマン。アメリカではW-2workerなどとも呼ばれます)は、W-2フォームで給与明細が出され、必要な源泉徴収はすべてここで計算されるため、所得者が講じることのできる節税・税金操作対策は限られています。W-4フォームでAllowanceの数を変える、401(k)、FSA(Flexible Savings Account)、HSA(Health Savings Account)に積み立てるかくらいのことになります。一方で自営、スモールビジネスオーナーなどに代表されるSelf Employedの方の場合、節税の方法にはかなり多様な選択肢が与えられています。
このブログでも何度か紹介させていただいたように、私は個人的にVanguardが大好きです。Vanguardを創設したJohn Bogleの思想も大好きですし、その後時代を超えて貫いている、低手数料で着実な長期投資へのフォーカスに同意できるところがたくさんあります。Smart & Responsibleでも、お客様の条件があえば、Vanguardのインデックス・ミューチュアルファンドをお勧めすることが多いのですが、最近はETF(Exchange Traded Fund)のほうがさらに低手数料かつ、税金面でも有利だという情報も紹介され、ミューチュアルファンドかETFかの選択で迷う方もいらっしゃいます。今日は、そのあたりを研究してみます。
2回に分けてTransamerica Center for Retirement Studiesという非営利団体が定期的に行っている、リタイヤメントについてのアメリカ人の姿勢調査の結果を踏まえてレポートを書いています。先週前半で今回は後半
リタイヤメント後のご自分を想像されたことがありますか?何歳でリタイヤされる予定ですか?どのくらいの生活費で、何歳まで生きることになるのでしょうか?今一生懸命リタイヤメント資金をつくるため積み立てしている方であっても、リタイヤメント後の具体的な生活が想像がついているという方は少ないでしょう。今回は、ご参考までに、ひとつのリサーチ結果をご紹介します。Transamerica Center for Retirement Studiesという非営利団体が、リタイヤメントについてのアメリカ人の姿勢を調べるために、定期的に全国的なリサーチをしています。今日は、もっとも最近のレポート結果(2015年12月)を、2回に分けてご紹介します。
Fidelity社が、投資で成功してしっかりとお金を貯めている人に共通の6つの要素についてレポートを発表しました。今日はそれをシェアしたいと思います。今までこのブログでも書いてきた点が盛り込まれていますが、よい機会ですのでまとめてみたいと思います。
まだ若いからリタイヤメント準備は考えない、収入が限られているからリタイヤメント準備はなかなかできない・・・という場合も、たとえ少額でもなるべく早い時期から積み立て始めることがよいように思います。日々の生活を回すだけで精一杯という場合もあるかもしれませんが、そんな場合でも、使えるオプションを把握しつつ、使える特典はなるべく使いつつ、できる範囲から始めてみることがよいでしょう。今日は、少ない収入から始めるリタイヤメント準備について考えます。
ロボアドバイザーという言葉をお聞きになったことがあるでしょうか?オンラインで、顧客にアンケートなどに答えてもらい、顧客の許容リスクレベルを測り、それによって低手数料のETFなどを中心に組み合わせポートフォリオをつくり管理する自動化サービスのことですが、ここ数年で、すごい勢いで注目が高まり、ビジネス拡大が進んでいます。インデックスファンドへの関心とあいまって、インッデクスETFとロボアドバイザーのコンビネーションで投資ポートフォリオを組むのが、いわば流行りになっています。今回は、2回に分けそのあたりの投資業界の流れと、ロボアドバイザーの選択について注意すべきことについて考えてみます。
Medicare Advantage Planは別名Medicare Part Cとも呼ばれ、Medicareと提携した保険会社が提供する、Medicare Original(Part AとPart B)の代替プランです。Medicare Advantage Planは最低限Medicare Originalのカバーするアイテムはカバーし、多くの場合それに加えて追加アイテムをカバーします。また、処方箋もカバーするプランもありますが、カバー範囲はプランによって大きな差があります。今日では、Medicare対象者の7人にひとりがMedicare Advantage Planにサインアップしています。
Medigapのプランは標準化されており、提供されているプランにはAからNまでがあります。どのプランがよいかは、自分の望むベネフィッとのカバーと保険料との兼ね合いになりますが、ここではとくによく選ばれるプランをいくつか見てみましょう。
Medigap市場を見るともっともシェアが高いのはプランFで55%、次いでプランCで11%、この二つで3分の2を獲得しています。そのあとは、プランGの6%、プランNの6%と続きます(2013年データ America's Health Insurance Plans)。
Medigapは、Medical Supplement Insuranceとも呼ばれ、第三者保険会社によって提供され、Original MedicareでカバーされないDeductible、Copayments、Coinsuranceなどの“ギャップ”を補足カバーするために用いられます。プランによっては、米国外の滞在中の医療サービスをカバーするようなものもあります。Medigapの加入にあたっては、Original Medicare であるPart AとPart Bに加入していることが条件となり、また、Medigapは後述のMedical Advantageとは一緒に使うことはできません。Medigapは、処方箋はカバーしていないので、Medicare Plan Dを別に購入して処方箋カバーを追加する必要があります。
活にかかる全般の費用を総合して、異なる地域同士の物価の比較を容易にするためにつくられた指標のようなものです。Cost of livingの差というのは案外馬鹿にならないもので、同じだけのお金を持っていても、Costが高いところだとすぐに尽きしてしまうところ、低いところで生活していればかなり長持ちするということになります。誰でも物価の安いところに住みたいと思うものの、仕事をして家族をサポートしている間はなかなか簡単に暮らす場所を変えることはできません。しかしながら、リタイヤしたあとの生活であればコストを抑えるために移転するというのもひとつのオプションかもしれません。
人生90年時代と言われる今日この頃、一生懸命働いて、一生懸命リタイヤメント資金をためて、さてリタイヤしたならば、豊かな暮らしを送りたいというのは誰もが望むところ。でも、「豊かなリタイヤメント生活」っていったいなんでしょうね?今日は、ハッピーリタイヤメントのために必要な三大要素を考えてみたいと思います。
50歳、100の半分、半世紀。。。自分が子どものころは、50歳といえばもうだんだんと人生終わりに近づいた人々みたく思ってていましたが(失礼!)、自分がその年に近づいてみると、いやこれからが本当の自分に戻っていくフェーズだなんて思ったりします。周りにも自分らしい色をつくって、自分らしい人生を描いている素敵な人たちがたくさんいます。仕事にも家庭にも趣味にも生活にも一生懸命だったフェーズから、リタイヤメント後の第二のフェーズへと、たおやかに力強く船出するために、今日は、リタイヤメントのタイムラインをまとめてみました。
「老後の海外移住」という言葉があります。これは日本に住む人が使う言葉で、日本よりも生活費の低く暮らしやすい国に移住してリタイヤメント後の生活を送ることをいうのですが、アメリカにも同じようなコンセプトがあります。雑誌などでも”Best countries to retire”というようなタイトルの記事を見かけたりします。医療費や税金負担が重いアメリカでは、一生懸命貯めたリタイヤメント資金を、大切に使って老後の人生を楽しむために、より条件のよい国に生活のベースを移す決心をする人も増えているようです。
自分のリタイヤメント準備はどの程度うまくいっているのか、漠然と抱えているリタイヤメント後の生活はなんとか実現できるものかについて知るための、リタイヤメントプラニングシリーズ全三回の今回は最終回です。最後のステップでは、最初の二回で集めた情報をもとに、リタイヤメント資産から少しずつ引き出して生活していくにあたって、寿命までの生活をカバーし続けることができるのかを見るシュミレーション分析で
自分のリタイヤメント準備はどの程度うまくいっているのか、漠然と抱えているリタイヤメント後の生活はなんとか実現できるものかについて知るための、リタイヤメントプラニングシリーズ全三回の今回は第二回です。前回、今何歳で何歳まで働くか、何歳くらいまでを寿命と考えるかを洗い出すとともに、リタイヤしてからは月々いくらくらいの生活費がかかるかを調べました。次のステップは、その生活費をサポートするために今まで準備してきたリタイヤメント資産について調べていきます
「今の投資はただ薦められるままに持っているが、老後を見越すと本当にこれでいいのでしょうか」、「401(k)のファンドを適当に決めていますが、これでいいのかいまいち自信がありません」、「できれば早くリタイヤしたいですが、実際それは可能なのかどうやったらわかるのでしょう」などという質問をよく受けます。これらのご質問は、「どんな投資ファンドをお持ちですから大丈夫です」とか、「現在いくらいくらの投資残高があるから十分でしょう」などのように一言でお答えすることは、残念ながらなかなかできるものではありません。このご質問に回答を出すためには、まずはたくさんの情報が必要です。情報を整理して、シュミレーションをしてみてはじめて、判断がつくことが多いものです。どのような情報と手順が必要なのか簡単にご紹介しましょう。リタイヤメントプラニングシリーズとして全三回でお届けします。
が・・というご質問を受けることがあります。そうしたほうがいいか、そうしないほうがいいかは、細かい状況をお聞きして計算をしてみないとはっきりしないことですが、ただ多くの場合はしないほうがいい方に軍配が上がります。老後は負債なしで生活したいというのは誰もの願いでしょう。自分の家がローンゼロ、100%自分のものになるという心理的な安堵感もあります。年金を使ってまでもローン返済はしたくないというのも分かります。借金というものに対してそもそもネガティブなイメージのある日本人にとっては、リタイヤメントを機にモーゲージを一度に返済してしまいたいと考えるのは自然のことにように思えます。今日はこの点について考えて見ます。
ファイナンシャルプラニングをする場合、現在デフォルトで使われる平均寿命予想値は95歳です。寿命の延びとともに、リタイヤする年齢も少しずつ上がってきてはいるものの、限られた労働期間で長いリタイヤ期間をサポートするという傾向が進んでいくと予想されます。一般的な傾向として、私たちはリタイヤメントについて、その資金準備期間に注目を当てがちです。しかしながら、本当は貯めるだけ貯めてリタイヤしたらそれでよし・・というものではなくて、実はその後の資金を「使う」フェーズでのプラニングが非常に、非常に、非常に大切です。前回の記事では、比較シンプルに運用してよい貯める期間に対し、リタイヤメント後の使う期間は細やかなプラニングが必要になることを書きました。俗に言われる「引き出し率=4%なら安全」というような短的なルールではなく、さまざまな個人的な状況を鑑みながら、さらに年々の市場の動向を押さえつつ投資ポートフォリオから引き出し+維持運用していくことが大切であることも書きました。今回は、ではそれをどう実行していくかを考えます。
20代で働きはじめ、30代で本格的にリタイヤメント資金を貯めはじめ、60代後半でリヤイヤし、その後95歳までリタイヤメント生活を送った場合、30数年の資金蓄積期間があった後、30数年の資金利用期間があることになります。寿命は延び続けており、2012年のアメリカの平均寿命は78.8歳(男性76歳、女性86歳)。ちなみにこの78.8歳という数字は、全米全人種の男女あわせた平均値で、アジア人はアメリカの中でも最も長寿の人種です。たとえばカリフォルニアのアジア人の平均寿命は86.3歳、ニューヨークのアジア人の平均寿命は88.6歳です。医療予防と治療技術の発展とあいまって、今後も寿命は延びつづけると予想でき、ファイナンシャルプラニングをする場合、現在デフォルトで使われる平均寿命予想値は95歳です。寿命の延びとともに、リタイヤする年齢も少しずつ上がってきてはいるものの、限られた労働期間で長いリタイヤ期間をサポートするという傾向が進んでいくと予想され
IRA、401(k)などのアカウントや、その他の投資アカウントで、どのようにファンドを選びいくつくらいのファンドに投資されていますか?なんだかよさそうなファンドがあっても、ひとつふたつに集中させるのはなんとなくキケンな感じがする、それに、いくつか持っていればひとつがダメでも他で大丈夫かもしれないし、適当によさそうなものをいくつか選んでおこう・・・というのは人間の心理。この「ひとつがダメでも他で大丈夫=全体としてなんとかまあまあ」という概念は、投資の基本であるダイバーシフィケーション(多様化)に通じるもので、リスクを分散させるという役割があります。前回の記事では、リスクを分散させるには、多様な株式銘柄を持つことが必要で、20種類も持てばかなりのリスクが軽減されることと、このリスク分散はインデックスファンドではかなり効率的になされていることをお話しました。
「リタイヤメントや投資アカウントで適切な投資をしているか見てください」とリクエストを受けることがよくあります。巷には数限りないミューチュアルファンドの数がありますから、どれを選べばよいか当惑して当然です。また、反対に401(k)などのプログラムでは会社の提供するミューチュアルファンドに選択が限られますが、その中から自分の目的にあった良質のファンドを選ぶとなると考慮しなければならない点もいろいろあります。よくわからないけど、とりあえず適当にいろいろなファンドを選び、分散して投資しておけば、まあ全体的にはなんとかなるのではないか・・・というのは人間の心理かもしれません。ひとつダメでも他がある・・という考えですね。この「いろいろ持つ」は投資の基本とされる「多様化=ダイバーシフィケーション」という概念とも通ずるもので、一見理にかなったことのように思えます。ところは、実はあまりにたくさんの種類のファンドを持ちすぎていると、かえってマイナスの効果が出てしまうことがあります。では、ミューチュアルファンドで投資する場合の注意点は何か、いくつくらい持てばいいのか、多すぎるとはどういうことか・・・今回はこのテーマを2回に分けてお届けします。
思ったより早く死んでしまった場合に困らないようにする保険が生命保険とすれば、思ったより長生きしてしまった場合に困らないようにする保険がLongevity Insuranceと呼ばれるもの。直訳すれば長寿保険ということになりますけれども、つまりは予定より長生きしすぎて、お金がもたなくならないようにする保険のことです。一生懸命働いてためたリタイヤメント資金、さあ実際にリタイヤメントしました・・・となったとき、いったい年々どのくらい引き出してよいものか。毎月の引き出しですべてを80歳で使い果たしてしまいました、今後どうやって生きていきましょう・・という状況に対応する保険です。今日はその話。
みなさん、自分のリタイヤメント後の生活、どのように思い描いていますか?アメリカですか、日本ですか?老いたら、やはり日本に帰りたいという方もいらっしゃるでしょう。日本に帰りたいものの、逆カルチャーショックを心配なさる方もいらっしゃるでしょう。今日はアメリカで老後を送る予定でいる方のために、リタイヤメント・コミュニティのお話です。CCRCという名前、お聞きになったことがありますか?
前回の記事では、長期介護保険は、老後に必要となった長期介護に備える一選択肢であることを書きました。ただ、長期介護保険にはいろいろと問題もあって、個人が支払う保険料は割高な上、補償が十分でない、保険料も補償内容も変更される可能性がある、何十年後に補償が必要なとき不確定要素がぬぐえないというような懸念も存在することも見てみました。ただそれは、すべての長期介護保険を避けなければならないということではなくて、良質でニーズにあった長期介護保険であれば購入も十分考慮に足るということです。今日は、長期介護保険を買うとなったら、どんなことに注意すればよいかについて見てみます。
健康保険、車の保険、家の保険、アンブレラ保険に生命保険、それから所得補償保険・・・私たちはいろいろな保険を買いますね。若いうちはあまり考えないけど、だんだんと考えたほうがいい保険に、長期介護保険(Long-term care insurance)があります。人間、元気に生きてぽっくり・・・というのが一番ラクなんていいますが、でもそうはうまくいかないことも十分想定されます。人の介護や介助が必要になったとき、そのコストをどう捻出するか・・・今日は長期介護に備える方法を探ってみます。
今日はちょっとエゲつない題ではありますが、でも大切なトピックです。年々伸びる平均寿命に年々高騰し続ける医療費、それだけ考えただけでも、いったいいくらリタイヤメント資金があれば十分なのかを知るのはなかなか難しいことですね。一生懸命貯めたリタイヤメント資金が、自分が生きている間ちゃんと足りるのか、途中で底をつくようなことはないか、心配しだしたらきりがありません。人間、自分がいつ死ぬか(これがわかればプラニングはかなり簡単になりますが)ばかりは誰にもわかりませんから、やるだけのことをやってあとは思い煩わず人生を楽しみたいものです。今日は、リタイヤメント資金を長持ちさせるためにやれることを考えて見ます。
株投資か不動産投資かという問題について二回にわたって考えています。この記事では、どちらかが勝っているという短絡的な議論はせず、いくつかの項目について株投資と不動産投資の比較をしています。一回目は、キャピタルゲイン、レバレッジ、メンテナンスという項目について考えました。今回は、税制上の優遇、リスク回避のしやすさ、現金化のしやすさ、掘り出し物さがしという点について考えます。
あなたは株投資派ですか、それとも不動産投資派ですか? 株投資派の方は、「不動産は維持の手間や手数料などを考えあわせれば、決して効率のよい投資ではない。やはりポートフォリオを組みやすく換金しやすい株が一番」とおっしゃるかもしれません。一方、不動産投資派の方は、「上がり下がりの激しい実態のないペーパーなど、リスキーで当てにできない。土地と建物のほうがずっと安心」とおっしゃるかもしれません。今日はこの、株か不動産か・・・という問題について考えて見ましょう。
以前、リタイヤしたあとのアメリカと日本での必要資金を比較したことがありました。そこそこの生活で最低限必要となるベースライインの生活費は、日本では23万円に比べアメリカでは$4,000ほどというような比較でした。結果的に、退職のために貯めておかなければならない額にも差が出るわけで、日本なら平均的なサラリーマンの場合、年金と退職金で見込める額にプラスして数千万円を貯めておけばよいのではないかという計算でした。これに比べ、アメリカでは「平均的なサラリーマン」像がないので平均ではものは語れませんが、401(k)やIRAなどのリタイヤメント口座を利用して少なくとも$1ミリオンは貯めておきたいとする意見も多数です。そしてこの差を生む二大要素は医療費と固定資産税ではないかという推測もしました。
「401(k)プランはペンションプランを超えられない」というタイトルの記事を見かけました。今は、ペンションを提供している組織は非常に数少なくなっています。Defined Benefit Plan(確定給付型)のペンションでは、将来、確定給付額を支払うための投資責任は組織にありますが、Defined Contribution Plan(確定拠出型)の401(k)は、組織の責任は決まった掛け金を拠出するのに限られ、投資責任は個人に負わされます。組織は自分の責任軽減とコスト削減のため、また労働者は自分で投資を選択することができる「自由」を求めて、加速度的に401(k)への移行が進みました。でも、過去の投資パフォーマンスを見ると、ペンションのほうが401(k)全体よりも成績がよいというレポート。。ちょっと気になりますね。